2010年10月09日

Low-D Wheel の効果

 関西合運の舞台上のエンドレス・トラックには、いろいろなお客様が見にいらした。Oゲージの仲間にはすでに知れ渡っているので、他の方にも事前に宣伝して戴いたのかもしれない。

 感想としては、「ボール・ベアリングが入っているのだろう」というのが大半で、フランジ形状に言及される方はほとんどなかった。カーヴでもほとんど減速しないということにはほとんど誰も気が付かない。
 やはり、模型を走らせて性能を調べている方は少ないというのが実感である。

 ボールベアリングは、低軸重の車輌には不利である。というのはボールベアリングの中にはグリースが入っている。その攪はん抵抗は無視できない。
 筆者の実験では軸重 100 gw まではピヴォット軸受が有利である。もちろんピヴォット軸受にはごく少量のモリブデングリスを付けてある。「ピヴォット軸には注油してはいけない」と書いた人が居たが、それは明らかな間違いである。全く訂正文が載らないのはおかしなものだ。

 ブラス製の重い客車などにはボールベアリングは不可欠である。筆者の客車の中には軸重が 500 gw を超えるものがある。あるアメリカ人が作った客車で内部には9.5 mm 角のブラスの棒が補強で4本も入っている。全くの過剰品質である。脱線すると、周りのものがめちゃくちゃに壊れるだろうから、近所迷惑であること夥しい。重いが、ボールベアリングのおかげで、滑るように走る。

 電車ファンの方は、静かに走るということが非常に大事で、その点でこの車輪を購入する方が多い。めっきすると、平滑度は格段に低下するからやかましい。その点、この製品は高精度の旋削で、真円度が高いから静かに走る。
 今回の増産では、電車用ということで片方をネジ込みにした。絶縁側をネジ込みにするのは、性能保証上出来なかったが、外れるのは片方で十分である。
 そのネジはJISの 4 mm の細目で、超精密に仕上っている。ガタが全くない。ねじ込めばもう外れることはない。接着剤で緩み留めをすることは必要ないのだ。
 緩いネジは、それだけですでにエキセン(excentric)でフレている。
 
 製造所が変わったので心配したが、前回と同程度以上の仕上がりであった。「機械の精度が製品の精度」というのは本当である。市販も始まったので、いずれこれが「事実上の規格」になると信じている。

 13mmゲージの方たちも見にいらして、非常に興味深くご覧になった。聞くところによると、13mmゲージの車輪の規格はきちんとは決まっていないそうである。
 13mmゲージは、蒸気機関車と客車を主体とするファンによって支えられているとのことである。より安定な走行を求めると、それは新しい車輪を作らざるをえないことになる様だ。優れた車輪を大量に作って安く売れば、皆それを採用するだろうから、「お手伝いしますよ」と申し出ておいた。 

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コメント一覧

1. Posted by nam   2010年10月09日 19:24
以前から、Lo-D車輪の記事を興味深く拝見させて頂いておりました。
ムサシノモデルのHPでは、車輪形状についてフィレットにまで踏み込んで記述されており、新進のメーカーは古い概念に捉われていないと感じます。もっとも、車体の方は超精密方向を向いておりますが。
ピボット軸受に注油が必要とのことについて少し疑問があるのですが、もし宜しければお答え戴けませんでしょうか。近年、ピボット集電の模型が非常に増加しておりますが、軸受と車軸の間で電食が発生すると思います。しかし、
1.電食により表面が荒れることによる走行抵抗の増加
2.別に集電シューを車軸に当てることによる抵抗の増加
では、接触面積や回転の周速から考えて、1の方が抵抗が少なそうです。流体軸受に近いものが理想ですが、現実的に1が最適解ではないかと思うのです。それとも、集電シューを当てるのには他に理由があるのでしょうか。
2. Posted by dda40x   2010年10月09日 23:01
> 軸受と車軸の間で電食が発生する

この電食という言葉ですが、電蝕であれば水中のことでしょうからここでは関係なさそうです。そうでなければ、電流が通っていれば細かいスパークが起きて、少しずつ減ることを指すのでしょうか。後者であれば、どのような場合でも多少は起きますね。

>別に集電シューを車軸に当てることによる抵抗の増加

集電ブラシを付けて走行抵抗の増加量を測定されましたか。やって見れば分かることですが、適正な設計の集電装置による抵抗は小さなものです。しかもそれは車重とは無関係で一定です。
どうすればそれを最小にできるかは中学校の理科の問題です。一番円周が小さいところに軽く当てるわけです。タイヤに当てるのは必然性があるときだけにします。
車軸の回転方向に依らず、同じたわみになるようにせねばなりません。

通電しない車両はモリブデングリスを少量塗布するだけです。これをモリブデンのような極圧型以外のグリスを塗ると効果がありません。この辺りのことは、勝手な判断での失敗が多く見受けられます。
3. Posted by nam   2010年10月10日 07:08
早速のご回答、ありがとうございます。
Nゲージでは、車軸集電とピボット集電では後者を採用した製品の方が明らかに良く走ったためこのような印象になっておりましたが、正確を期す為にはピボット車に集電ブラシを付けて実験すべきでした。でないと集電ブラシだけの比較になりませんね。
円周が小さいところに当てるということ、中学の理科で習ったか最早思い出せませんが笑、テコの原理や高校物理の動摩擦力の話からも納得出来ます。
モリブデングリスは、「潤滑」タグで読める過去の記事で学ばせて頂きました。今後も、科学的に正しい様々な記事を楽しみにしています。

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