2009年02月14日

続々 イコライジング

 「揺れるのはけしからん。」と仰る人もいる。「イコライズした模型に可動するバネが入っているのはもっとけしからん。」と叱られたこともある。
「イコライズするとどうしてバネが要らないのですか?」と聞くと「バネのたわみで、調整したイコライザが所定の位置からずれる。第一、変動が分散するからバネは不要である。そんなことは当たり前だ。」というお答えであった。また、「バネがあると、レイルの継ぎ目でコツンコツンという刻み音が聞こえなくなる。」とも仰った。

 これはどうやら宗教問題の様相を示す。話して分かるという問題ではなさそうだ。 筆者はバネは不可欠であると思う。その一方、上記のようにバネ無しイコライズが当然だという方もいらっしゃるのだ。
 大きな軸重を掛けて高速で走らせると、バネがなければイコライザは徐々にへたるであろう。しかもやかましい。

 最近のTMS誌上で紹介された祖父江欣平氏のBig Boyは極めて静かだ。フログの欠線部を乗り越えて行くときも、滑らかである。ドスドスという響きを感じるだけだ。実物どおりの重ね板バネを用い、緩衝性がある。あの記事には、そのことも全く触れていない。どうしてメカニズムに触れないのだろう。外見の話ばかりだ。

 以前OJゲージのEF58の紹介記事では、「ロンビック・イコライザ」に触れていた。4つの支点が同一平面上にあるのだろうか。あの構成では、車内の長いイコライザ・テコがたわむので、バネがなくても程々に柔らかいサスペンションになるであろう。しかし、揺れは減衰しにくい。ダンパがないからだ。
「鉄道模型はこれで完成の域に達した。」とまで書いてあったが、「スケールスピードを実現できないようでは完成の域に達したとは言えない」と考えるのは筆者だけだろうか。
 起動時にスリップが起こらないような設計ではモータが焼ける。そういうことは設計時には考えなくてもよいのだろうか。模型といえども機械である。
 およそ設計と言うものは条件設定が大切である。条件を無視した設計は意味がないはずだ。

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コメント一覧

1. Posted by 土橋 和雄   2009年02月14日 10:15
全くその通りだ。バネ、緩衝装置は、重いOスケールでは絶対要る。洋白軌条では摩耗が大きくなるはずである。また、音がきつい。
緩衝装置があれば、滑らかなサウンドと言える。
レイアウトで走らせれば一目瞭然で、静かな走行音の中にジョイント音が聞こえる。緩衝装置がない場合の走行音は、ざあざあとたまらなくうるさい。ダミーのロストワックス製の板バネと釣りボルトのところでの摩擦による摩耗が大きくなるはずである。当方のカツミEF58はリン青銅の板バネを入れている。
2. Posted by dda40x   2009年02月15日 00:01
 結局のところ、レイアウトでよく走らせる方は、板バネの効用に気が付いています。工作マニアが1,2mの線路上でしか動かさないときにはバネなしと、分かれているように思います。

 閑林憲一氏が、HOで重ね板バネを使ったイコライジングを、お手持ち全ての機関車に装備されました。極めて静かで調子が良いのです。閑林氏はご自宅のレイアウトで、毎日走らせていらっしゃいました。だからこそ「この方式しかない。」と断言できたのです。

 
3. Posted by ゆうえん・こうじ   2009年02月15日 10:00
 ジョイント通過時の音がいいのでイコライザーがよいと言われる方は、結構多いと思います。

 できればイコライザーとバネを両方入れた方がよのはわかっていますが、HO(16番)サイズでは難しい。またHO(16番)サイズではバネを入れるといっても、実物を縮小した機構では使い物にならず、大胆な模型化が必要だろうと思います。HO(16番)サイズの軸バネ可動というと昔からある軸箱の上に短いコイルスプリングを入れる方式が主流でしたが、あれではバネがほとんど撓まず、固定式と変わらないというのは中尾豊氏がTMS誌上で再三指摘されたことです。
 珊瑚の蒸機キットによくある線バネでイコライザー兼用?するという方式も大同小異、閑林さんがつくられていた左右の軸箱にかける板バネ方式も結局普及しなかったですね。
 つくづく、OサイズとHO(16番)サイズでは同じ機構でも話がちがうと感じます。
4. Posted by 01175   2009年02月16日 02:29
手元にHO創生期(最高電圧6V時代)のMantua社製品がありますが、これでは不対の大型の軸箱がZ型に曲げた燐青銅の板バネで可動するようになっていました(1938年頃の製品で、ReadingのI−10saです)。板バネは弱いのですが、駆動軸を固定にして安定化をはかっています。

