2009年08月17日

続々 多重制御

 アメリカでは35年ほど前から家庭電化製品の中に多重制御の工夫が入り込み始めた。正面きっての多重制御ではなく、各電球や、扇風機の中に組み込んだモヂュールにより見掛け上の多重制御ができるようになった。

 一番良く売れたと思われるものは、電球のソケットの中に埋め込んだ切り替え装置で、壁のスウィッチを手早くOn、Offすると、明るさが三段階に変化するものであった。これは筆者もたくさん買った。ありがたいのは電球が極端に長持ちすることであった。タングステンフィラメントが冷たいときには、その抵抗が小さく1/12くらいしかない。そこに規定電圧を掛ければ、電流は12倍流れてフィラメントは急激に膨張して切れる。
 この素子はその突入電流 rush current を抑制するように設計されているので、ほとんど切れない。ざっと10倍くらいは持つ。点灯すると、ボワッと明るくなるのがわかる。パッと付くのではない。

 時間が来ると自動消灯する電球もあった。賢いことに30分経つと、点滅して警告を発してから、やがて消灯する。これは我が家のトイレの電球に使っている。これもソフト点灯するので、築18年で一度も切れていない。

 天井の扇風機と電灯は2本しか電線が来てない家庭が多かった。電灯だけしかなかったところに扇風機をつけたのだから当然である。ぶら下がっている紐を引いてファンとライトを切り替え、回転速度は手を伸ばしてロータリー・スウィッチで切り替えていた。これを壁スウィッチのOn、Offで、全てコントロールできる。手早くOn、Offするとモードが順次切り替っていく。このモジュールはとても小さくまとまっていて、天井扇のベースに収まる。我が家の天井扇にもつけてある。大変具合が良い。

 ややぜいたくなタイプは、壁スウィッチのパネルに3つのモードの切り替えと明暗、回転の無段階調整がついている。扇風機中のモジュールとの通信は、最初からある2線で行うので、配線を触る必要はない。

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コメント一覧

1. Posted by へっついねこ   2009年08月18日 00:46
 はじめまして。
 アメリカ式の発想とか興味深く読ませていただきました。日本式のパッと点くほうが、生理的に快感ですが、科学的には合理性が無いですね。
2. Posted by dda40x   2009年08月19日 07:11
 日本製スライド映写機の球があまりにもよく切れるので腹を立てていました。コダックのキャラセルというブランドの丸いカートリッジが回転するタイプの映写機は球が切れません。
 調べてみると、電源を差し込むと、わずかな電流が流れてフィラメントが、ほの赤く光っています。スウィッチを入れるとフル電圧が掛かって明るくなります。
 このアイデアは古く、戦前の特許です。
 
 日本製の照明器具でこのような工夫があるものは皆無です。ただ、コンピュータのディスプレイで電球式のものがあった時代に、Offでも、ほの赤く光るものがありました。こうして球切れを防いでいました。これはアメリカの製品です。電力の無駄は甚だしかったですね。
3. Posted by 読者   2009年10月16日 14:13
5 アイディアを商品化する事にアメリカ人は長けているようですね。既に35年も前から普及していたとは彼我の差を実感させられます。
4. Posted by dda40x   2009年10月23日 07:26
 アメリカの住宅規模の大きさがその要求を作り出しているのではないかと思います。いくつかの電灯を手元で操作したいが、配線は触りたくないからです。
 もうひとつ、富裕層は新しい工夫の商品を買いたがるということがあります。これは大きな原動力です。ある程度売れれば、開発費は回収できるので、その後価格が下がり、買い易くなるのでしょう。

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