2006年12月12日

正直Jackのこと

 日本ではブローカという言葉の響きははあまり良いものではない。安く買い叩いて高く売る人というように思われているのではないだろうか。
 アメリカではブローカとして名を成している人は、膨大な知識を持ち、良識があって正直な人ということになっているように感じる。日本では仕入れの10倍で売る人もいるようだが、アメリカでそんなことをしたらたちまち商売が成り立たなくなってしまうでだろう。

 アメリカでのブローカの適正利潤は2割と言われている。そんな中で「15%しか上乗せしません。」と言い始めた業者Jackがいた。Jackはその少ない利潤で経費をまかない食べていかなければならないのだから、その目利きはたいしたものだ。
 だんだん評判を高め、いろんな人が彼に査定してもらいたいと依頼するようになり、売上高も大きくなり始めた。コンヴェンションでの彼のブースは徐々に大きくなり商売は順調になりつつあった。
 そこである"事件”が起こった。

 ある未亡人にところに呼ばれたJackは、彼女の夫のコレクションの査定を頼まれ、相当の金額で買い受けることになった。支払いが済み、コレクションはJackの事務所に運ばれた。
 商品の点検をしていたJackはある貨車の中に数十枚の百ドル紙幣を見つけた。それは、亭主のへそくりだった。
 次の日、Jackは車で5時間もかけてその未亡人の家に行き、「貨車は確かに買ったが、その積荷は買わなかった。」と言ってその現金を返したそうだ。
 未亡人は感激して、その日のうちに亡夫の友人たちの所に電話し、その噂は1週間でアメリカ中に広まったと言う。
 
 それ以来、"Honest Jack"として有名になった。Jackに会うことがあったので、その話を切り出すと、照れ臭そうにしていた。ウソではなさそうである。

 中古市場が大きくなるとブローカ同士の競争が起こり、必然的に淘汰も起こることであろう。日本ではまだまだとてもその域には達することが出来ない。地震で亡くなった友人のコレクションを安く買い叩いている業者もいるようで、奥様が不憫でならない。
 その中にはJackから買ったものも含まれているのだから。


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