2007年01月15日

列車運行規則

brakeman behind fireman このような事故の後、機関士は査問にかけられる。そこで列車全体を見渡すことができなかったことを認めたうえで、自分が目視点検に出かけず、Brakeman(制動手)に見に行かせたのなら、その機関士はクビだ。

 制動手とは空気ブレーキのなかった時代に始まった職種である。長い貨物列車の手動ブレーキを掛けるために機関車とカブース(車掌車)から飛び出して、走行中の列車の上を走って行き、一台ずつブレーキを掛けるのだ。危ない仕事だが、長年行われていた。Westinghouseが機関車から列車全体にブレーキを掛けることができる自動ブレーキ(貫通ブレーキ)を発明するまでに何百人のBrakemanが転落死したか分からない。自動ブレーキになってからも、その職種は残り、機関車には3人が乗務していた。機関士、罐焚き、制動手である。制動手は単なる安全確認係である。本当は何もしていないに近い。駅に到着して側線に入ったら、機関車から降りて本線側にポイントを切り替えるのが仕事だ。また、貨車を切り離したりするのも彼の仕事である。

 機関士に全責任を負わせるのが、この国の全ての鉄道で行われているやり方だ。ありがたいことに、機関士は全て保険に入っているのだ。免職になったときの補償が得られる様になっている。アメリカ中でこのようなことがくだらないゲームが行われていて、全く改善の様子がない。
 
 誰も強制されて機関士になったわけではないのだから、これがいやなら機関士にならなければ良いだけの話だ。鉄道内の他の職種でこのような保険があるという話は聞いたことがない。

 列車運行規則にはまともなことも書いてある。例えば「閉塞信号が赤のときは止まれ」とある。これはいかなる状況下でも守らなければならない。これを守らなければ当然クビだ。
 しかしこれを守らなかったことがない機関士を見たことがない。この規則を破らなければ運転ができない状況もあるのだ。

トラックバックURL

コメント一覧

1. Posted by 神野 毅   2007年01月15日 14:46
5 この記事はとても面白いと思います。かつてアメリカで鉄道に関わる仕事に就いていた人々の働く姿をリアルに追想することができるからです。

現在のアメリカで交通手段といえば飛行機とクルマであって、鉄道など随分前から脇役に追いやられてしまったわけですが、まだアメリカで鉄道が輝いていたころの姿を技術的視点から眺めることができて大変興味深いです。
2. Posted by dda40x   2007年01月16日 22:56
神野様 コメントありがとうございます。

最近この分野以外でも、いろいろな仕事についての記録が
出版されています。日本でも諸外国でも。

消えてしまった仕事の現場での記録は貴重なものです。評価して戴けると訳者としても嬉しい限りです。

膨大な量の手記と聞き取りメモ、写真を整理しながらの仕事で、このまま行くとあと半年以上は続きます。

飽きられないよう、模型と実物の話とを織り交ぜて進めたいと思っています。

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
Recent Comments
Archives
Recent TrackBacks
Categories
  • ライブドアブログ