2006年12月11日

コレクションの行方

Gary Herberger 縁起でもない話で申し訳ないが、お付き合い願いたい。

 近年友達を亡くした。そのGaryとは長い付き合いだったが、メラノーマ(視神経のガン)であっという間に逝ってしまった。ちょうど訪米の予定があり、一週間後に彼の家を訪問しようとしていたとき、病院に行くと連絡が入った。彼の妻Deniseは、「Garyは私の腕の中で死んだ。一人で死んだのではない。」とメールしてきて、それを読んだ私の家族は皆泣いた。
 それから一度弔問したが彼のコレクションについては忘れていた。彼の娘達には男の子がいたので、その子が趣味を継ぐのだろうと思っていた。

 その後e-bayで何となく気になる機関車2台があり、適当な値段をつけておいたところ、なんと意外な安値で、二つとも勝ってしまい、送金の通知を送った。
 たったの2人しか入札者がいないという不思議な状況で、相場の7割にも達しない価格であった。
 すると、よく知っている友人がその売り手で、返事には「あれは亡くなったGaryのコレクションだよ。オレが仲介を買って出た。」とあった。
 「それならもっと高くても買っていたのに。」と書くと、「Garyがお前のところに行かせたかったのだ。彼の意思が働いたのさ。ありがたく買い受けておけ。」と返事を寄越した。早速Deniseにメールすると、「あなたが買ってくれて嬉しい。私がそちらに行けば、また会えることになる。」と書いてきた。

 さて本題に入る。あなたの死後、あなたのコレクションはどうなるのか。ちゃんと趣味を受け継いでくれる方がいらっしゃればよいのだが、そうでなければクズ屋に二束三文で、ということにもなりかねない。

 アメリカのコンヴェンションに行くと、奥様方が甲斐甲斐しく受付その他の運営を手伝っている。日本ではあまり考えられない。
 中古の市場も成熟し、有能なブローカもたくさんいる。奥様達もここで売ればいくらになるということを知って、亭主の道楽を大目に見ているのかも知れない。
 あるときかなりの年配夫婦がかなり手の込んだ細工を施したBig Boyを自分のブースで3000ドルで売り、「35年前に500ドルで買って、35年遊んで3000ドルになれば安い趣味だよ」と喜んでいた。
「どんな収集品も持って死ぬことは出来ない。」これは確かである。

 我々の死後、友人が公正な方法で適正価格で処分するというのはなかなか難しいが、e-Bayを使うというのには驚くともに、そのしがらみのなさを活用する思い切りのよさには感心した。
 というのは以前ある方のコレクションを処分するのに、仕切った人の意向で妙なしこりが残り、気分が悪かったという話を聞いたことがあるからだ。 
  
 欧米のコレクションでは、オーナの存命中に管財人の弁護士を選任してあるのが普通だそうで、日本でも近々そのような時代が来るのかもしれない。我々のコレクションはとてもそんな大それたものではないが、適正価格で処分できればそれに越したことはない。
 そういう意味でのリセール・ヴァリュ評価システムをある程度確立させておくべきではないかと考えている。ブラウン・ブックに相当する各ゲージ別のものがあってもよいのではないか。

 いや、ちゃんとした後継者の育成が一番大切かも知れない。それともBig Boyの老夫婦のように、ある程度のところで見切りをつけて全部売ってしまうというのも手なのだろうか。

 日本の場合、コレクションの評価(リセール・ヴァリュ)ということにTMSのヤマ氏が否定的だったので、この模型趣味の社会的評価が高くなり損ねたという気がしてならない。趣味も経済と連動しているはずなのだから。


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コメント一覧

1. Posted by ina   2006年12月11日 09:44
趣味の世界、コレクション系はその人が亡くなるとその関係者がハゲタカのように群がるという話をよく耳にしますね。実際の所、遺族にはそれだけの鑑識眼もないのでしょうがないでしょうが。先日亡くなられた内野さんの作品が散逸しないで欲しいなぁと思っていますが・・
2. Posted by モハメイドペーパー楠居(JORC)   2006年12月11日 12:20
 日本も高齢化社会を迎え、鉄道模型に限らず、趣味で集めた品物をどうやって継承していくかは、大きな問題です。

 模型はOゲージともなればかなりの大きさですから、タダで引き取ってくれと言われても、スペース的に無理なこともあります。オークションに出すにしても、自作(特にペーパー製)車両は市販品と同じ視点では評価できません。

 本人がそこそこに楽しんだのだから、それで所期の目的は達成されたという思いっ切りも必要でしょう。

 この問題は趣味の世界とはいってもなかなか綺麗事で治まらない部分が多いようです。建前はともかく、実際にはケースバイケースで対処していくことになるのでしょう。
3. Posted by 01175   2006年12月11日 14:38
最近ではネットオークションの普及のせいか見かけなくなりましたが、以前は「御遺品」は古書市場に出ることがありました。遺品の蔵書整理のついでに「古本屋さん、コレも持って行って」というケースが少なからずあったようです。

とにかくNゲージのほかは市場規模が小さすぎて正当なリセール・ヴァリューが発生しないという理屈が成り立っているのではないかと考えますが、そもそも市場規模が小さすぎる最大の原因は雑誌メディアの無能にあったと思います。
4. Posted by dda40x   2006年12月13日 22:12
コメントありがとうございます。

鉄道模型博物館が必要だと思います。特に最近内野日出男氏が亡くなられてから、そういう気持ちが強くなりました。奥様には散逸させないようお願いしておきました。
鉄道模型史上特筆されるべき車両はしかるべき場所に保管し、公開されるべきです。そうでない車両はオークションでよいでしょうね。

スポンサーになって戴けそうな方はいらっしゃるのですが…、いかがでしょうか。

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