2007年09月30日

続々  伊藤英男氏の35mmゲージ機関車

 「ロクロは旋盤ではないのですか?」という質問を戴いている。広い意味では旋盤の一つであろうが、モータで工作物を廻す機能しかないものがロクロである。また、ベッドの上に刃物台があって刃物をスライドさせるものが旋盤である。

 ロクロでは刃物がガイドとなるべき金具と向かい合う形でヤットコ状のハサミに付けられている。それをスライドさせれば材料を細く削ることが出来る。幅の狭い刃を付けたものを使えば、材料が切断される。

 ネジを切るにはダイスをはめたものを手で握って、スイッと押し込むと出来る。限界まで来たら、ダイスをはめた道具は手の中でスリップする。モータは逆転も出来るから、ダイスを抜き取るのは簡単だ。段つきネジは、ほとんどこようなロクロ屋さんが作っていた。仕事場は板の間で、ござを敷いて胡坐をかいて座り、膝の上で作業をしていた。ダライ粉は前掛けの上に溜まった。

 ドイツ語で旋盤のことをダライバンに似た発音をするので切り子のことをダライ粉というようになった。フライスというのもドイツ語から来ている。英語ではミリング・マシンという。

 量産の仕事をしようと思うと、ヤットコ状の工具をいくつか用意し、寸法通りにガイドを調節する。それらを手順どおりに操って目的の製品を作り上げる。その道何十年というプロが作ると、NCの機械が作るのと同等以上の物が出来る。プログラムに要する時間が極端に短いので、小ロット物はロクロ屋さんに限る、と言われていた。

 昭和40年ころまでは沢山あったが、もうそのようなロクロ屋さんはいなくなってしまった。インドに行った人からは、そのような仕事をする人がまだまだ沢山居ると聞いている。

 伊藤氏は、「このような道具を作ってくれる職人が居なくなってしまったので、もう手持ちの分これきりでおしまいですよ」と残念そうであった。
 
 伊藤氏のような工作を生業とする方も、ほとんど見かけることがなくなってしまった。
 

トラックバックURL

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
Recent Comments
Archives
Recent TrackBacks
Categories
  • ライブドアブログ