2011年07月23日

続々 糸鋸の達人

1412 これらはカワイモデルで作った特製品だそうだ。Oゲージで それぞれ1台ずつである。どのような人が注文したのかは全く分からない。
 どれを見ても繊細な作りで、これらを所蔵している人はきっと大切にしているであろう。


1429 これは汽船の煙突の木型と骨組である。板の厚さ分だけ小さく作った木型に、朱肉を塗ってブラス板の上を転がす。そうすると側面の展開図ができる。それを丸めて骨に貼り付けるのだそうだ。丸みは叩き出しである。
 船体も板の厚み分だけ小さく作っておき、ブラスの板を切り出して叩きだして丸みを付けて貼りつける。板の継ぎ目は木型に継手の厚み分を彫込んで、その上でハンダ付けする。全部できてから、木型からはがし取ると船体が完成している。そのあと内部の骨を入れ、甲板を取り付け、上部構造体(super structure) を作る。
 木型の木は緻密な木材(エゴノキ)を購入して、裏庭で何年も乾燥して使用し、塗装は造船所から指定されたマンセル番号で調色して仕上げる。

1413 これは珍しいカットモデルである。内部の造作を一つ一つ作り、色を塗って取り付ける。舷側がないと強度不足になるので注意せねばならない。
 模型の発注は造船所での組み立て開始とほぼ同時で、進水式の時の式典に間に合わせねばならない。納期は3カ月以内らしい。そのような式典でお披露目があると、その製作者として紹介され、なかなか良い気分であったと仰る。納品された模型は木箱に詰められ、その船で本国に運ばれ、船主の事務所に置かれる。道中かなりの振動があるので、壊れないように強度を保つよう、気を付ける。

14101411 たまにこのようなエンジン本体の注文もある。これはズルツァの12気筒過給ディーゼルエンジンである。図面だけでこのようなものを正確に作り上げるのだから、その腕は素晴らしい。一体どうするとこのような模型ができるのか、素人には想像することも難しい。
 このエンジンは3台作り、2台はドイツに運ばれ、1台は大阪の交通博物館にあるとのことである。お近くの方は御覧になれるかも知れない。

コメント一覧

1. Posted by AC9   2011年07月26日 00:14
博物館でしかお目にかかれないカットモデルなどは、
何時まで見ていても厭きる事がございません。
如何造って如何塗っているのか、想像している
だけでアッと言う間に時間が過ぎてしまいます。

所でこのファンネルとメインマストの形状は見覚えが
ございますね。
地元に非常に縁の深い船です。
2. Posted by dda40x   2011年07月27日 20:09
AC9様 コメントありがとうございます。
この船は日本の船だったのですか。
カットモデルは舷側の内部も見せるので継ぎ目が見えないようにしなければなりませんし、壊れないように作るのには工夫が必要だったそうです。

写真を多数見せて戴きましたが、ご家族が写っているものが多く、割愛しました。
作業場に何隻かが同時進行という時もあったそうです。 その様を想像するだけでもすごいですね。
3. Posted by AC9   2011年07月28日 22:10
>作業場に何隻かが同時進行

大きく重い模型は、向きを変えたり裏返したりも
大変ですから、人間の方が模型の周囲を動き回る
事になり、相当な作業空間が必要になる筈です。
その上、塗装の工程も考えると・・・

ここで想像力が尽きてしまいました・・・
4. Posted by dda40x   2011年07月30日 17:28
>相当な作業空間が必要になる筈です。

 作業場はとても広く50坪ほどあります。 そこに作業台が 3台くらいあり、ロクロ、塗装台がありました。一時期はお弟子さんが2人ほどいらした時期もあるようです。

 今その作業場は・・・
5. Posted by northerns484   2011年08月07日 07:22
先日、仕事でとある造船所を訪問する機会があり、本社の入口に大型の船舶の模型が飾られていたのを見ました。そこそこよくできていたかなとは思うのですが、こうして伊藤さんの作品の写真と比べてみると、足元にも及ばないという印象です。正しく伝えるだけの語彙を持ち合わせていませんが、伊藤さんの作品は、隅々まで神経が行き届いていて、ぱっと全体を見たときに、ある種の緊張感が伝わってくるような気がします。

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