2011年01月19日

続 磁気回路

KTM 30mm Core Motor Magnet Removed 次に1970年ころ製造のKTM製モータ②の磁石を外した。これはアルニコ系の磁石で、高橋氏によると三菱系の会社の製品だそうだ。もうすでに磁力は落ち、吸着力はたったの300g重(3 N)しかない。これを外した空間に30x15x5 mmのネオジム磁石(吸着力8.2 kg重、83 N )を入れ、残りの部分は軟鋼板のつもりであった。しかし、20 mmもの厚さを板で埋めるのは大変である。

KTM 30mm Core Motor Modified そこで外した磁石を90度ひねって吸着させたところ磁極に関係なく着いてしまった。いかにネオジム磁石が強いかがよく分かる。しかしアルニコの磁極が生き残っていると面白くない。何かの本に、衝撃を与えると、容易に磁極の変更ができると書いてあった話を思い出した。ネオジム磁石に吸着させたまま大きなクランプで磁気回路を形成するように挟んで金床の上に置き、割れない程度に金槌で百回ほど叩いた。すると本当に磁極が90度転換してしまった。それを押し込んだら改造は完了である。これなら早いと思ったが、実のところ思わぬ障碍があった。磁力が強すぎてフレームがたわみ、電機子に接触した。少し修正して廻るようになった。

 電流を通じると、起動電圧が1/4以下になり(7 V⇒ 1.5 V)、12 Vでの無負荷電流も1/3(1.2 A⇒0.4 A)になった。このデータは以前の状態がいかに駄目であったかを物語っていて、ネオジム磁石がどの程度機能しているのかはわからない。
 しかしトルクはかなり大きくなっていて、測定はしていないが、数倍になっているような気がする。7溝であるのでさしたるコッギングもなく、調子よく回った。

torque meter 今トルク計を設計している。トーション・バー(ねじり棒)にパイプをかぶせ、それに付けた針が、ねじり棒上の文字盤のどこを指すかを見ればよい。回転しているからストロボで短時間の発光をさせて見る必要があるが、最近はデジカメの時代だから撮影、検証は容易だ。定常状態で行うのでブレーキを掛けつつ、電流電圧を表示させ、写真を撮らねばならぬ。このような実験装置を作るのは楽しい。何かの発見があるかも知れぬ。
「ノーベル物理学賞を取ろうと思えば、まず実験装置を自作せよ。」とは、よく聞く話ではある。

Tachometer and Optical pick-up 
 回転計は旋盤の主軸回転数を測る光学式のものがあるので、それを外して一時的に使用する。旋盤用は40枚の羽根がついているので、それを4枚にすれば回転数測定時には、単に読みを10倍すればよいことである。


 トルク × 回転数で出力が計算される。電流 × 電圧で電力が算出されるので、それらを元に効率も知ることができる。ネオジム磁石によってどの程度改善されたかが分かり、コスト・パーフォーマンスが客観的に示されることになる。
この客観的というところが大切で、このようなデータは模型雑誌ではついぞ見かけることがないものである。
 どんなに良いといっても信じがたい話が多い。特に機関車の性能についての記事は、怪しいものばかりだ。

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コメント一覧

1. Posted by TS   2011年01月19日 11:29
こんにちは、

ネオジム磁石はメルクリンが長年に亘り使っていました。ブラシレス化とかコアレス化された今の製品はどうか知りませんが。一時期、神奈川の某精密モーターメーカーがネオジム磁石をメルクリンに供給していたそうです。

モーター性能測定は私もラジコンヘリでしていたことがあります。模型用DCモーターの理論解説や長年取得してきた測定データのHPページも作りましたが、訳あって今月末に閉鎖になります。私が測定していたのはほとんどブラシレスでしたが、ブラシモーターの場合、ブラシの状態で性能が大きく左右されるので、測定はかなり難しいものがあります。特に鉄道模型では極低速走行が多いので、ブラシの抵抗は無視できないのではないでしょうか?
2. Posted by dda40x   2011年01月19日 12:40
>特に鉄道模型では極低速走行が多いので、ブラシの抵抗は無視できないのではないでしょうか?
 
