2007年01月10日

水と石炭

600-ton Coal Dock in Cheyenne 機関士は列車の運行に注意を払うばかりでなく、自分の機関車に積んである石炭と水の量に気をつけなければならないのは当然である。

 砂漠の中では給水地点は限られている。しかも水の悪いところでは給水したくない。Big Boyの時代には随分と改善されたが、昔は水の処理は完全ではなかった。予期していない事態で側線であまりにも長く待たされていると、水が足らなくなることもある。給水をためらったがために、本当に水が足らなくなる。冗談ではなく、一種のギャンブルである。この水量で次の峠が越えられるか、どうか。救援機関車を呼べば、それで成績簿に一生消えない汚点が残る。ここが思案のしどころだ。

 駄目だと思えば"Cut-and-Run"しかない。列車を切り離し、身軽になって給水に行く。それでトンボ返りして、列車をつなぐ。その間に何も起こらなければ、ギャンブルに勝ったことになる。その間に優等列車が後ろに"Stick"していれば査問の対象になる。言い訳はできない。ギャンブルは負けだ。

 勤務評定表には、終生消えない記録が残る。どんなにすばらしい勤務歴がその前にあろうがなかろうが、同じことだ。鉄道会社は機関士の失敗の記録しか残さない。

 機関士は、この先起こることを全て予測せねばならない。いくつかの変数を入れて、結果をはじき出さねばならないのだ。天候、線路の状態、機関車の調子、ボイラの具合、列車の重量、石炭の質、それと一番大事なのは機関助士の腕である。Richard Harveyと同じだけの技量を持っているかどうかである。できの悪い罐焚きは全ての災難の元である。優秀な罐焚きは、常に先を読む。

訳者註 Stickとは文字通りくっつくことであり、背後に優等列車が停車してしまうことを指す。

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