2007年07月08日

続 Block Signal

 どの信号を見落としたかが判っていれば、危険が差し迫っているという訳ではない。見落とした信号を黄色信号と看做せばよいのだ。機関士は全ての信号機の位置を正確に記憶しているからだ。

 減速し、次の信号機が見えるまで徐行すればよいだけのことである。つまり、一つは見落としても大丈夫であるが、二つ続けて見落とすとそれは致命的である。

 高速で走る旅客機関車は、煙が邪魔でこのような見落としがよく起こった。だからMighty800や一部のChallengerにはウィングが付けられた。これは、日本を占領した軍人からの情報で付け始めたという説があるが、真偽のほどは分からない。ドイツからかも知れない。彼の地ではSmoke Deflectorと言っていたらしいが、我々はただWingsとしか言わない。これはなかなか効果がある。

 機関士を長く続けていると、昔の機関士がいかに優秀であったかという事がよく分かる。彼らは仕事に全精力を傾けていた。特別に優秀な人たちの選りすぐりであった。自分の父親がその一員であったことは誇らしく思う。

 鉄道の全てを知り、いかなる状況下でも絶対に事故を起こさないように努力していた。この人たちのことを忘れてはならない。車内信号がない時代でも、事故を起こさなかったのだ。いや、事故を起こさない人間しか機関士になれなかったのだ。

 

 ワイオミングは山岳路線である。平坦線とは違う。蒸気機関車の運転は、山岳路線では特に難しい。急な坂を重い列車を牽いて登れば、奈落の底に落ちるような下り坂をブレーキなしで下らなければならないこともある。

 そのような運転の話をしたい。


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