 仰るとおり、ブラシの調整は大切です。軽負荷を掛けて圧力を調整します。HO以下とは異なり、Oゲージのモータは電機子径に対するコンミテータ径の比が小さいので、やや有利です。
 当鉄道では動力伝達系の抵抗が極端に小さいので、モータがひっかからずに起動すれば、問題なく低速走行が可能です。その状態で負荷が掛かって止まっても、電流を増すと滑らかに走り出します。一時期、ブラシレスモータの研究をしましたが、Free Rollingを実現できないので採用はあきらめました。
3. Posted by 森井 義博   2011年01月19日 19:44
もし宜しければ、下記をご覧下さい。
http://morii.blog.eonet.jp/rmodel/2006/07/backemf-6f86.html
モータの特性を測定中の写真を載せています。
これは以前に仕事でモータの設計をしていた時に教わった測定方法です。(長年の実績のあるプロの測定法です)
簡単な仕掛けで、正確に測定できます。
25年以上前ですが、当時は、自動測定器よりもこの方法の方が正確に測れていました。(小型モータの場合です。今はどうなっているかは存じません)
用意するものは、プーリ(φ20とかφ40が計りやすい)、糸(切れなければ何でもOK)、フォースゲージ(ばねばかりでOK)、錘(重量がわかっていれば本物の錘でなくてもOK)、回転数計(非接触が良い)
フォースゲージを上に吊り、糸をかけてモータに取り付けたプーリに1周巻きます。
その糸の先に錘を付けます。
モータを錘が上がる方向に回転させます。
(錘の重量-フォースゲージの示す値)×プーリの半径 がその時の負荷です。
その負荷で回転数を計り、違った重量の錘に付け替えて何点か計れば特性図を描くことができます。
4. Posted by 初学者   2011年01月19日 20:47
質問させてください。
森井様の方法ではプーリがスリップしているのでしょうか。
それとも起動トルクを測っているのでしょうか。
回転数を計っているので混乱してしまいます。
5. Posted by 森井 義博   2011年01月19日 21:40
プーリとモータの軸は固定です。
モータは回転した状態です。
プーリに巻き付けた糸がスリップしています。
錘が重力で下に下がる力と、プーリのところでスリップした糸が上に上げられる力(モータに加わってる負荷)の差がフォースゲージに表示される力となります。
錘の重さを変えるとモータに加わるトルクも変わるので、トルクの変化をx軸に、回転数をy軸にプロットして近似曲線(ほとんど直線)を描けば特性図ができます。その特性の線を延長し、回転数が0となる点が起動トルクと見なされます。
起動トルクを直接正確に測定することは困難と思います。
理由は、
(1)モータをロックすると大電流が流れて巻き線抵抗が変わったり、最悪の場合焼ける。温度上昇で磁石の起磁力も変わる(弱くなる)。
(2)ロータの位置によってトルクが変わる(トルクリップル)
ということです。
低い電圧(定電流が望ましい)を加えてモータ本体を回転させ、ロータと磁石の角度に対するトルクの変化を見る場合もあります。
6. Posted by dda40x   2011年01月19日 22:21
初学者様 良い質問をしてくださりありがとうございました。
森井様 当を得た解説ありがとうございます。

直流モータの特性図は単純ですから、比較的簡単に測定できます。
7. Posted by 初学者   2011年01月20日 01:16
お答え頂きありがとうございました。 よくわかりました。

測定時の出力は、結局は熱に変わるわけですから。その熱が大きい時(Oゲージ用モーターなど)のときは測定器外で発生したほうがよいと思います。

dda40x氏 の方法ですと、おそらく発電ブレーキを考えておられると思いますからその熱は電熱器で捨てることになるのでしょうね。ストロボスコープ方式のトルク読み取りは面白そうです。モーター軸に印をつけてストロボ撮影してみました。ちゃんと止まって写りますね。
その実験に参加させて頂きたいものです。

8. Posted by 森井 義博   2011年01月20日 19:58
初学者様の仰るとおり、私の書いた方法ですとプーリに熱が出ます。
でも、そんなに熱くはなりません。(私が仕事で設計していたのはコア付ブラシレスですが、φ80というのもあったりしてOゲージ用モータよりも大きい物が大半でした)
むしろ、モータ自体のコイルの発熱が問題で、ブロワーで強制空冷したりして測定することもありました。

自動測定器の精度が良くなかった旨書きましたが、理由はモータ軸と測定装置との取付部分で精度がなかなか出せなくてモータ軸に余計な負荷がかかるからです。精度を出そうと調整すると時間がかかって自動機の意味が無くなります。(ボールベアリング付のモータでも影響が出ました)
私の提示した方法は、糸がプーリの周りにほぼ均一に負荷をかけますので、軸への負荷が少ないということです。(厳密には糸を上げるのと引き下げる力が働くので軸への負荷は0ではありませんが無視できる程度です)
dda40x氏 の方法も、実現する際には軸へ余計な負荷が加わらないように考慮しておく必要があると思います。

それから、私の持っているHOの鉄道模型の場合、モータの負荷が0に近いところで動いていることが多いです。(dda40x氏のように伝導効率を良くしている場合はなおさらだと思います)
モータの最高効率は、起動トルクの1/3前後の負荷点になりますので、通常走行時の鉄道模型でのモータの効率は0に近いと思います。

話がずれますが、仕事で回転数を測定する時は、ストロボを使用していました。
定周期で発光するストロボの光をモータに当てます。
発光周期を徐々に変えていくと、ロータ(実際にはプーリ)の回転が止まったように見えます。その点が、回転周期です。(但し、発光周期が回転数の整数倍でも止まって見えるので注意が必要)
なお、個人的に回転数を測定するのはもっと簡易に回転数を表示してくれる測定器を使用しています。

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