2007年01月14日

機関士の義務

 機関士の守るべき規則は、鉄道会社によって細かく決められている。いかなる状況においてもその手順を守らなければならない。

 単純に考えれば、忠実なる機関士は規則を守って、鉄道会社による懲戒を受けないようにするのが当然だ。しかし、そんなことができない状況もある。規則を守らない方が安全であることもある。

 その頃の規則書には、「走行中列車全体が見えないときには、列車を止め、歩いて目視点検をすべし」とあった。
 真冬のワイオミングの地吹雪の凄まじさを知らない人が作った規則だ。マイナス50℃、風速30m/秒では歩けるわけがない。そんなことをしたら、機関士は永久に戻って来ないだろう。
 列車が見えなくても、特に問題がなければそのまま走らせても大丈夫だ。この規則は守るべきではない。

 ただし、"hot-box"については例外だ。これは貨車の軸箱の潤滑油が切れて焼きつくことだ。焼ける前には煙が出る。煙が出始めたら直ちに列車を停めて注油する。そういう意味で、列車の注視義務がある。列車を見回るのも地獄、見回らないでも地獄に落ちる。

 しかし現在そういうことは必要なくなった。UP沿線のあちこちにホットボックス検知機がある。悪天候のときにも視界が悪いときにも赤外線で検知できる。これはすばらしい発明品だ。昔は平軸受けが多く、油切れの心配が多々あったが、現在ではローラーベアリングが付いている。これが焼付くことはまずない。

 他の鉄道にはこの装置は少ない。だから脱線とかその他の事故で列車が止まって機関士は頭を抱えるのだ。(訳者註:この手記は1979年に書かれたものである)


 
 

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コメント一覧

1. Posted by J.HORIE   2007年01月15日 23:33
機関士の苦労話など本や雑誌からは殆ど知る事も出来ず
大いに興味を持って毎晩楽しみに読ませてもらっております。

それにしても内容の濃い話がよく続くものだと感心ではなく、むしろ驚嘆しております。
2. Posted by dda40x   2007年01月16日 23:49
この種の話は日本ではもちろんのこと、アメリカでもあまり発表されていません。

Tom Harveyは、1991年に亡くなりましたが、その直前にかなりの量の手記を私に託しました。

いずれ日米で出版せねばなりません。娘さんのPolaとの約束もあります。版権は全て私が持っています。

量としては、このブログで約200回分くらいでしょうか。内容の重複もあり、明らかな間違いも散見されますので、それを修正しながらの作業です。

写真も大きい原版でたくさんあります。ブログ上での発表は解像度を落としています。

今後どのような形で出版するかを決めかねています。
 

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