2007年01月31日

機関士は役者である

 機関車は地響きを立てて進入する。機関士は駅にいる人たちから注目されていることを知っている。

 かなりの速さで進入しつつも、給水栓のところに炭水車の給水口が来るようにぴたりと停める。これができるとすばらしい。ほとんどの機関士はそうするように努力している。しかし、さりげなく止めなければならない。

 彼は舞台の上の役者だ。町中の人が見ている。機関士は演じるのだ。その輝かしい瞬間を演じるために努力してきた。片手をスロットルの上に置き、人々が彼に注目しているのを感じている。プラットフォーム上の子供たちが機関士を見つめている。機関士は、自分が子供だった頃、尊敬の念を持って機関士を見つめていたことを思い出す。彼らを失望させてはいけない。

 駅に到着するとき、機関士はそこにいる人たちの注目を集めている。彼のふるまいは、まさに"drive into town"である。これは隊列を組んで町に凱旋するとき、凱旋将軍の受ける栄誉のことを指している。

 機関士の目は線路に注がれる。機関士の頭の中には、そこにいる全ての人が機関士を見つめている絵が描かれている。誰かが手を振っているのに気が付けば、右手を軽く上げる。大きく振ってはいけない。2,3インチ(5cmから7.5cm程度)くらいである。腕を上げてはいけない。
 
訳者註 機関士の席は右側にあるので、窓に面している手は右手である。

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