2011年07月21日

続 糸鋸の達人

how to cut long with short-frame coping saw 伊藤氏は、ノギスを使ってブラス板に0.40mm間隔で線を引いた。その隙間を0.23mmの厚さの糸鋸が進む。いかに達人とは言え、多少の蛇行はあるだろうと思っていたが、糸鋸はどちらの線にも触れずに真っ直ぐ進むのである。この時、照明は裸電球一つである。光の反射を使って鋸の進む道を確認している。

 奥まで切り込みたいときは、糸鋸の刃をペンチで挟んでねじる。上端と下端は焼きが入っていないので、簡単にねじられる。これで準備は完了だ。図のように弓を板の外に出して切り進む。図は蛇行を誇張している。
 これの実演を見せられた時は愕然とした。昔雑誌で見たのは、弓を曲げる方法だ。それでは弓の剛性が大幅に減少してしまう。弓は堅くなければならない。最近はアルミ合金あるいはチタン合金製のはしご状の弓がある。軽くて剛性が極めて高いらしいが、値段も素晴らしい。この弓は、刃の方向を45度ねじって留めることができるようになっているから、上記の方法が簡単にできる。
 
 話は元に戻るが、筆者が懸念したのは、弓の張力でねじりが戻るのではないかということだ。それは全く問題なかった。1m近く切った後でもねじり角は保たれていた。
 この方法は、筆者もときどき使わせて戴いている。懐がせまい弓なので、ちょっと奥まったところはこれに限る。色々な作業をしようと思うと、弓は何本か必要だ。

 さて、このように切り離した大きな板を大きな油目ヤスリで2回なでると、ちょうどケガキ線まで削ることができる。伊藤氏は、このように仕上げた板を定盤に立てた。完全に密着して、向こうからの光は漏れなかった。恐るべき技量である。かなり練習したが、その域には到達できそうもない。
 もっと長い板が必要な時はこれをつなぐ。ネジを立てて小ネジを数本用いて当て金を留め、ハンダ付けする。ネジ頭はヤスって落とす。このような方法で伊藤氏はたくさんの船を作られたのだ。

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コメント一覧

1. Posted by 鹿ヶ谷   2011年07月21日 12:16
0.4mm間隔の線の中をはみ出さずに切れるってのはすごいですね。私はせいぜい0.6mm間隔がいいとこです。若くて目が良かった頃は0.5mmもできたかもしれませんが。
2. Posted by 初瀬春日   2011年07月21日 12:19
まっすぐ切り進む技術はとても真似できないほどすごいと思いますが、こういう達人の技を見ていつも思うのは、実際に切る作業よりも照明の当て方、板の置き方、支え方、など、周辺の事項が実に合理的に的確にできているということです。
それも含めての技術だと言われればそれまでですが、周辺のことはすぐにでも真似ることができます。
私がいつも困るのは切り子でケガキ線が見えなくなることです。
息で吹き飛ばしても完全には除去できず、結局切るのを中断してきれいにしてから、もう一度切るということになり、どうしてもきれいに切ることができません。
その辺のノウハウが何かあれば教えて下さい。
3. Posted by railtruck   2011年07月21日 20:48
刃の厚みが0.34mmというと、番手は#1くらいでしょうか?
因みにその時の材料は快削材として、板の厚みはどのくらいだったのでしょうか?
プロの方は目の粗い鋸刃を使用しているのかと思い、おたずねします。
4. Posted by dda40x   2011年07月22日 10:44
皆さんコメントありがとうございます。
やはりコツは光の当て方と切り粉が積もらないようにすることです。快削の板なら切り粉はほとんど下に落ちます。
それから、伊藤氏は引くときに力を入れて、戻すときにはほとんど触らないようにしていらっしゃいます。
大きな机にクランプで一か所留めるだけですいすいと切っていきます。

railtruck氏の御指摘でマイクロメータで実測しましたら0.23mmでした。#3/0です。申し訳ありません。訂正しました。
机の前に張ってある表を見て#3の数字を間違って書きました。私も#3/0以外あまり使いません。特別に薄い板を切るときだけ#6/0を使います。
伊藤氏が実演してくださったのは0.6mmでした。 

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