2007年01月05日

続 チャレンジャとビッグボーイ

View from Big Boy's Cab ビッグボーイのボイラは長い。走行中にヘッドライトが切れると、取替に行かねばならない。

 罐焚き(機関助士)はスペアの電球を口にくわえ、機関士側のラニングボードを手すりを伝って行く。落ちた時、助けに行かねばならないからだ。もっとも、落ちたらただでは済まないとは思われるが…。電球の直径は10cm位もあったそうだ。

 とにかく最先端まで行って、球を取り替えるとそれは投げ捨てる。帰りはスキップして帰って来るのだそうだ。夏は暑いし、冬の吹雪の中での作業は命懸けだ。

 一番調子の良い4005号機は、保線作業中のポイント切り替え間違い事故で横転している。そのときTomの友人のEdが、機関士と共に亡くなっている。事故後4005号機は修復されたが、テンダは他の機関車のものを流用しているそうだ。この事故では、過って側線方向に開いたポイントに高速で突っ込んだのだ。テンダが運転室にめり込んだ。二人が即死し、一人は助け出されたが二日後に死んだ。

 
 彼らにとって、テンダ(炭水車)は単なる付属物でほとんど意識の外にある。"Hog(豚)"という言葉を使って、かなり馬鹿にしたものの言い方をする。テンダは取り替えるものという意識である。水漏れその他の故障が起こると、他機種のものであっても直ちに付け替える。

 "Locomotive and Tender"という言葉がある。HOのプラスチック製の機関車の箱にそのように表示されている。機関車という言葉は、まさに機関車そのものであってテンダは含まれないのだ。

 筆者がFEF-2をワイオミングまで持っていって見せた時のことである。「こいつを友達に見せるから持って行こう。」と出かける時、テンダを持ったら、「そんなもの、置いていけ。」と言った。「テンダなんか、見たい奴はいない。」とまで言い切った。

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コメント一覧

1. Posted by ina   2007年01月05日 10:04
今年もよろしくお願いいたします。
テンダーの話、「そうなのか」と納得しました。
リオグランデナローの保存鉄道に行くと結構テンダーを差し替えていたのを見かけ、機関車とテンダーの番号が揃って無くて、いい加減なんだなぁと思ったことがありました。日本とはそのあたりの感覚がかなり違うんですね。
2. Posted by dda40x   2007年01月05日 18:37
こちらこそよろしくお願いします。

テンダー は日本では「妻」の意味で使われることが多いのですが、英語では機関車自身が女性名詞なのでありえないことですね。
彼らは「単なる水タンク」くらいにしか考えていません。FEFに4軸テンダーをつないだ写真も見たことがあります。
なんという不細工!!

書物にはLocomotiveという言葉が使ってありますが、会話ではEngineとしか言いません。
3. Posted by skt48   2007年01月06日 08:47
これでやっと、ビッグボーイのテンダーが機関車に比べて異常に短い理由がわかりました。

あれで長距離の運転が出来たのだろうかと、不思議にも思っていましたが、それよりもデザインとしてのバランスの方が気になってましたので。

個人的には、グレートノーザンの長大なバンダービルト・テンダーが大好きです。

機関車とテンダーのバランスって、機能的にも外見的にもとても大事だと思うのですが、ご紹介されている感覚はちょっと理解に苦しみそうです。

4. Posted by dda40x   2007年01月07日 01:23
skt様 コメントありがとうございます。

テンダーの長さは、単にターンテーブルの長さによって決まってしまいます。9000のテンダーの短いことは当時のターンテーブルで制限されたからです。Big Boyの時は、Ogden, CheyenneとGreen Riverに大きなターンテーブルを作ることで 就役が可能になりました。
 
当初Alcoが提示したプランには、16輪テンダーの図がありました。その最後尾には、1軸の従台車がついていました。

5. Posted by skt48   2007年01月07日 10:05
ご返答ありがとうございます。

私の場合、本物の鉄道にはほとんど知識がありません。ですから、模型として、一つの立体造形作品としてのバランスの美しさ(多分に個人的な好みに左右されるものでしょうが)に感心が集中します。そういう意味で、ビッグボーイのエンジンとテンダーの比率が妙におかしく感じていたということでした。もともとこういう長大な機関車が造形として好きだったこともあります。

ターンテーブルの長さに制限されたということで、全長が決まったということはよく理解できました。日本のマレー式蒸気9020型にも、日本製の異様に短いテンダーがついていますものね。現実の世界では、既存の施設に新たな機関車を投入する上での制限が、最優先なのでしょう。

しかし、その制限にとらわれず、ビッグボーイのテンダーまで含めたデザインがされたらどのようになったかも興味があります。彼の国では、日本の様な短距離走行ではなく無補給で長大な列車を牽引する長距離輸送というイメージが頭の中にあったことも一因かもしれません。

もし、ビッグボーイ級の機関車に無条件にそのような要求を満たす機能とデザインを優先していたら、既存の施設であるターンテーブルの大きさを変えるという選択だってあったのではないか、とお気楽な模型好きは考えてしまうのです。経済性など頭の中にありませんから。日本の一般の鉄道が狭軌で限界があると騒ぐなら、新幹線と同じように、さっさと標準軌化すればいいじゃないか、と考えるのと同じ感覚です。

ただ、米国の鉄道関係者のテンダーに対する認識が、ご紹介されている様なものであるということは、そのような判断をする上に当たってもとても大きな意味を持っていそうだと感じたわけです。

そのような実物知らずの模型好きの感想だったと、ご理解いただければ幸いです。
6. Posted by dda40x   2007年01月07日 12:06
UPは本線上に給炭台、給水施設を持っていて、沿線の炭鉱から直接運んでいました。
したがって、テンダーの大きさにはあまり注意を払いません。サンタフェほど大きなテンダーも必要ないわけです。

テンダーは死重です。軽いに越したことはないでしょうね。

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