HO(16番)でもコイルスプリングで充分に機能します。ただ、一般に市販のものは確かに硬すぎるようです。うちには1970年代に入手した複数の輸出用メーカーに起源する何種類かの燐青銅製コイルスプリングがあるので、その強弱を吟味して使っています。一時期、ロストパーツ・メーカーが燐青銅バネを出していましたが、需要がなかったのか、すぐに市場から消えてしまいました。アメリカではNWSLから4段階の強度のHO用コイルスプリングが出ていますが、日本でもロストの細密パーツに傾注される情熱の数分の一でも軸バネに割いてもらえれば、さまざまな重量に対応した、それぞれに適当な強度の軸バネの供給は可能だったのではないかと思います。ただ、「モーター付きディスプレイモデル」が主流となっている日本の現状では市場の維持は不可能なのでしょう。

TMSでなかおゆたか氏が市販製品の軸箱のコイルスプリングが強すぎることを指摘していることは周知のことですが、「感じ」だけで話が終わっていることは残念です。不穏当な言い方かもしれませんが、科学性の欠如が雑誌の内容を貧困にしている一例です。整理が悪いので巻号を表記できませんが、MR誌には何回か軸箱のスプリングに関する記事が掲載されていました。
5. Posted by dda40x   2009年02月16日 07:29
> TMSでなかおゆたか氏が市販製品の軸箱のコイルスプリングが強すぎることを指摘していることは周知のことですが、「感じ」だけで話が終わっていることは残念です。不穏当な言い方かもしれませんが、科学性の欠如が雑誌の内容を貧困にしている一例です。

 全くその通りなのです。表題は模型趣味なのですが、中身は玩具趣味といったら叱られそうかな。次回のネタもその関連です。

 記事に客観性がないのです。何らかの測定値があれば良いのですがまったくありません。サイエンスはデータが必要なのです。編集部に工学を修めた人がいないのではないでしょうか。いなければ外部に応援を頼むべきなのです。
 電気工学、電子工学関連の記事もほとんどありませんね。MRは外部の識者に補佐を頼んでいましたね。Don Hansen氏等は極めて優秀な人でした。

最近は、いろんな分野での優秀な人たちが鉄道模型に参加していないのではないかと心配しています。他の遊びに流れているのでしょうか。
6. Posted by 読者   2009年02月17日 05:40
5 ロンビックイコライザの考案者に関して気になるのですが、
TMSのOJのEF58の記事ではロンビックイコライザの考案、製作は3人で行ったという主旨の記述がありましたが、雑誌に掲載されたEF58の製作よりも以前にNMRCの伊藤氏もロンビックイコライザと同様の機構を製作していたと思います。その構造が会誌にも掲載されていたかもしれません。2007年の静岡のグランシップのイベントで機構が組み込まれたED17を拝見しました。その機構を初めて見た時は丁寧に説明を頂いたのですが、仕組みがいまいち理解できなかったのですが、後にTMSの解説記事でようやく理解できました。それで書かれていた考案者の記事が気になった次第です。
7. Posted by dda40x   2009年02月17日 07:32
 ロンビックイコライザの理屈は昔から存在したかもしれません。それを模型的な構造で簡易に実現したところが賞賛されるべきであると思います。
 3条ウォームギヤにしても、はじめから存在していました。それを鉄道模型に適する諸元を定めて、コアレスモータ、スラスト・ベアリング、モリブデン・グリスを組み合わせたところに意味があると考えています。

 あのEF58のロンビックイコライザで気になるところは自励振動です。特定の周波数で共振するのではないかと危惧します。これはレイアウト上をいろいろな速度で走らせないと分かりません。長いイコライザテコを二枚合わせにして片方は負荷を掛け、もう片方はそれにバネで圧着させれば摩擦で減衰します。当然、後者は負荷がないので薄いものでよいのです。
8. Posted by 森井 義博   2009年02月17日 08:29
HOクラスに限った話になるとは思いますが、レールへの車輪の追従性能の点でばねの方が優れているような気がしています。
例えば、車輛の進行方向に対して片側のレールが下がっていた場合、イコライジングでは、車輛全体が若干傾き車輪を押し下げることで線路に追従します。追従速度は落下速度以上には速くなりません。
ばねの場合は、車輪自身の落下に加えて、ばね圧で押える力で追従しますので、イコライジングよりも高速に線路に追従できます。
逆に、車輛が止まっているか速度が遅い時は、イコライジングの方が強く全車輪を押えますので安定していると思います。
15年ほど前になりますが、軸ばね付きの台車を履いた客車があったのですが、その軸ばねが車重ではたわまないので、軸ばねを少し切って短くし、そのばねの中にKadeeのナックル用のばねを入れてばねが効くようにしたことがあります。
今は手元にありませんが、ほとんど脱線もせず、快調に走っていました
最近は、インターネットの発達のおかげもあり、小さなばねの入手が容易になりました。
径や長さの指定はもちろんのこと、たわみに対する力も指定して購入することができます。昔なら、1万個とか言われたような条件でも数十個で発注できたりします。

