2009年07月22日
逃げ角
もし、ここに逃げ角があると切れ過ぎる。すなわち元の穴からずれても、ずんずんと切れてしまい、あらぬところに座グリ穴ができてしまうことになる。
氏の手作りの刃物には、その部分に刃さえついていなかった。材料が塑性変形するのを期待したのだ。さすがに摩擦が大きく、熱が出て、周りのハンダ付けがとれるほどであった。軸箱の穴を広げる時、軸箱蓋が取れてしまう。あとでハンダ付けすればよいのだが、面倒であった。
ほんの少し、歯科用のダイヤモンド・カッタで刃を付けると、ぐんと調子が良くなった。今回の製作でそのあたりの指示をしたら、製作者は理解しがたい様であった。
刃物を製作する人は、切れ味しか興味がない。切れ味を落とすことには理解を示さない。このドリルはブラス用に特化しているので、逃げ角がなくてもうまくいく。これが鋼相手であるなら、たちまち駄目になるだろう。
5 mm → 8 mmのドリルの根元は細くした。小さいボール盤しか持っていない人が多いからだ。これは評判が良かった。