2007年02月02日

Fireman

ファイアマンとは罐焚きのことである。機関士と違って単純作業者である。

 機関士になろうとすると、まず罐焚きを何年か勤めなければならない。1913年に父リチャードがローリンズでファイアマンになったときは、むしろ頭より体力が必要とされる仕事だった。もし普通以上の頭の持ち主ならそれに越したことはないが、どれだけの石炭をくべることができるかのみが、要求された世界であった。

 1941年にTomがこの世界に入ったときは、既にStoker(ストーカ、自動給炭機)が装備されていた。ストーカの前の手焚きの時代の話をしたい。

 どんな場合でも、罐焚きはとても大切な仕事だ。特に機関士が優秀でないとき、罐焚きの腕で運命が決まる。優秀な罐焚きはやりくりして、その機関士の機関車を走らせてしまう。理想的には、優秀な機関士とそれに見合う罐焚きという組み合わせだ。しかし、そのような組み合わせはめったにない。

 リチャードは優秀な罐焚きをかわいがり、そうでないものを嫌った。彼ほど、駄目な罐焚きを嫌った人もいないだろう。リチャードは、非常に優秀な罐焚きであったので、機関車の罐を焚くという比較的単純な仕事をマスターするとことができない人間を理解できなかったのである。

 特に、ショベルですくった石炭を手で投げ込むことと比べたら、ストーカで石炭をくべることができないとは思えなかった。

 父が帰宅するとき、不機嫌であると、それは罐焚きが失敗をやらかしたときであった。罐焚きは芸術的でなければならないのに。


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