2006年11月19日

互いに素

FEF2, FEF3 歯数が『互いに素』であるというのはどんな意味をもたらすであろう。ここが、このギヤの最大のノウハウである。アメリカで売り出された韓国製のものには40:4というものもあったそうだそうだ。これでは駄目だ。

 よく見るスパーギヤの歯数比に40:20などがある。これは最も避けるべき組み合わせである。必ず同じ歯が、小歯車の回転2回に1回当たることになる。何かのきずがついたり、異物を噛み込んだりしていると、いつまでもその影響から逃れることはできない。

 それでは40:19であったらどうであろうか。互いに素であるから、全ての歯が異なる組み合わせで当たるであろう。

 実用機械では歯車の組み合わせはこのような比になっている。自動車の変速機のギヤ比を調べてみれば直ちに分かることだ。決して割り切れない比率になっている。ぜんまい式掛時計の、長針短針の関係を作る歯車(日の裏歯車という)を除くすべての歯車はこの組み合わせを採用している。そうでないと、時計は引っかかって止まってしまう。

 これは英語で"harmonic wear"すなわち『調和のとれたへり方』を期待できる組み合わせである。また、材質としては歯数の少ない方を硬い材料で、多い方を軟かい材料で作らねばならない。

 このようなことは機械工学の常識である。実はそのことは技術者であった父から教えられたことだ。模型においてはその点が極めて怪しい。ゴロゴロという音がするものは、ギヤトレインの設計が間違っている可能性が高い。

 面白いことに、アメリカには日本製の模型の動力装置を取り替えることを生業としている人たちがいる。さすがにその人たちの製品を点検してみると、歯数の比は『互いに素』である。この点では合格である。

 彼らは日本の模型をかなり馬鹿にしている。露骨に「日本には機械工学の分かる奴はいないらしい」と言う。そういう連中に、この押して動くギヤを見せてやると、息を飲む。言うべき言葉が見つからないらしい。

 しかし、みな同じことを言う。「下り坂では暴走するだろう」と。「電気ブレーキが効く」と言うと、「下り坂で止まっていることができるか」と聞いてくる。

 「モータの焼けない程度の電流を流しておけば、問題なく止まっていられる」と答えると、「そんなバカな」と信じない。単三電池一本をつないでやって見せると、「そんな高級なモータを使うのはばかげている。」と捨て台詞を残して行ってしまった。

 現在では、コアレスモータはそんなに高いものではなくなったし、DCCなら、ブレーキを作動させることぐらいわけない。。

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コメント一覧

1. Posted by 朝海   2006年11月19日 23:10
5 はじめまして。鉄道模型は自分の触れたことのなかった世界ですが、毎回楽しみに読ませていただいています。考えてみれば当たり前ですけど、歯車の数が互いに素で構成されていることには、妙に感動してしまいました。
2. Posted by ワークスK   2006年11月20日 00:30
私も実は機械屋のなれの果てでして、歯数を互いに割り切れない数にすることは、学校で確かに習いました。韓国でも中国でも、それは絶対に常識のはずです。
ただし、歯車にはモジュールとかピッチとか、門外漢に判りにくい概念がありますから、それを知らない人なら、どうしても要求される歯車比や軸間距離から既成の歯数を使ってしまうという様なことがありそうです。
昔の我が国を含め、問題は、機械工学を修めた者が、模型製造に関わらなかったところにあるのではないかと思います。社会の成熟度合いの関係ではないでしょうか。
3. Posted by dda40x   2006年11月21日 21:44
朝海さん、コメントありがとうございます。

小学生の頃、車のカタログを丁寧に読んでいたとき、ギヤ比が割り切れないことに気がつきました。父に聞いたら「そうしておかないと、とんでもない音がし始めるのだ。」と言うのです。絵を描いて説明してもらって納得しました。

このウォームも組み立てたばかりの時は、やや動きが渋いのですが、、モータにつないで1分ほど廻すと実に滑らかになります。これが『互いに素』の効果です。

ワークスKさん、ご指摘の件は項を改めて発表させていただきます。ありがとうございました。

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