2010年12月04日

Vestibule Diaphragms

 その昔のTMSに「宍戸博士の旅行カバン」という記事があった。氏は軟らかい連結幌を見つけて、興奮した文調でそれは伝えられた。「くねくねとよく曲がる。」とあったのだ。ネオプレン製と強調してあったことを覚えている。
 ヴェスティビュールとはデッキ付近(昇降口)のことである。ダイアフラムは横隔膜のことであるが、ここでは幌のことである。
MHP DiaphragmsMHP Diaphragms squeezed 長年その現物を探し求めていた。数年前の O Scale West でついに見つけた。たくさん入っている箱ごと、ごっそり買うことに成功した。
 これがその箱である。1組入っている。「MHPの幌」とあり、Patent2568684と誇らしげに書いてある。ネオプレン製と表記されている。ネオプレンゴムはデュポンの耐候性ゴムで、雨ざらしにしても割れたりしない。
 調べてみると1947年出願で、1951年に特許が降りている。ちょうど宍戸氏が渡米された頃である。20年ほど前宍戸氏にお会いした際、このことを聞いてみた。「あれはよろしいですな。しなやかでよく曲がりましたわ。」と嬉しそうに語られた。それから50年以上、この幌は素晴らしい弾力を保持している。

 極めて薄いネオプレンゴムのチューブを拡げて、枠を押しこんだものである。このゴムは直射日光にも耐え、長もちする。端面には薄いアルミ枠が付いていて、相手にはまって弾力で押しつけられ、抜けない。ポイントを通すと、本当にくねくねと曲がって気分がよい。ゴムはかなり長持ちするが、物理的に破れてしまうこともある。枠の角にはかなりのストレスが掛かっているから、そこが擦れると破れてしまう。すると破れは全周に拡がり、幌はちぎれてしまう。

 この方法はゴムの弾力を最大限に活用しているので、圧縮にもバネとして機能する。かなり軟らかく実に具合がよいが、HOには弾力が強すぎて難しいかもしれない。金属製で重い客車ならよいが、昨今のプラスティック製客車には適合しない惧れがある。
 当時の資料を見せてもらったことがあるが、一応 HO,OO用というサイズもあった。もちろんSゲージ用もある。

 この黒いネオプレン・チューブさえあれば、再生産は可能だ。組立て済新品を売っているところを探すのだが見つからない。 

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コメント一覧

1. Posted by 佐々木精一   2010年12月17日 05:39
このダイヤフラムをHOのモノで数組ですが入手しております。30年以上も前のことです。
素晴らしく良いゴムだと思いました。
ですが、私の模型鉄道では採用には至りませんでした。
当時は、外観が少し違うな…という印象でした。
今なら合格です!

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