2011年04月27日

「1000記事達成!」 の通知を受ける

 気にも留めていなかったが、昨日表記の通知が届いた。思い起こせば2006年8月末から始めて、当初は毎日更新であった。ある方から、ペースが速すぎてついていけないと言われ、2日に一回とした。

 このブログを始めたきっかけは既存のメディアに対する不満からだ。とにかく勉強が足りない。金を取って売る雑誌なら、少しは努力せよと言いたかったのである。筆者は職業柄、物事を客観的に見ている。鉄道模型は情緒的な面もあるが、本質はメカニズムである。

 幼少のころより、技術者であった父の指導の下、理屈に合った模型を楽しんできた。ところが雑誌に書いてあることはそれとは異なり、大きな誤りも多々あった。それを正す人が居ないのは、この趣味を楽しむ人たちのためにならない。それなら書いてみようということになったのだ。もっとも筆者が楽しむのはO Scale であり、日本ではやや異端である。あまり影響力を及ぼすことはできないとは思っていたが、読者の方々の賛同を得ることができた記事も多かった。

 「快削ブラス板の採用」、「炭素棒ハンダ付け」、「バネの効いたイコライジング」、「ステンレス容器中での折れ込んだタップの溶解」、「曲がった橋」、「パイクは卑称と言う新説」、など、今でも読み返してみて感慨深い記事もある。一方、興味深いがとても手が届かないという御意見をたくさん戴いた記事もあった。ロストワックス関係の記事がそうである。
 日本ではどういうわけか、ロストワックスのプロセスが模型雑誌には久しく載らなかった。ある人は、「秘匿している。」という表現をされたほどである。
 アメリカではごく当たり前の鋳造法で、電話帳で Casting の項を調べればいくつかは簡単に見つかる。この方法のテクニックを公開することは、当然必要なことであり、多くの人がその恩恵に浴することができればよいと思う。

 最近はブラス工作をする人が減っているが、やってみればこれほど簡単な工作はない。接着という時間のかかる難しいプロセスがないのである。やけどさえ気を付ければよいのである。
 工具をそろえると速くできる。おそらく投資金額分を時間の節約ですぐ回収できるはずである。また、プロの工房でのテクニックを皆さんに披露したい。本当はそのような記事こそ、雑誌に載せるべきなのである。

 もうひとつこのブログでやりたかったことは、中間に人を介さない直接の海外の情報提供である。過去の雑誌の記事を読むと、記事を書いている人が、だれか(通訳?)を介して情報を集めているのが明白なものが見つかる。とんでもない勘違い記事があるのだ。このブログではすべて筆者が自分で集めた情報しか書かない。伝聞はウラを取り、間違いがあればすぐ訂正する。しかし、雑誌は誤りを指摘しても、まず訂正しない。困ったものだ。 

 幸い、筆者は伊藤 剛氏、井上 豊氏、祖父江欣平氏、椙山 満氏ら、綺羅星のごとく輝く先輩模型人に直接の御指導を戴いたので、その一部でも御紹介したいと考えたのである。彼らの助言なしにはとても現在の自分があるとは思えないのである。感謝している。

 また、読者の方々からは有用な助言をたくさん戴いて励みとなった。あらためて御礼を申し上げる。

コメント一覧

1. Posted by nam   2011年04月28日 07:22
1000記事達成おめでとうございます。
化学的な機序の説明がある記事は本当に貴重ですので、祝福よりも、そのような記事を1000回も更新して下さったことへの感謝の気持ちが大きいです。

個人的に印象的だったのが、米国の模型人の合理性と器用さです。彼等の様な方々が各分野に居るために、米国の科学力は抜きん出ているのだと思いました。日本も工業力では決して負けていないはずですので、種々の技術を基礎的な部分から模型に応用出来ればと思う次第です。

日本の雑誌が米国型から学びにくい背景には、
・Oスケールという馴染みのない規格が主流であること
・米国型という馴染みのない外観のため人気が出ない
ということがありそうです。
・16番で
・日本型を
・理屈に合った構造で
製作した記事から趨勢が変化するかも知れません。
2. Posted by harashima   2011年04月29日 22:42
貴ブログを意識しているな、と思われる記述が他のサイトでも見られるようになりました。
良い影響を与えられていると思います。

炭素棒ハンダ付けは、本当に製作が楽になりました。
感謝いたします。
3. Posted by northerns484   2011年05月04日 14:22
遅ればせながら、1000記事おめでとうございます。ほとんど休みなく継続的に情報発信されてきたことに改めて驚嘆するとともに、充実した内容を提供していただいていることに感謝します。

> 筆者は職業柄、物事を客観的に見ている。
:
> このブログではすべて筆者が自分で集めた情報しか書かない。
> 伝聞はウラを取り、間違いがあればすぐ訂正する。

国民性に起因するのか、教育に起因するのか、いろいろな理由があると思いますが、「『権威のある』人の言うこと」が、伝言ゲームで伝わってゆき、それが「正しいこと」として無条件に鵜呑みにされてしまうことがあることを残念に思うことがあります。そのような中で、貴Blogでは、上記の姿勢を貫かれていることに強く共感するものであります。

引き続きの充実した情報発信に期待しています。
4. Posted by ワークスK   2011年05月04日 21:03
 一千記事達成、おめでとうございます。これだけの内容を5年間、コンスタントに書き続けられてきたことは、ただただ驚嘆です。
 今までに見たことも聞いたことも無い内容がほとんどですから狼狽えることもありましたけれど、さまざまな既成概念を一刀両断される論理は明快で、読む側には快感ですらあります。また行動力や人脈の広さも凄いの一言です。
 これからも、我々が目の覚めるお話をお願いいたします。
5. Posted by dda40x   2011年05月04日 22:30
皆様コメントありがとうございます。
掲載するなという注釈付きのメールもいくつか戴いています。読者の皆様の支えがあってここまで来ました。

nam様のコメント中、アメリカはOスケールが主流とありましたが、それは正しくありません。もう50年も前にHOにその座を奪われています。今はNとHOが半々だと思います。Oスケールは数%以下でしょう。
アメリカ人の中にはとてつもなく器用な連中が居ます。彼らが全体を引っ張っているのです。
翻って日本ではどうでしょうね。そういう人たちがたくさん居るのですが、あまり外には見えてきません。

最近インターネットのおかげでそのような方たちの動きが見えるようになりました。
6. Posted by AC9   2011年05月05日 22:00
後ればせながら連載1000回達成おめでとうございます。
これからも「模型工学」のバイブルとして拝読させて頂きます。
過去の記事では、米国人ファンの鉄道模型に対する圧倒的な情熱に衝撃を受けた事が、印象深く残っております。
その「原動力」を「高効率」で伝えて頂けたのが何よりの宝と存じます。
7. Posted by dda40x   2011年05月08日 07:46
 確かに「工学」が忘れ去られています。模型が工芸になってしまいました。
 見掛け上それがきれいに見えたとしても、ハンダの回っていない作品を称賛する風潮はよくないと考えます。

 先日ギヤボックスを自作したものを拝見することがありましたが、トルクアームがないので前後進の調子が異なります。これ一つとっても、過去の雑誌の指導者がそれを知らなかったことがわかります。
 
 正しい模型作りというよりも、当たり前の模型作りをしたいと思います。

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