2011年07月25日

続々々 糸鋸の達人

14091408 過給機はカットモデルも作った。そのタービン翼の曲がり具合が一定であるのには驚く。これらも全てプレスで曲げ、翼面の断面も本物通りに削ってある。横に置いてあるモータは、当時のOゲージ用モータであるから相対的な大きさがお分かりであろう。 このエンジンは2サイクルエンジンであり、排気と吸気を同時に行うためこのようなタービンが必要であった。EMDのUni-Flowエンジンと似ていて、排気弁があるはずである。このエンジンは当時世界最大の出力を持つエンジンであった。
 右の写真は若かりし頃の伊藤英男氏である。30代であろう。このエンジンを作るのに数カ月を要したと仰る。

1409 31409 2 伊藤氏は全ての作業を、ブラスを材料とし、ネジ留めとハンダ付けのみで行った。のちに競業他社が現れ、半額に近い価格で請け負ったと言う。納品された時は良かったが、それが本国に運ばれて蓋を開けたら、ばらばらになっていたそうだ。その船舶模型の色々な造作は接着剤で付けてあったらしい。なお船体の板のハンダ付けがイモ付けであったのも大きな原因であろう。船の貨物室は暑いし、振動も大きい。熱膨張でひびが入り、振動で外れたというのが伊藤氏の推測である。

 その点、伊藤氏の作品は全て実直に作られ、力の掛かる部分はネジ止めしてハンダ付けしてあるから、接続部は他の部分より堅いくらいだ。支持台との接続部分はこれ以上ないと思われるほど強く作ってあり、多少の高さから落としても耐えられるようにしたと仰る。船一隻で大きさにもよるが、200kgほどである。ブラスの量は365×1200の板で、10cmの高さに相当する。

 
 仕事場には、いつも数cmほどの高さに各厚さのブラス板が積んであった。もちろん全て快削材である。快削材の良さは最近、コン氏により再発見され、仙台市内の「つばさ模型」で市販されるようになったそうである。これは全国の模型屋で売るべきである。筆者は伊藤英男氏と知り合ってから全て快削材を使用するようになった。切削速度が2倍になるし、仕上がりもよい。また表面が硬く、キズが付きにくい。

1328 快削材は、クロック板とも呼ばれるらしい。時計の歯車を作る板なのだ。硬くて曲がりにくく、細工がしやすいからだ。どうして日本の模型界にはこれが導入されなかったのかが不思議でならない。

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コメント一覧

1. Posted by 鹿ヶ谷   2011年07月25日 20:51
うーん、なんというか、すごいですね。
別世界のものという感じがします。
このタービンをブラスで作るなんて想像することもできません。

私は真鍮棒材は日本に行ったときに伸銅商から買い込んでくるんですが(こちらではメトリックの材料は入手困難なので)、快削材ということでした。お店の人はオーストラリアでは快削材は手に入りにくいんじゃないかと言ってましたね。旋削すると切子はつながらず、粉になります。真鍮みたいな柔らかいものは快削だろうがなかろうが機械加工するにはどうでもいいような気もしますが、切子が絡まらず楽なことは確かです。
2. Posted by dda40x   2011年07月25日 23:14
 タービンと同様、スクリュウも作られます。翼断面には注意を払っていらっしゃいます。出来上がると金メッキを掛けます。

 プロとアマチュアの違いはいくつかありますが、材料の選択も大きな違いです。先日のコメントにもありましたように、切り粉の問題はこれでほとんど解決します。
 
 棒材ならば寸法が近いものであれば、メトリックでもインチでもあまり問題なさそうです。材料の面をそのまま使うことはしないでしょうから。

 
3. Posted by 鹿ヶ谷   2011年07月26日 17:33
まあ、太い丸棒、角材はどうせ周りは削っちゃうのでインチでも問題はないんですが、六角はメトリックじゃないとダメなんですよ。インチの工具は持ってないし持つつもりもないので。それと何故か日本のほうが真鍮の値段が安かったりするのです。
4. Posted by dda40x   2011年07月26日 18:01
日本の価格が安いというのは不思議ですね。

六角は削り落して細くします。意外に簡単で、なおかつ精度もあります。私の場合はインチ材のクズをメトリックにしてます。
5. Posted by 鹿ヶ谷   2011年07月26日 21:10
オーストラリアって世界の田舎なので意外といろいろなものが高いんですよ。制御盤屋で銅のスクラップ値段を聞いたら、えらく高かったので驚いた記憶があります。
安いものは米と電気と肉と乳製品くらいかな?衣料品も高くて質が悪いので日本に行ったときに買い込んできます。

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