2010年02月24日

イコライザの設計 その10

weight distribution diagram AC9様から興味深いグラフを戴いた。予定を変更してこのグラフの見かたについて考えたい。
 左側のグラフがAC9様の御教示のものである。この中の X は、イコライザ・スパンのアンカピン・スパン両端の距離に対する比であり、実物では 0.5 から 0.7 くらいである。
 
 ここで簡略化のために、言葉の定義をする。重ね板バネともう一つの重ね板バネの間に短いイコライザ・テコを置いたものを、"複式”と呼ぶことにしよう。大きなイコライザだけを設けたもの、すなわち井上氏方式を"単式"と呼ぶことにする。

 複式の重ね板バネをどんどん短くしていくと、このグラフでは下の方に行く。ここまでは筆者も考えたのだが、その長さをゼロにするところまでは考えなかった。素晴らしい証明で、複式の力学的重心と単式の力学的重心が一致することが見事に分かる。
 
 軸距離を一定にしてバネの長さを変化させるとどうなるかを表すと、右のグラフのようになる。このグラフは筆者の追加である。X は0.5とした。イコライザ・ピンの位置とボルスタ・ピン(キング・ピン)の位置がずれていくのが分かる。ボルスタ・ピン位置は上の図の中では目には見えない

truck bolster height 複式のときはセンタ・ピン位置が目に見えないことがお分かり戴けるはずだ。台車枠は浮動しているので、センタピン位置が外れると転ぶ。位置が合っていても、加減速で転ぶだろう。したがって、実物の台車では荷重が掛かる位置が車輪中心を結ぶ線より下に来るような工夫がしてあるはずだ。このあたりは専門家の栗生氏に解説をお願いしたいところだ。

[追記]
三重交通北勢線モニ220型 台車 弓型イコライザつき台車の図を心皿位置の例として出したところ、栗生氏から例として良くないという御指摘があったので、単式ではあるが心皿を低くしている例の図を挙げる。
 弓型イコライザの場合はコイルバネを複数入れているので、それだけでフンバリが効き、倒れない。もしこのコイルバネが一つだったらどうなるかと考えるとそれはモニ220の台車と等価である。

 複式の例は調査中であるが、F級電機のように先台車がないと倒れてしまうのは自明である。

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コメント一覧

1. Posted by 村田   2010年02月24日 08:57
イコライザ特集、かなり理論的になってきましたね。
私はなんとなく寸法を決めて作り始めてしまい、実走行テストを重ねていい所に落ち着ける方法(というか適当なだけか?)ですが、こうして色々と考察していきますと、最初の段階である程度確実なものが作れるようになりそうですね。

私が今作ろうとしているイコライザは、蒸気のもので、dda40xさんのA案?(もっとも普遍的?)なものを採用しようと思っています。
問題はバネの素材なのですが、あれこれと材料を探してきて試行中です。
2. Posted by ワークスK   2010年02月24日 21:54
5  ご指名がありましたので、シャシャリ出たものの、実際に設計をしたことがあるわけではないので、僅かに見知っている老人の戯言とお聞き流しいただければ幸いです。

 先ず御理解いただきたいのは、2つの図のイコライザーは、全く別物ということです。

 一部の方には信じられないかも知れませんが、最初の方は、この図に現された機構だけでは、台枠(バネ吊りがぶら下がっている構造体)は転んで(傾いて)しまいます。バネ吊り無しの形を連想していただくとお判りいただき易いと思います。
 そして、バネ吊りを付けても一緒で、台枠は傾きます。それでもイコライザー・バーはあらゆる角度で釣り合います。試作していただければハッキリします。
 それに対して下の図は、台枠は安定位置が一義的に決まります。

 もう一つ、前提として判っていただきたいことは、イコライザー機構は単に垂直荷重を分配するだけの仕組みだということです。
 車体から輪軸まで伝わる力には、この垂直荷重の他に、牽引やブレーキによるレール方向の力と、振動などによる枕木方向の力があります。トルクは省きます。この3方向の力は、各々全く異なる性質を持っていますから、別の仕組みで伝えることになります。もちろん、色々な制約があって、特有の機構が付帯することはあります。
 下の方の図で、弓形イコライザーバーが受け持つ力は垂直荷重だけで、推進力は加わりません。

 だいたい、これだけを御理解いただければ、後は自明のはずです。
3. Posted by dda40x   2010年02月24日 23:01
>  先ず御理解いただきたいのは、2つの図のイコライザーは、全く別物ということです。

栗生様御解説感謝します。
この下の図の例を出したのは、良くなかったかも知れません。上のタイプの台車枠が自在に傾くのは、模型を作らないと分からないのではないかと思ったのです。
実は私も高校生のときにEF55のキットを組んだ物をもらって、それをイコライズしてみたところ、先台車がなければ転んでしまうことが分かったのです。そのEF55は魚田真一郎氏に譲ってしまいましたが、とっておけばよかったと後悔しています。

下の図はコイルバネが離れているので、安定化します。しかし、心皿位置が高いと変な動きをします。揺れ枕で心皿が低くなっているので、あまり不都合を感じません。

 15インチ軌道の台車の製作を頼まれた時、設計時にそこに再度気が付きました。吊りリンクが長く、揺れ枕がよく効いてカーブ進入でのショックがなく都合がよいものです。

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