2009年01月03日

続 金属の臭い

 金属は良い触媒となり、手の表面の皮脂を変化させる。おそらく酸化を早める。また、酸化的分解も起こすだろう。すると短い分子になり、揮発性が増すはずだ。何になっているのかは、しかとは分からぬが、金属元素ごとに触媒能力が違うので、生じる分子の形も違うであろう。皮脂は、スクワレンという二重結合をたくさん含んだ炭化水素を、30%以上も含む。これが変化すると考えるのが自然だろう。脂肪酸も二重結合を含んでいるものを20%程度は含まれるので、反応するだろう。

 機械油は、炭化水素をベースに添加剤として脂肪酸が入っているのでそれが触媒によって変化する。しかしアルミニウムはあまり臭わない。

 鉄錆を指先でつぶすと、独特の臭いを感じる。これなどは酸化鉄の触媒作用によるものであろう。

 最近の学説によると、亜鉛イオンはタンパク質の形を容易に変化させる優れた触媒であるそうだ。タンパク質を分解するプロテアーゼという酵素の活性中心である。それも臭いに関係するかもしれない。

 ヤスリ掛け、糸鋸で切るなどの操作で、金属の微粉が生じると、表面積が大きいので反応速度は大きいだろう。

 ハンダ付けして塩化亜鉛が付着している模型に手を触れても、これまた臭いがする。しかしこれをよく洗うと臭いは全くしなくなる。祖父江欣平氏の工房を訪ねると感じる独特の臭いも、まさにこれである。

 「モータの臭い」と言う表現があるが、これもコミュテータの銅の上で何かの油が変化した臭いであろう。誘導電動機では聞かない表現である。  

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コメント一覧

1. Posted by 読者   2009年01月05日 06:05
5 あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。いつも拝見しています。ロストワックスの話等、金属加工の話題はとても勉強になります。
2. Posted by dda40x   2009年01月05日 22:18
 こちらこそよろしくお願いします。
 金属工作をする人が減りました。もうすでに「模型工作=ブラス工作」と考える人などほとんど居なくなってしまいました。

 紙や木よりも速く工作できて、ハンダでつけ外し自由で、プラスティックのように経年変化しないので良い素材だと思っているのですが。
 
 旋盤を改造中です。いずれお見せしますが大出力のモータとインバータで自在の回転数とトルクが出ます。旋盤を持たない鉄道模型製作というのも、私には理解が出来ないのです。高いものではないので持つべきものだと思います。
3. Posted by SEC   2009年01月06日 22:33
5 こんにちは。
何時もお世話になっています。
本年も宜しくお願いします。

今年も数々の技法手法を見せて頂きます。
ロストワックスなど凄く感心しています。

ますますのご活躍と健康をお祈りします
4. Posted by dda40x   2009年01月06日 23:02
SEC様
こちらこそよろしくお願い致します。

このブログを通じて金属工作の楽しさを伝えたいと思います。

5. Posted by ワークスK   2009年01月11日 01:21
 確かに旋盤やフライスが並んでいた機械職場には独特のにおいがあります。マシン油とか防錆油、切削油も潤沢です。
 ところで、大昔の記憶で、暑い夏、部活が終わった後に校庭の片隅で飲んだ水道水の味が忘れられません。殊にアルマイトのコップを使うと、独特の美味しさがあった様な……
 左党だった叔父が缶ビールは不味いと言っていた記憶もあります。
 まあ、アルミがボケに繋がるというデマもありますが、臭覚と味覚は繋がっているというので、昔から気になっています。
6. Posted by dda40x   2009年01月11日 20:21
> 殊にアルマイトのコップを使うと、独特の美味しさがあった様な……
 アルミニウムの電位が低いので多少は何かがありそうですが、水道水の中には電解質が少ないのであまり電流が大きいとも考えられません。

> 左党だった叔父が缶ビールは不味いと言っていた記憶もあります。
 それは多分、鉄の缶の時代のことではないかと思います。鉄の味がするのはこれまた電位の仕業です。ちなみに、今でも鉄の缶に入った輸入品の果物の缶を手に取り、中の汁を直接飲むと当時の記憶がよみがえります。しかしプラスティックのフィルム(サランラップ)を唇と缶の間に挟むとそれはなくなります。明らかに微弱な電流が流れています。現在は鉄の缶でも口に当たるところだけはアルミにしているのは、その理由からです。

> まあ、アルミがボケに繋がるというデマもありますが、臭覚と味覚は繋がっているというので、昔から気になっています。
 アルツハイマーとは直接はつながりませんが、アルミニウムが多く、マグネシウムの少ない水を飲み続けると、ALS筋萎縮性側索硬化症の発症例が多くなることが確かめられています。欧米ではアルミニウムを摂取する量を制限するようになりました。日本では野放しです。

 ところで銅を加工すると甘い味がし始めます。銅粉入りカーボンブラシを削ったりすると感じるそうです。銅を削っても同じだそうです。皆さんお試しを。銅は必須元素で少量なら無害ですからご安心ください。
7. Posted by 読者   2009年01月16日 12:09
5 水道水に含まれるアルミは、浄水場でコロイド状の泥等を凝集、沈殿させるために硫酸アルミニウムを入れると聞いた気がします。これによって健康が損なわれるとすれば由々しき問題ですね。
8. Posted by dda40x   2009年01月16日 18:37
 水道水の中のアルミニウムは濃度が極端に低いのでさほど問題ではありません。

 それよりも問題になるのは歯磨きです。研磨剤として、水酸化アルミニウム(水に溶けない)が使われているものが大半です。しかし、胃の中に入れば強い酸性ですからたちまち溶けます。その影響があるのかないのか…。発売している会社に問い合わせても、「日本では認められています。」としか返答がありません。
 クリニカの一部だけはアルミを使っていません。無水ケイ酸となっています。それをどうして全てに使わないのかが疑問です。
 アメリカでは認められていません。

 もっと問題なのは、生ウニです。板の上に載っているのはアルミニウムイオンで固めてあります。ベーキング・パウダ、胃薬などとにかく日本は野放しです。
9. Posted by 読者   2009年01月31日 16:58
5 勉強になります。歯磨き粉や生ウニ、ベーキングパウダ、胃薬にアルミニウムイオンが含まれているとは思いませんでした。金属関係の分野だけでなく他の分野にもお詳しく、博学でいらっしゃるのですね。

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