2006年11月10日

潤滑油の構造

 penetration oil潤滑は油であればすべて可能なのかという疑問がある。潤滑油は石油ではないのか。

 1859年、アメリカのペンシルバニア州で石油が噴出したとき、その用途について議論百出したが、結局、それまでの動物油、植物油由来の灯油をケロシンという石油由来の物質に切り替えただけで、あとの成分は何の用途も見出せなかったそうだ。わずかに高沸点の半流動油がやけどに塗ると、空気に触れなくて痛みを和らげることになっただけである。これは今でもヴァセリンと言う名前で売られている。ガソリンの用途など、自動車が現れるまで見当もつかなかったようだ。

 荷馬車の軸受けの潤滑油は動物性油脂しか効果がないことが知られていた。ところが、その厄介物の石油に動物性油脂を少し混ぜるだけで、潤滑油として大変効果があるということが分かった。

 いわゆる油脂は脂肪酸RCOOHとグリセリンのエステルという化合物である。脂肪酸は酸の一種なので金属とは反応する。ここで金属をMとするとM-OOCRという結合を作るだろう。すると金属に無数の脂肪酸が化学的に付着したものが生じる。いわば、小川の川底に無数の水草が生えて覆われた様な状態になる。このような小川のなかを歩くのは滑りやすくて難しいことが実感できる。Rの部分は大きな炭化水素基で、石油とは同類である。

 つまり、金属と何の関係もなかった石油が、脂肪酸の仲立ちで金属と結びついたのである。水草のおかげで、その上を滑っていく別の金属は直接の接触を避けられる。また水草は簡単に抜け落ちることもない。現在ではその様に解釈されているが、昔は経験的に知られていただけに過ぎない。
 
 自動車のエンジンの中とか日本の蒸気機関車の軸受けは全て流体摩擦のはずだ。そうでなければ直ちに焼きつく。
その昔、井上豊氏が国鉄の指導機関士だった昭和20年代、新車を受領すると、試運転は彼の仕事だったそうだ。「新米に任せるとすぐ軸受けを焼きつかせる。」と、何十台と慣らし乗りをしたと聞いた。コツは燃費が悪くても、フルギヤで走らせることだそうだ。軸受け合金の当り面が平滑化するまでは油膜が切れやすいので、力が脈動する掛かり方をするような運転をしてはいけないのだ。

まさに境界潤滑への移行を避けた運転法である。そののち極圧剤が開発されてからは、こんな話は意味が無くなったようだ。

写真は車の修理用に使っている浸透性油 

dda40x at 07:10コメント(2)潤滑  この記事をクリップ!

コメント一覧

1. Posted by バイク屋@駅裏   2006年11月11日 23:44
○○○ロロンの話を、その効果を絶賛する友人にしたところ、確かに賛否両論だと言っていました。焼き付きは聞いたことがないようですが、効果ありの意見と無しの意見が半々のようです。近々自分のに入れようかと思っていましたが見送ることにします。○○○ロロンの効果が怪しいのでしたら、同じような添加剤で良く知られているゾ○ルなんかも怪しいのでしょうか?

ただ、○○○ロロンを長年入れている友人のバイク(15年前の4発1000ccです)は、年式と距離と、たまに激しいサーキット走行をするにも拘らず、添加剤の効果を証明してるかのように調子が良いです。他にも2台旧車がありますが、それもかなりの調子の良さ。全部アタリエンジンだったんじゃないの?と言われればそれまでですが^^;

 論理的かつ科学的で、ユーモアに溢れたお話を楽しみに、毎回拝読しております。今後も期待してます!!
2. Posted by dda40x   2006年11月12日 23:52
テフロンは水にも油にもぬれない物質です、それがどのようにして油の中に安定して分散していられるかが問題ですね。ましてや、金属と結合して膜を作るとはとても思えないのです。

テフロンのフライパンを見て不思議に感じませんか。何にもくっつかないはずのテフロンがどうしてフライパンにくっついているのか…………。
フライパンの表面をエッチングして細かい穴をあけ、そこにテフロンを押し込んでいるのです。これこそが、投錨効果そのものです。
当然、ある程度使用するとはがれて駄目になります。ぬれていないのですから。
ゾ○ルについては、全く知識がありません。

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