2009年02月10日

イコライジング

 イコライジングについてのコメントを戴いている。筆者の鉄道ではイコライズされていない機関車の方がやや多い。
 イコライズすなわち高級というステレオタイプな見方が定着している様で残念だ。

 故井上豊氏とは随分と懇意にして戴いた。氏は特急の機関士で、「つばめ」時代のC62を運転されていた方だ。アメリカの機関車には造詣が深く、多くのことを教えて戴いた。
 筆者がイコライズ化に夢中になっていた時期があった。それをご覧になって、「イコライズは何のためにあるか知っているか?」と問われた。
 「線路の不整に対応するためです。軸重を等しくする効果があります。」と答えた。
「そんなもの関係ない。線路は柔らかい。機関車は重いからむこうが勝手に沈む。」「軸重なんて等しくしたって、機関車の動輪が回れば静止軸重の何倍かの力がかるのだから関係ないさ。動輪のバランスが何パーセントとってあるか知ってるか?」という話になった。

 要するに、イコライザの目的は普通我々が考えているものではないということであった。「イコライザは、スプリングが折れないようにしているだけだ。」と仰ったのである。これには驚いた。

 井上豊氏は名古屋機関区きっての飛ばし屋であったそうだ。C62の速度記録が129km/h という話を持ち出すと、「140は出る。いつも出してた。」と鼻で笑った。「C11の方が速い。145は出る。」という話になった。「バックのほうが速いんだな。気持ちいいぞ。名鉄の電車をあっという間に抜いてやるんだ。」という凄い話も出てきた

コメント一覧

1. Posted by 01175   2009年02月10日 13:30
なるほどですね。僕も他の掲示板でイコライザー不要論を開陳したことがあるのですが、どなたの賛同も、また、反論も得られませんでした。HOのハナシですが、組み立て式のレイアウトでレールの継ぎ目が段差になって衝角を形成している状態だと、イコライザーだけの機関車を高速で通過させた時に往々にして脱線することがありました。衝角の衝撃を吸収できないばかりでなく、イコライザーで連結されている次位の動輪が跳ねているのではないかと考えていました。もちろん、スプリング可動機では、同様の脱線はありません。

実物でもイコライザーのみの車輌は、アメリカの産業用小型機しか見当たらないそうですが、一方、イギリスのかっての私鉄では幹線用大型蒸機でもイコライザーを備えずバネ可動だけの形式がかなり存在したそうです。製鋼技術の発達していたイギリスでは、バネの折損を無視できたためかもしれません。

2. Posted by dda40x   2009年02月10日 14:53
01175様、コメントありがとうございます。

 イコライザに凝った作品を拝見することがあるのですが、ギヤの付いた軸の動きが渋いものが大半です。反動受けをつけて自由に動くギヤボックスなど、まず見たことがありません。
 本物通りに、従台車までイコライズしてあるものは、折れ勾配ですぐに限界に達して脱線の原因になります。従台車は切り離して弱いバネで作動させるのが模型的構造として優れているでしょう。動輪上の重量も増えます。
 イギリスの話はよく聞きます。線路がアメリカと比べて格段に良かったからでしょうね。大陸横断鉄道開通前後のアメリカの線路は最悪で、イコライザがなければとても走れないものでした。

 井上氏の衝撃の告白はさらに続きます。

 
3. Posted by 読者   2009年02月17日 05:16
5 たしか斉藤氏?の蒸気機関車の本で戦前、C10が阪神間でC51の特急列車を追い越すという場面があったそうですが、C62よりもC11の方が速く走るというのは興味深いですね。バックの方が早くなるのはボギー台車による路面追従性が良いからでしょうか?
4. Posted by dda40x   2009年02月17日 07:31
> バックの方が早くなるのはボギー台車による路面追従性が良いからでしょうか?

 さあどうでしょうね。井上氏は、「それはバランスの問題だ。」としか仰いませんでした。
 いずれにせよそれは直線区間の話です。バランスとは、動輪のつりあい重りのことも関係あると思います。ロッドが軽いとバランスがとり易いはずです。
「給油機を最大限に動かさないと危ない。」とも仰ってました。いずれにせよ無茶な話です。現在のように、ATSもタコメータもない時代ですから、「あいつ、ちょっと速いのではないか。」で済んだようです。
5. Posted by 読者   2009年02月23日 15:50
5 勉強になります。有難うございます。

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