2007年02月09日

罐焚きのコツ

 要するに、罐焚きは石炭を上手に燃やすだけの仕事だ。圧力を一定に保つということはもちろん大切なことである。これは適量の石炭をくべるということに尽きる。煙突から出る煙の色を見なければならない。

 黒い煙を出すことを、"crowding her"という。彼女(機関車は女性名詞)に石炭を詰込みすぎているという意味だ。どれぐらいの蒸気を発生させるかによって石炭を送り出す速度を加減する。"crowding"にしてしまったら、しばらくストーカを休ませるだけのことだ。黒い煙が収まったら、またストーカを動かす。

 ストーカを止める時間が長すぎると、火床がカスカスになる。これを、"popcorn" と言う。こうなると、石炭を入れても、再着火しにくく大変な事態になる。ストーカを止めたら火床をよく観察し、火床全体に石炭があることを確認しなければならない。そして焚口戸を閉め、また石炭を送り込む。

 罐焚きの仕事はそれだけのことなのだが、運転室の反対側に座っている男の挙動にも注意を払わなければならない。その男とは機関士のことである。機関士は、スロットルと逆転機レバーを動かす。その動きの組み合わせはものすごくたくさんある。

 逆転機レバーを中立に近くし(蒸気の膨張を使う経済運転の状態)、スロットルをやや絞ると、蒸気の上がりはとても良くなる。逆転機を再前方に倒し、スロットルを開ければ、ブラスト(煙突からの排気の量)が極端に増え、火床が持ち上がる。場合によっては、全ての石炭が吹っ飛び、火床が真っ暗になる。出発時はまさに前述の状態であるから、空転を起こして回転数が上がり、ブラストが急速に増えるときには、直ちに焚口戸を開ける。火室に空気を入れ、石炭が持ち上がらないようにするのだ。これは起こってからでは対処できないので、待ち構えていなければならない。滑った瞬間にペダルを踏むのである。

 石炭は炭鉱ごとに違う。小さい炭鉱では日によっても違う。UPは沿線で炭鉱開発をして、自社で使っていたのだ。場所によっては、灰ばかりできて燃焼熱が小さいものもあった。罐焚きはそういうことも考えて、石炭を送り出す量を加減していたのである。

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