2007年01月25日

機関士の持ち物

tin-box 機関士は帽子をかぶっている。ほとんどは青に白の細かい縞が入ったものだ。しかし人によっては白い帽子をかぶった。旅客列車の機関士は白い帽子をかぶるものが多かった。Tomもそうした。

 美しい白い帽子は、いわば勲章のようなものだった。それは旅客機関士の誇りの表れであった。自分の能力がそれに凝縮されていた。白い帽子は旅客列車の支配者の象徴であった。その帽子に手を触れるときは、汚さないように、汚い手袋を外して素手で触った。

 機関士は全員がブリキの箱を持ち歩いていた。大きさは12×22インチ(30cm×55cm位)である。その中には着替えと洗面具などが入っている。 この箱はミズーリ州の人が作るものであった。その男の名前はJohn Brazeltonという。ここの製品がベストであると思われていた。二つ持っていて、新品はロッカに入れて置き、キズだらけの方は乗務時に使う。

 機関士全員が、面白い方法で機関車にそれを持ち込む。8フィート(2.4m)の"bell-cord"(機関車のベルを鳴らす紐)をその箱の取っ手に結び付けておくのだ。乗務が終わったらその箱を"gangway"からぶら下げて降ろす。ギャングウェイとは、機関車とテンダの間のはしごのことである。もともとは船の上下船用の細いはしごのことらしい。考えてみれば鉄道用語は、船の言葉から来ているものが多い。

 乗務するときは、紐を肩に掛けて箱を背中に背負っていくのである。"cab"(運転室)の後に中が二つに区切られているロッカが作り付けになっている。機関士と罐焚きはそこに箱を入れる。Brakeman(制動手)にはそのスペースはないから、その箱を持って来られない。

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