2007年02月16日

続 Guilty

 約半数の新人罐焚きは、補欠表に名前が載せられているときに事件に遭遇する。補欠表とは,当番表の下にある。一般に罐焚きは特定の機関士と組になって乗務する。その罐焚きが何かの理由で乗務できないときには、補欠表から順に指名されて乗務する。ということは、新人はいつも違う機関士と組むことになる。

 ろくに訓練も受けていないのに、毎回異なる機関士で、異なる種類の機関車に乗務するのである。これは大変に困難なことである。

 良い機関士に当たったとしても、機関車が全くいうことを聞かないこともある。あっという間に、火床が吹っ飛び何も無くなるという事もある。どうしてだろうか。

 これは機関士がスロットルを開け閉めするのに合わせて石炭層の厚さを調節しなかったからだ。ブラスト(蒸気の煙突からの排気)が強くなれば、通気量が増える。すると火床が持ち上がる。ブラストが強くなる、すなわち機関士がスロットルを開け始める前に給炭量をうんと増やす必要があったのだ。

 下りの次には登りがある。下っているうちに火床を整え、水を足し、石炭を十分にくべる。安全弁が吹き始めると同時に上り坂に差し掛かって、機関士がスロットルを開けても大丈夫な状態にできなければいけない。

 そのタイミングが大切である。そのタイミングをどうして知るかは機関士との事前の打ち合わせによる。"work on her!"(それ行け!)と合図を送ってくれる機関士も居るが、大半はいらいらしながら自分でタイミングを計るしかない。機関車が最高の状態で、やってくる大きな負荷に備えている状態を"red hot"と言う。

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