2007年07月23日

続 UPHILL DOWNHILL

 考えていることは違う。罐焚きの頭の中は、圧力、水位、火床のことで一杯である。ストーカがが調子よく動くか、潤滑油送出機の目盛りにも注意を払わねばならない。そうなのだ。この自動注油機の監視も罐焚きの仕事のうちだ。それを怠れば、ストーカも空気圧縮機も直ちに止まってしまう。

 登り坂でストーカが30秒止まったら、それは大変なことだ。夜間であるとなおさらだ。原因がどこにあるか突き止めねばならない。

 夜間の運転では、時々煙突から飛んでいく火の粉の様子を見る。ストーカが止まればすぐ分かる。昼間の運転では、煙の様子をよほど注意していなければ、ストーカの停止には気が付きにくい。同乗の制動手と無駄口をきいていると分からない。

 機関士の頭の中は別のことで一杯だ。時間のこと、制限速度、退避のことを考えている。後ろから迫ってくる優等列車を、どこで退避するか。Rawlinsまで行けるか、手前で退避するか。

 谷の底でも峠の上でも、頭の中ではそのことが巡っている。時計を見て考える。あの坂を登るのに何分掛かったから、次の坂を何分で登れるかということを考える。

 下り坂では罐焚きは遊んでいる。機関士の腕だけである。峠ではスロットルを閉める。罐焚きはしばらく遊んでいられる。煙突の下にあるブロワ(煙を外に放り出すための噴出口)を開ける。排気がなくなるから、この操作をしないと火室の中の煙が吸い出されないのだ。これを忘れると運転室の中は煙でいぶされることになる。



 

 



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