2006年11月25日

機関車の効率

Motive Power Peerformance Review 模型機関車の効率はいったいどれくらいなのだろうか。どうすれば測れるのだろうか。高校生の頃は、それで頭が一杯であった。せっかく物理の時間に習った知識を使ってみなければと、実験装置を作ったが、ストップウォッチもなく、電流計がいいかげんなテスターであったので、あまりよい結果が出なかった。言える事は10%以下であったことだけだ。

 NMRAの会報中、一番興味があった記事は、Robert E.Higgins氏の連載記事で、"Motive Power Performance Review" 動力車実力測定報告とでも訳すのだろうか。ありとあらゆる機関車の性能分析が10年くらい続いた。

 起動電圧、最高速、牽引力、効率、騒音、スケール・スピードが測定され、簡単な感想とともに纏められていた。毎月その記事を真っ先に読んだ。

Efficiencyこれを見ると、模型機関車の効率は信じられないほど低い。せいぜい6%、たまに良いもので13%くらいのものである。ひどいものでは2%というのもあった。父に聞くところによると、本物のモータは適正な負荷時では効率は95%以上あるという。あとは怪しいギヤ・トレインのせいだろうか。

 
 良いモータ、優れたギヤさえあれば50%以上が出るはずである。何年待っても、そのような機関車は出現しなかった。そうなると作るしかないということだ。祖父江欣平氏との共同作業を経て、世界最高効率というお墨付きがアメリカの雑誌に載るほどの機関車が出現した。

 冒頭の図はHiggins氏の記事に使われていたイラストである。この装置は簡単に自作できる。ある一定距離を走る時間と電流・電圧、勾配だけで計算できる。

 押して動く機関車では、最初の出だしで機関車が勾配を滑り落ちてしまうので、保持の仕方にコツがある。
 
このFEF-2の効率は61%ほどだ。

 50%を超えると、もう別世界である。単三電池一本で起動してそろそろと走る。起動電流は40 mA以下。80輌牽いてスケール・スピードで70マイル/時で走る時でも電流は800 mA以下だ。

コメント一覧

1. Posted by    2009年12月09日 07:15
機関車の効率測定の件、大変興味があります。

私は16番でDCCサウンドを楽しんでいます。
その過程において、今の日本の電気機関車や電車などが車体中央にモーターを置き、ジョイントでギアボックスを駆動する方法の動力について、デコーダとスピーカーの設置スペースが取れないこと、そして動力の音が大きいことが気になっています。
そして、「スペースを取らず、音も静かなもの」をさんざん検討した結果、吊掛モーターを作成することにしました。
なんとか実用テストをするまで来たのですが、問題は「果たして吊掛モーターは他の動力装置と比べて効率が良いのか?」ということを、数値で示す方法が無いかと頭を痛めてします。
=>数値で比較しないと「優れているか」が判断できない
現在、私が行っている方法は、重量のあるトレーラーを用意し、それを2%程度の勾配のあるレイアウトで走行させて電力消費を計測する方法を取っています。
しかし、このテストのためにはそれなりに準備が必要で、なんとか机の上で計測する方法はないかと考えています。
dda40xさんの書かれている方法に興味はあるのですが、具体的方法とグラフの見方が判りません。
申し訳ありませんが、詳細を教えて頂けないでしょうか?
2. Posted by YU   2009年12月15日 17:50
dda40xさんからの返答がないので、勝手ながら横から説明させていただきます。

1枚目のイラストを見ると、勾配を自由に変更できる台の上に線路が敷いてありますね。
そして、線路脇には2組のセンサーが並んでいます。これは時計に接続されているように見えるので、2点間の所要時間時間を測定する物でしょう。
あとは電圧計と電流計ですね。

機関車の質量と所要時間を計れば坂を上がるのに必要なエネルギーが計算できますから、実際に消費した電力がその何倍かで効率が計算できます。
計算方法は理科の時間に習っているはずですが、忘れてしまったのならインターネットを使えばすぐに公式を調べることができます。便利な時代になったものです。

必要なのはこれらの知識と、あとは正確に測定する方法を考えて工夫すること、そして根気よく何度も測定し(1回では誤差が出ますから、できれば10回ぐらい計って平均を取ります)、計算してグラフを書くことです。

一番大変なのは、測定するための装置を自作するところだと思います。
3. Posted by    2009年12月16日 10:38
ご回答ありがとうございます。
私も中学生(のレベルも今では難しいかも)までの知識を動員して考えた結果、勾配を入れる=重力を考慮しているのだな・・・というところまでは達しました。

私のブログで、これからここ数年あれこれと試行してきた動力装置の話をしていこうと思いますが、私は負荷(重量貨車)の数とレイアウト走行(勾配2~3%あり)における電力消費によるデータを取ってきました。
そのレベルのデータがあれば「DCC化したときに高価なデコーダを焼かなくて済む」という理由であります。
あれこれと試行していると、小型モーター使用時にも1.0Aを超えてしまうようなケースもあって、これは意外な(でもないか)であることに気がついたりしました。

測定装置については、来年にでも製作しようかと思っています。
4. Posted by dda40x   2009年12月17日 08:02
 戴いたコメントに対する返事が遅れましたことをお詫び申し上げます。父が95歳で永眠しまして、雑事に追われておりましたが、ブログの方は自動で送りだされており、途切れませんでした。

 効率は重力場の中で、ある質量をもつ車輌が、ある高さまで這い上がるのに必要なエネルギを消費電力量で割ればよいだけです。高校一年生の物理の教科書に書いてあるはずです。速度によって多少の違いがあるので、いくつかの速度で測定し、グラフに書き入れればよいだけです。斜面は3〜8%くらいがよいでしょう。機関車は勾配を大きく、電車は動輪が少ないので小さくすべきでしょう。

 普通の模型の効率はおそらく10%台だと思います。30%を超えると、すばらしくよく走る機関車です。50%を超えると、もう模型とは思えない動きです。
5. Posted by 01175   2009年12月17日 14:06
 御父君の御逝去、お悔やみ申し上げます。こちらのブログには、かっての御父君のコメントがよく引用されていますが、その御存在が、この卓越した内容のブログの大きな背景になっているものと拝察いたしておりました。

 ムさまのブログを拝見いたしました。
 このようにHOのバックゲージに納まるような小型のモーターでは、まず電気効率が悪いはずです。また、出力は最大で0.1W程度かと思われますが、トルク勾配値が高いはずですから、いかにスパーギアの効率が良くても、とりわけ低速時には過負荷になってモーターが焼損する危険が大きいのではないでしょうか。このサイズのモーターが4〜6個程度で消費電力が1アンペアあるというのは完全に過負荷状態だと思います。
 このような駆動機構の加工サービス・サンプルの実演を見たことがありますが、モーターのうちの1基が明らかに焼損していました。


[慰めのお言葉ありがたく頂戴しました。確かに1/4ほどは父に言われたことを基に書いています。父は老衰で亡くなりましたが、最期まで話もできる状態で、孫たちに囲まれて旅立ちました。幸せな死に方であったと思います。]
6. Posted by ム   2009年12月18日 09:36
コメントへのご回答、ありがとうございます。
実は私の父(偶然にも電気のエンジニア)が今年の9月に永眠致しました。
この3年ほどは認知症になり、さらに最後の3ケ月は看護のために私もかなり手を取られましたので、模型製作は大きく停滞しました。

ようやく落ち着きましたので、そろそろ動力装置のことを発表しつつ、今までの経験を元にした改良型を公開していこうと思っています。

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