KATOの16.5mmゲージの2軸貨車にもばねが入っていてなかなか快調に走ります。
9. Posted by dda40x   2009年02月17日 23:46
>追従速度は落下速度以上には速くなりません。
> ばねの場合は、車輪自身の落下に加えて、ばね圧で押える力で追従しますので、イコライジングよりも高速に線路に追従できます。

 そうでもないと思います。単純化して2輪をイコライズすると、片方の「落下速度」は2倍になります。動輪数が多ければより速くなります。
 問題は動輪の慣性質量、イコライザの慣性モーメントその他です。自動車で言えばバネ下質量ということになりますか。Oゲージ以下では動輪の慣性質量以外全て無視できます。
 厳密に言えば、バネを弱くすると凹凸への追随性が足りなくなります。
「固いバネ + イコライジング」が長年使われたのは、意味があるのです。

 仰るように弱いバネでよく走ったのは、走行速度がほどほどであったからでしょう。
10. Posted by 森井 義博   2009年02月18日 01:14
>単純化して2輪をイコライズすると、片方の「落下速度」は2倍になります。

確かに、よく考えるとそうなりますね。
固いばねを使わないといけないとすると、HOクラスでは
重量不足でたわまない=車輪がばねの力では動かない=役に立たない ということになってしまいそうです。
それなれば、弱くても車重でたわんでくれるばねの方が良いと思うのですがいかがでしょうか。
11. Posted by 森井 義博   2009年02月18日 08:23
ばねの効果についてもう少し考えてみました。

HOクラスの機関車で本体質量が600gとします。
機関車には3軸の動輪があり、各動輪は2個のばねで本体を支えます。
先輪、従輪はダミーとします。
各動輪の質量は片側10gずつとします。
各ばねは適切な特性のものを使用し、機関車の重量でたわみが発生し動輪が下に動く余裕があるとします。
各ばねへは均等に荷重がかかっているものとすれば、ばね1個あたりに加わっている力は100gfとなります。
この機関車の進行方向に対して片側のレールが下がっていた場合、動輪は重力による力に加え、ばねの力により下に押し付けられます。
すなわち、10gf+100gf=110gfの力で下に押され、自然落下に比べ非常に速い速度でレールに追従できることになります。

3軸イコライズするしても動輪の動きは「落下速度」の3倍程度と思いますので、ばねの方が効果があるように思えます。

尤も、この話はかなり簡略化してあるので、突っ込みどころは沢山あると思います。
また、強すぎたり、弱すぎるばねを使うと効果が激減するので適切なばねを用意するのは面倒かもしれません。
12. Posted by 愛読者   2009年02月18日 17:32
3軸なら動輪は6個で速度は6倍です。4軸なら8倍。すごいですね。

スプリングは変位によって力が変わりますから、dda40x氏の仰る長いバネというのは効果があると思います。
ただ弱いバネというのは効果が少ないでしょう。

元のところから話がずれているので、これでは議論にならないと思います。

この項を読んで、イコライジングの意味が初めてよく理解できました。dda40x氏に感謝すると同時に、先人の知恵に脱帽です。
ここまで理屈を簡単に解説できるようになるには、どうやって勉強をされたのでしょうか。
13. Posted by dda40x   2009年02月20日 07:25
 沢山のコメントをありがとうございました。
 読者数も急速に増え、戸惑いを感じています。

 イコライジングは、中学校の理科の範囲でほとんど解決します。
 本物の図面を手に入れ、イコライザの長さ、支点の位置を方眼紙に描き写し、変位を入れれば挙動がわかります。軸重配分がどうなっているのかはテコ比で分かります。

 模型の場合は線路が硬いので、軸の動きが大きく、折れ勾配では無理を生じる場合があります。従台車までイコライザを掛けると、たいていの場合破綻を来たします。

 従台車に掛けないと三点支持の二等辺三角形の底辺がやや前方に行きますから、機関車の挙動が安定しないように見えますが、先台車を一点にしてあれば、挙動はまず問題ありません。先台車のバネは大切で、これがないと機関車は飛び跳ねます。また、大きな音がします。ここだけでも重ね板バネを使うことです。

 井上氏方式のイコライザは動輪だけですから、小型機の折れ勾配での挙動は良いとは言えません。あの方式は、連接型機関車ならば絶大な威力を発揮します。

 いずれ、項を改めて詳しく説明しましょう。
14. Posted by 読者   2009年02月23日 15:52
5 この分野の記事は反響が大きいですね。
それだけ皆さんの関心も高いということでしょうか?
続編が楽しみです。

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