2007年01月11日

Foaming

Callenger firebox 蒸気の上がり具合は、罐焚きの腕に掛かっていることはもちろんだが、ボイラの中の汚れにも大きく依存する。

 汚いボイラでは、中の水が泡立つようになる。これを"Foaming"という。こうなると、塩分を含む水滴が、シリンダの中に入る。シリンダが抜けたりするほどの量ではないが、たくさんの問題が引き起こされる。

 一番大きな問題はシリンダの潤滑油を洗い流してしまうことである。するとピストンが焼きつく。だから、賢明な機関士は、その予兆があれば直ちに対策を立てる。

 まず潤滑油の供給量をうんと増やす。そしてボイラの水を抜く量を増やす。もちろん給水量は最大限にする。こうしてボイラ中の塩濃度を下げるのだ。すると水が不足することになる。燃料も余分に要る。先の線路状況をにらんで、最高の結果を出すように考える。これを走りながら行う。

 この判断は、機関士自身が行う。罐焚きには相談できない。しても無駄だ。責任は全て機関士にある。機関士は孤独だ。

 このような機関車は直ちに機関区に帰し、ボイラの栓をあちこち開け、鉄の棒を突っ込んで"Scale"を落とす。スケールとは、湯垢のことである。ボイラの内部に鱗状に白い石がついている。水の中に溶けていた、カルシウム分が析出したのだ。厚さは1インチ(2.5cm)以上もある場合が多い。

 スケールが付く場所は限られている。ほとんどは火室の廻りだ。"Washout Plug"(洗口栓)はそのあたりについている。これは大きさが4インチ(10cm)程度のねじ蓋で四角のレンチで開けるようになっている。長いタガネを突っ込んで、たたいてスケールを取る場合もある。スケールにはそれほど硬い場合があるのだ。

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