2010年12月30日

続々々々 慣性を増大させる装置

 増速装置をどんな構造にするかは少々悩む。
 各軸同じように取り付けられたギヤボックスの上にギヤボックスを重ねてつけるのは、せっかくイコライズしているのに意味がなくなる。なるべくバネ下質量を小さくしておきたい。たいした質量ではないはずであったが、試作してみるとかなりの質量で驚いてしまった。
 駆動軸から平行にユニヴァーサル・ジョイントで動力を取り出し、床上に固定した増速装置につなぐ。
 スパーギヤで増速すると大きい方の歯車の収納に頭を悩ます。筆者は「全ての歯車は密閉式ギヤボックスに収める。」という主義であるので、大きな防塵ケースの取り付け空間を探すのは難しい。

 遊星ギヤのシミュレイタがここにある。この作動は小学生のころから興味があった。これを画面上で確認できるのは嬉しい。
 
 以前から気になっているものに、タミヤの遊星ギヤのキットがある。定価は1500円であるが、カーボンブラシ付きモータが付属していて、それにも興味があった。
 購入して内部を調べた。歯車の材質はエンジニアリング・プラスティックとあるので、油をつけても大丈夫なのだろう。
 子供のおもちゃとしてはよく出来ているが遊星ギヤの保持をしているキャリアがゆるい。3つの小さな遊星ギヤが完全な円運動をするとは思えない。ジャラジャラと音がするのは、その結果のような気がする。これを採用するのなら、その部分を作り直す必要がありそうだ。
 また大きなエネルギ伝達をするので、遊星ギヤ軸にもボールベアリングが必要であろう。
 
 このキットには1/4のセットと1/5のセットが2個ずつ入っているので全部を組み合わせると1/400というギヤ比も可能である。その1/4のセットの遊星ギヤが正三角形の頂点にはないことに気が付いた。
 多分サン・ギヤ(中心の歯車)とのかみ合わせの問題で遊星ギヤを保持する三角形のキャリアが変な動きをしたのだろう。3つのギヤに同じ力が掛かる位置を探してこうなったのだと思う。あまり賢明な設計とは思えない。歯数が少ない(14枚以下)であるから、通常の歯形では駄目である。

 実物は車の自動変速機の中にあり、はす歯歯車を使っているので噛合い率が一定でこのようなことは起こらないはずだ。普通の歯車では、噛合い率が低ければ歯を蹴飛ばす音がし始める。平行軸ドライヴならそれだけのことであるが、遊星ギヤの場合は、キャリアに不等な力が掛かって踊り始める。このようなことが分かったので、遊星ギヤホルダは別途ボールベアリングで二重軸にして支える必要が出てきた。改造は大変だ。根本的な設計変更が必要である。 

コメント一覧

1. Posted by railtruck   2010年12月30日 15:48
タミヤの遊星ギアとコアレスモーターによる発電機です。
http://i280.photobucket.com/albums/kk168/sdhknch/Others/DSCN2364a.jpg

10年以上になりますが、ギア部の異常は特に感じません。
増速比25:1で、キット付属のグリスを使用しています。
缶モーターやコアレスモーターを載せた車両なら、この発電機で楽にスルスルと走ります。
2. Posted by dda40x   2011年01月03日 09:01
> 10年以上になりますが、ギア部の異常は特に感じません。
プラスティックの材料はよさそうですね。ただ、音がうるさいのは問題です。噛合い率が小さいのと、内部のキャリアが真円運動をしていないからだと思います。
3. Posted by カンタンク   2011年01月09日 17:47
>その1/4のセットの遊星ギヤが正三角形の頂点にはないことに気が付いた。

こんな感じの
http://venturewatch.jp/aist/20091216.html
不等間隔配置による遊星減速機構もありますから、それを利用しているのでは?
と、思います。実際は設計したタミヤのエンジニアに聞くしか無いですが。
4. Posted by dda40x   2011年01月11日 07:06
ご教示の図には、まさに私の申し上げていることが描いてあり、噛合いを優先した結果、ベクトル和がゼロにならない様子を示しています。
これでは回転するキャリアが安定せず、騒音の元になっています。
タミヤはそれを承知で作ったのか、噛合いだけを考えたのかは分かりません。常識的には、やってはいけない設計です。
5. Posted by YUUNO   2011年01月11日 07:39
遊星歯車は、5つの歯車の歯数の和が3の倍数でなければ必ず1/3ピッチずれた不等間隔配置になるという法則があります。
「1/4」「1/5」というわかりやすい減速比を優先した結果、不等間隔になったのだと思います。

理屈の上では歯を細かくして歯数を3倍にすれば等間隔にできますが、玩具としては扱いづらい物になるでしょう。

これで遊ぶ子供が不等間隔であることに気付けば教育効果もあるかもしれません。ただし、理由を説明できる大人は少ないでしょう。

除雪車のビデオの件ですが、なにぶん昔のことで、どこで見たのかどうしても思い出せません。
すみません。

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