2006年11月24日

フィリップス・ヘッド

phillips-head screws いわゆるプラスネジである。このネジ頭は適合するネジ回しには、くさび効果で食い込み、外れない。すなわち、自動のネジ締め機に適合する。1936年にアメリカで発明された。


 韓国ではMS Modelという会社にも出向いた。今もあるのかどうかは知らないが、OMIの下請けでAJINとは競合していた会社であった。社長のM.S.Park氏は若く、やる気がありそうな人であった。工場を見せてもらい、何かおかしなところはないかと聞かれた。おかしなところはかなりあったが、ネジ回しには参った。全く適合しないネジ廻しを使っているではないか。

 フィリップス・ヘッドのネジを締めるのに、細いマイナスネジのネジ回しで締めているのである。完成品を見ると、ネジ頭にはキズが付いていて、正しいフィリップス・ヘッドのネジ回しは、正確な位置まで差し込めそうもない。

 このように正しくない工具の使い方については、筆者の子供の頃、父には厳しく戒められた。ペンチで物を叩いたりすると叱られたものだ。

 間違いを指摘したものの、社長はさほど反省したようにも見えなかった。その次に訪問したとき、フィリップスの#0、#00の細いネジとそれに適合するねじ回しを持っていった。「こうするとね、ほら、ネジは摩擦力で保持されるんだ。」と説明したときの彼らの驚きようは今でもはっきり憶えている。
いわゆるカメラネジを紹介してやると、大量に購入した。ネジ回しも…。

1987年以前の韓国製模型と、それ以降とでは格段の違いがあることをお分かりいただけると嬉しい。

 帰国後、このことを祖父江氏に伝え、「ますます日本の模型屋は商売ができなくなりますね。まずいことをしたでしょうか。」と聞くと、「なーに、構やしないさ。だって、俺だってアメリカの模型屋をつぶして、飯を食ってきたんだからさ。順番だよ。これからは、あっちが逆立ちしたってできないものを作るしかないやね。」と答えた。


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コメント一覧

1. Posted by 寺久保 敦己   2006年11月24日 10:35
いつも有益で核心に迫るコンテンツありがとうございます。大変参考になっております。
これら精密ネジは、やはりカメラ業界が一番早かったのではと思います。その昔はダイキャストにタッピングして並目の機械ネジで止めておりました。その後、安いコンパクトカメラはプラスティックボディに変わり、ネジもタッピング不要なフィリップス・ヘッドのセルフタップネジが採用され、電動ドライバー(ハイオス)の併用もあり、生産性と品質向上の面で大きな進歩がありました。
しかしながら、今でも外観のプラスネジには違和感を持っております。
2. Posted by ワークスK   2006年11月25日 01:09
確かに、最初のうちは“オモチャごときに……”というような思いがあるかも知れませんね。でも一旦、それが顧客に受け入れられれば業界の標準になっていくということなのでしょう。そして、AJINにしても御助言を受けて、改めていったところが凄いと思います。それでこそ1990年代が正にOMI-AJINのディケードになったということですね。
ただし、とれいん誌12月号、平井憲太郎氏の弁に拠れば、ここ2,3年で韓国のブラス・メーカーが次々に撤退とのこと。時代は巡ります。
3. Posted by dda40x   2006年11月25日 22:10
いつもコメントありがとうございます。
韓国の二人の社長は、貪欲に知識を吸収したと思います。

「今までにいろいろなアメリカ人、日本人が来て見ていったけど、何も教えてくれるものは持っていなかった。隠しているようにも見えなかった。」とAJINの社長が言ってました。
 
 その後、歯車を切るホブとか、ベアリング、素材、ありとあらゆるものの輸入に知恵を貸しました。新製品が出るたびに送ってくれ、私が作り直したのを送り返すという関係がしばらく続きましたが、私がアメリカに引っ越したので縁が薄くなってしまいました。その後何回か個人的には会っています。

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