2011年08月12日

続 伊藤英男氏の蒸気機関車

1448 たくさんコメントを戴いた。AC9氏の方法が正解で、ムクの板からの削り出しである。
 この曲げを実現するために、過去に伊藤英男氏はありとあらゆる方法にチャレンジされたそうである。しかし、曲げると外側の体積が不足するため扁平になるのを防ぐことができない。パイプならば、肉厚が薄くなることによってそれは実現が可能であるが、ムクの棒では焼き鈍しても不可能であった。

 そこで曲がった角棒を糸鋸で切り出し、それを丸くしたと仰るのだ。「まず、四角を八角にします。そしてそれを十六角にして…という具合にすれば丸くなりますよ。」この写真は多少よく見える写真で、曲がりの部分が直管につながれている様子が分かる。
 筆者も出来るかもしれないと思い、やってみた。3mmの板をL型に切って丸くするのだが、とても思うようにはできない。

 しかし、パイプなら筆者にもつぶれない直角曲げができる。以前ヤマハだったかの金管楽器工場を見学した際、水を入れて凍らせるという話を聞いたからだ。焼き鈍したパイプの片方を塞ぎ、水を入れて、冷凍庫で凍らせる。栓を出来るように少しだけ先端の氷を溶かし、水を入れてねじこむ。それを再度凍らせて、目的のところに溝を付けた当て金を当てて曲げると断面が丸いままで仕上がる。氷は放置すればすぐ溶けるので流し出せばよい。砂を入れるよりずっと簡単で奇麗であるが、両端が塞いでないと失敗する。蓋のネジはただ締まればよく、パッキンは不要である。隙間を氷が逃げることはないからだ。中に空気があると失敗する。
 この方法は、H8(C&OのAllegheny)の排気パイプを曲げるときに試した。ちゃんと外側が丸く仕上がる。曲がったら、すぐに栓を外さないと、氷が溶けるときに体積が縮んでパイプが凹むおそれがある。

144014431436 下回りは多少模型化してある。車輪の厚みは、実物の1.3倍程度である。スポークは糸鋸で抜き、断面が所定の形になるようにキサゲで削って仕上げてある。スポークの数については知識が無く、お答えできない。
 以前にも書いたように、フランジのフィレットはかなり大きく、Low-Dに近い。実物と同じ懸架装置、復元機構を持つが、脱線しないで半径4mを楽々通過する。線路の保線はすこぶる良い。レイルが完全に直線に敷かれ、曲率も一定であるので、カーヴでの挙動もすばらしい。全く動揺せずに走る。動画を撮ったので、いずれyou-tubeにupする。  

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コメント一覧

1. Posted by フレッド折澤   2011年08月12日 11:42
うーむ、これは降参。想像を絶しています。
「ありとあらゆる方法にチャレンジ」という執念に脱帽です。

削るにしても、コンケーブカッターのようなものを使うかと思いましたが、手作業における自信と技量が別次元なんですね。
2. Posted by AC9   2011年08月12日 14:50
>水を入れて凍らせる

数年前に乗っていたヤマハ製バイクの多重管エキパイも
同じ製法でした。 
確か「氷曲げ」と呼ばれていたと記憶しております。
3. Posted by 鋳造に関して   2011年08月14日 03:39
5 ガスタービンのタービンの鋳造で羽根の内部を冷却用の空気が循環するようにリチウム塩の中子を作ってロストワックスで鋳造してさらに単結晶化するために凝固過程で熱勾配をつけて種結晶で結晶の方向を揃えて徐々に冷却するという技法を思い出しました。
ところで。詳しくは失念しましたがこのC53は以前TMSの鉄道模型探訪に掲載された作品でしょうか?また、現在、35mmの愛好家の方は何人くらいいるのでしょうか?JAMや運転会でも千代田計器等の戦前の製品のコレクターの方にはお会いする機会があってもフルスクラッチで35mmの車両を作られる方にはお会いする機会がないので気になります。
4. Posted by dda40x   2011年08月14日 07:01
>単結晶化するために凝固過程で熱勾配をつけて種結晶で結晶の方向を揃えて徐々に冷却

高温で使用するものですからクリープが起こりにくい構造にしていますね。

そうです。これは平岡氏の記事で紹介されたものです。あの記事では紙幅がなく、その全貌を
紹介するわけにもいかなかったのでしょう。
35mmゲージをこのレベルでしかも大量に作られた方は伊藤英男氏だけだと思います。ほとんどの方はキットからの製作あるいは製品の蒐集で終わっているのではないでしょうか。

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