2007年01月17日

Prestige

UP elevation profile chart "Prestige"とは「名声」とか「威光」という訳語しかないが、ちょっと違うように思う。

 蒸気機関車の時代、機関士であるということはたいしたものだった。現代の人たちがジェット機のパイロットを見るときのような気持ちよりもはるかに尊敬の念を持つものであった。
 当時のアメリカの男の子は、必ずと言っていいほど「大きくなったら蒸気機関車の機関士になりたい」と思った。とにかく、その当時は今と比べて鉄道と接する機会が多かった。たくさんの子供たちは線路ぎわで機関車が轟音を立てて走り去るのを見た。"high-iron"(本線)にはたくさんの蒸気機関車が走っていた。

 この"high-iron"という言葉には二つの意味がある。まず、側線(待避線)のレイルは本線に比べて細く、背の高さも低い。すなわち背の高いレイルという意味である。これはたいした意味はない。本来の意味は本線は側線より1feet(30cm)高く作られているということである。この目的は、過って側線から本線へ流入することがない様にするためである。だから、側線から本線に入るときには、列車は機関車で引き上げられることになるわけで、事故防止には賢明な方法である。

 鉄道内でも機関士は尊敬される。特に優秀な機関士は、会社の幹部にも尊敬されていた。父Richardは、UPの重役たちともファースト・ネームで呼び合う関係であった。一番印象的だったのはUPの社長が視察に来たとき、皆の前で父を"Dick"と呼んで、近寄ったことだ。会社の人はRichardに敬意を払っていたし、同僚は尊敬していた。

 困難な状況下においても鉄道を動かすことができるのは、機関士の献身的な努力のおかげであることを皆が知っていたのだ。しかし、時は流れ、様子は変わった。

 父の時代は社長が機関士全員の名前を覚えられた時代だ。今の社長は覚えてはいない。いや覚えられないほど多くなった。Tomは40年もこの会社で機関士をしているが、そんなことも知らないだろう。(訳者註:この手記は1987年に書かれた。)


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