2006年12月10日

金曜日の夜

金曜日の夜 中学生の時、英語の教科書に「ウィークエンドは金曜の夕方から始まる。」と書いてあって、土曜のミスプリントではないかと思ったことがある。教師に聞いても、「そうだよな。」としか言わなかった。
 
 当時は週休二日などありえないことであったので、ほとんど誰もその違いについて分かる人がいなかったのである。

 その後、アメリカで暮らした時に、上記の表現はあまり正しくはないことが分かった。正確には「金曜日の昼から始まる」である。昼休みになると、皆うきうきとして、週末の予定を話す。早退するものもいる。
 

 アメリカのUP沿線の田舎町に住んでいたことがある。生活レベルは中の下くらいだろうか。
 物価が安いのでまずまずの暮らしであった。模型屋の店先で知り合った仲間に誘われ、HOレイアウト所有の家庭を訪問した。彼は鉄道員で小さな家に住んでいた。地下のユーティリティ(ボイラ、洗濯機などのある機械室)に狭い階段を通って入った。洗濯機などのすき間を有効利用した6畳程度の大きさのレイアウトであった。決して立派なものではなかったが、あちこちに工夫がちりばめられ面白い走行が楽しめるものであった。乾燥機の脇には小さな椅子が5個ありそこで交わされる会話は本当に楽しいものであった。毎月第三金曜日の夜はそこで集まり夜中の2時まで楽しんだ。気がついたら外は大吹雪で、車が埋もれてしまい、友人のジープで家に送ってもらったこともある。

 ここまで読めば、「なんだ、やっぱりレイアウトがないと面白くないのか」という感じを持たれるかも知れない。

 実は毎月そこで行われていることは、技能の交換なのである。旋盤を持っている人は誰かの仕事を引き受け、ロウ付けの腕がある配管工はそれを引き受ける。塗装の得意な人は…というわけで、集まるとそのやりとりが始まる。面白いのは仕事に対して対価があるが、それは$10とか$20という少額の現金である。しかしやりとりが終わると全員がほとんど±ゼロで帰っていくのだ。私は何もできることがなかったので日本からいくつか商品を取り寄せてさしあげた。
 この現金を介在させる方法はあとくされがなく、今思い出してもほほえましい光景である。

 アメリカでレイアウトを持っている人は確かに日本のそれより多いが、ほとんどが持っている、というのはとんでもない勘違いである。鉄道模型は作る楽しみ、集める楽しみ、走らせる楽しみ…がある。いくらでもやり方があるのだ。あの集まりの面々でレイアウトを持っていたのは一人だけだった。他のメンバーの家にも行ったことがあったが、戸棚一つと工作机だけという人も何人かいた。しかもその集まりには、ポテトチップスかコーラを1本持っていくだけである。それで一月楽しく過ごせるのだから本当に安いものだ。
 
 あの集まりがレイアウト無しで行われたとしてもそれはまた楽しいものだ。たまにはそういうこともあった。写真や本を持って集まり知識の交換会となる。大人の趣味とはこういうものではないだろうか。

 日本の趣味界で最も欠けているのは、ここで紹介したような助け合いの気持ちであろう。地域の仲間が特技を生かして助け合えば、実に楽しい交流が生まれる。そこに小額の現金を介在させることにより、貸し借りがなくなり、実にすっきりしたお付き合いができる。このようなシステムが機能すると面白いと思う。

トラックバックURL

コメント一覧

1. Posted by SEC   2006年12月11日 14:18
5 いつも、記事を見せていただいてます。
専門外でも感銘します。

趣味でここ数年色々収集整備していて、この記事のように色々な方と知り合え、情報交換や物品流通していて、ひとりぼっちの趣味とは違うのを実感しています。

矢張り、インターネット以外で直接お会いすると、色々話が盛り上がり、良いものですね。

此からも楽しみに閲覧しています。

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
Recent Comments
Archives
「最新トラックバック」は提供を終了しました。
Categories
  • ライブドアブログ