2007年11月07日

ポリスチレンの接着

 以前はポリスチレン用の接着剤は市販の溶剤系のものを使っていた。主たる成分はMEKメチルエチルケトンとかトルエンなどにポリスチレンを溶かしたものである。場合によっては多少の可塑剤も入っている気配であった。

 これらは溶解速度が大きい。ポリスチレン本体を溶かし、多少含まれる可塑剤も溶かす。リベットなどを押し出して表現できるのは可塑剤が入っているからである。可塑剤が入っていないと、型から取り出すときに割れたりするはずだから、大抵は入っている。問題はこの可塑剤が溶け出す速度が大きいことである。部分的に洗い出される形になると、将来その境目で問題が起こるだろう。

 リモネンによる接着の様子を観察していると、今までの接着とは違うことに気が付く。溶解速度が一桁遅い。全体が溶けている。可塑剤が均一に混じるような気がする。断面積が小さい物を接着して、切断して虫眼鏡で覗くと、熱で熔着したようになっている。

 現在、板を貼り合せてそのあとどうなるか、を観察中である。これがうまくいくなら、組み立ててみたいキットがある。100%プラ板製のDaylight客車一編成である。購入して10年以上放置している。これを組むのに、リモネンがかなりの量必要であろう。

 ポリスチレンという樹脂は透明度が高い。側鎖が大きく、並び方に規則性がないので結晶化しにくい。ボールペンなどの透明な軸、卵のケースなど、引っかくと独特のカリカリパリパリした音で識別できる。最近は白濁したものも作れるようになった。これは結晶性ポリスチレンで、割れにくい。

トラックバックURL

コメント一覧

1. Posted by RAILTRUCK   2007年11月07日 09:57
結晶性ポリスチレンとはメタロセン触媒を使ったシンジオタクチックポリスチレン(SPS)のことで耐熱性などに優れているところからエンプラ用途に使われ始めているようです。

ヨーグルト容器は中衝撃ポリスチレン(MIPS)を使いインジェクションブローにより製造されているはずです。

従来からあるポリスチレンの種類としては、透明な汎用ポリスチレン(GPPS)と、ポリブタジエンゴムの入った白色不透明の耐衝撃ポリスチレン(HIPS)と、中間のMIPSがあります。これらはいずれも非晶性です。

ポリスチレンの高流動グレードにはミネラルオイルが可塑剤的に添加されています。
また、離型剤としては高級脂肪酸などが使われています。
2. Posted by dda40x   2007年11月07日 13:39
RAILTRUCK様
詳しい情報をありがとうございます。
工業化学的な方面の新しい知識がなかなか入らないので助かります。
シンディオタクティックは昔から話題にはなっていましたが、なかなか完成しませんでした。良い触媒が見つかったようですね。

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
Recent Comments
Archives
Categories
  • ライブドアブログ