2007年07月14日

続 出発時の注意

 罐焚きに水面を高く保てと指示を出すと機関車を最大限に働かせることは出来ない。中の水が泡立ち、シリンダーの中に入る可能性があるからである。そういうときはすぐにインジェクタを停め、石炭の供給量をやや少なくする。そしてストーカのジェットを調整し、石炭が均一に撒かれていることを確認する。火室扉を閉めると、火室温度は見る見る上がる。インジェクタは止まっているので水面はすぐ下がる。

 この状態が最高である。水面は低く、石炭は均一に、インジェクタは水面を見ながら動かすのだ。この状態を"Red-Hot"と言う。罐焚きは「もう2インチ(5 cm)水を足させてくれ」と言うだろう。それでは戦いに勝てない。我慢させるのだ。

 すぐ我々のチームワークは報われる。よし、今だ。インジェクタを働かせて、注水すると同時に、スロットルをやや開く。罐焚きは石炭の供給量を増す。機関士はまたスロットルを開き、罐焚きは石炭をより沢山くべる。あとは水面計を見ていればよい。

 これを機関車の能力の限界まで行う。そしてその状態を維持できれば最高だ。この戦いは我々の勝ちだ。罐焚きは煙突から吹き出る煙の色を見る。どんな色が最高に調子のいい状態を作り出せるかを憶えるのだ。ストーカのスティーム・ジェットを調節し、どうすればその色が出せるのかを頭に叩き込む。

 こうしているうちにKandaの坂を越える。峠の頂上では水面計は下から1インチまで下がっている。それでよい。あとはRock Spring までほとんど平坦である。 

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