2007年01月21日

Bill と Jeff

 オマハにはUPの本社がある。BillはUP本社に社長を訪ねて行ったのだ。2人は互いにニックネームで呼び合い、社長室で歓談した。社長を"Jeff”と呼ぶことができる人は、当時ほとんどいなかったのだ。BillはRawlinsでの顛末をJeffer社長に話した。

 Jeffer社長は直ちにRawlinsに電話を掛け、機関区の管理部を呼び出して次のような指令を伝えた。

 「Bill Winstonを復職させ、これまでの停職中の給与を全額払え。」

 この事件は、UPの歴史の中で機関士が直接社長室に行って、決定を覆した唯一の例である。もうこんなことは二度と起こらない。もうこのようなPrestigeを持つ機関士はいないのだ。そのような日々は、遠く過ぎ去ってしまった。

 
 アメリカの大多数の鉄道では、このBill Winstonのような長老機関士を大切にしていた。というのは、経済的な理由で機関士の数を減らさねばならない時には、経験年数の少ない若い機関士をクビにする。経験年数が長く、勤務実績が優秀であるような機関士は残される。

 機関士の仕事は経験がものを言うからである。鉄道会社が悪い記録しか残さないというのにも理由がある。経験年数が長くてもミスが多い機関士は排除せねばならないからだ。経験年数というものは、鉄道内で大きな意味を持つものだった。

 「給与を高くし、その地位を不安定にする」という方式は、この種の仕事の質を高く保つには一番良い方法であることは認めざるを得ない。多分、現在の飛行機のパイロットの雇用形態も同じような方式であろうと思う。

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