2007年02月12日

Injector

Nathern 4000 Injector Injectorは注水器である。ボイラの発生する蒸気の圧力で、ボイラの圧力に打ち克って水を入れるという、一見矛盾のある装置である。

 まず、通常のインジェクタについて書く。機関士席の床下にはNathern4000型というNon-Liftingタイプのインジェクタがある。これが低いところにあるのは炭水車の最低水位以下に取り付けてないと作動しないからである。高いところに取付けてあるのはLifting Typeである。

 蒸気が噴射されると水が吸い込まれて、蒸気と混じる。すると蒸気は凝縮し熱水となる。高速で噴射された水蒸気が、高速で移動する熱水になったわけである。そして細いノズルが太くなると断面積が大きくなるから速度が小さくなる。するとそこにかなりの高圧が生じる。この圧力がボイラの圧力より高ければ、ボイラに注水されることになる。

 ここでよくある疑問だが、蒸気の代わりに高圧の空気では駄目だろうかということである。これは全く駄目である。空気は凝縮しない。水は激しく吹き飛ばされて排水口から逃げるだけである。蒸気なればこそ可能なのである。

 生の蒸気は300ポンド/平方インチ(約21気圧)であり、これを使うのは蒸気の浪費である。機関車はdouble-gun(二丁拳銃)である。右と左にインジェクタを持っている。

 普段は左手のGunで勝負だ。これはExhoust Injector(排気インジェクタ)という。煙突から逃げていく蒸気の一部を導き入れて、給水する。排気の圧力は極めて低く、7から10ポンド(0.5気圧程度)である。これでも給水できるインジェクタを作った人が居るからたいしたものだ。このインジェクタの基本構造は高圧型と一緒であるが、多段式になっていて、水の移動距離が数倍ある。この間に加速して急減速するのだ。

 これがうまく作動するので、走行中はこれだけを作動させる。急速に注水する必要があったり、停車中だけ、機関士側のインジェクタを作動させる。この図のハンドルは機関士が左手で操作する。

筆者註 インジェクタについては、日本機械学会誌2007年2月号p.43に図解が載っている。多段式の絵もあり、排気インジェクタの理屈がよくわかる。大型のものは超音速になるようだ。

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コメント一覧

1. Posted by ワークスK   2007年02月12日 23:53
最新版の技術書に載っているということは、インジェクターは現在でも使われているということですか?!
2. Posted by dda40x   2007年02月13日 00:21
この雑誌によると、原発で蒸気タービンの排気を使ってボイラーへの注水をしているようです。4段で超音速ジェットを実現しているとあります。
インジェクタの一番大切なところは、最後の広がるところ(ディフューザ)の設計のようです。
 排気に含まれる熱を回収することが出来る熱交換器であるとまで書いてあります。熱交換器という言い方には、私は引っ掛かりを感じています。
 私も、最近ある現場でインジェクタを作動させるチャンスに恵まれました。簡単に作動するので驚いたものです。しかし、それは3気圧以上ないと作動せず、最初の内は冷や汗をかきました。
 それはリフティング・タイプでした。最初は霧吹きの原理で吸い上げて、すぐ内部のブッシュが移動して「コン」と音を立てます。そうしたら蒸気の噴出量を増やすとキュキュキュッと音がして注水されました。給水温度は50度くらいでした。
 国鉄時代の機関車のインジェクタもリフティングタイプでした。音はもう少し鈍い音でしたが、似た音です。そのときは給水管に触るとやけどをするくらい熱かったことを思い出します。100℃以上あったのでしょう。
3. Posted by ワークスK   2007年02月16日 23:56
昨日届いたMR誌3月号に、SFノーザンに関する、BLI製HOモデルのアップグレードと、実物ディーテールの解説の記事がありました。その中にインジェクターの写真もあって、仰せの様に従台車辺りに付いています。配管の説明に、Intake、Live steam、Delivery、Overflowとあり、2つ目と3つ目が“納得”でした。
なお、プラスチック蒸機のディテールアップをブームとする試みは、かつて我が国の「とれいん」誌でもカトーのD51で試みられましたが、彼の地では果たして如何相成りますことやら……

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