2006年11月08日

潤滑

hypoid gear oil 潤滑には大きく分けて流体潤滑と境界潤滑がある。

前者は油膜を挟んで摩擦面同士が離れている状態である。荷重に対して摩擦面を浮かせている力は、潤滑油の粘性とか圧送される油圧、摩擦面で発生する圧力である。自動車のエンジンの内部はすべてこれだ。テフロンとか二硫化モリブデン粒子を入れた潤滑強化剤というのがあるが、効果は疑問視されている。事実アメリカでは焼き付き事故があり、訴訟が起きて販売できなくなったと言う話を聞いたことがある。日本では○○○ロロンとかいう名で販売されているようだ。使うと却って油膜切れの原因になるという報告もある。

 本物の蒸気機関車の潤滑はすべてこの流体潤滑である。仕業点検のときに、シリンダの上部、少し後ろのオイルポンプに油をなみなみと注ぎ、グリス・ニップルからグリス・ガンで押し込んでいた。懐かしい風情である。

 後者は大きな圧力が加わった摩擦面での潤滑である。この領域では摩擦面が滑りやすい物質に変化していないと潤滑されない。 摩擦面が直接に擦れあうと高温になる。ここにハロゲン化合物が存在すると、熱により金属と化合し、膜を作って滑りやすくなる。これが極圧剤と呼ばれるオイル添加剤である。極圧添加剤は塩素系炭化水素、硫黄化合物、リン化合物で、デフ・オイルには普通に添加されている。焼き付く寸前、高温になると効果が発揮されるのだ。

 デフ・オイル特にハイポイド・ギヤ用と書いてあるものは必ず塩素系化合物が含まれていて、最近は焼却時にダイオキシン発生源発生源としてマークされている。
 ここで簡単な化学実験をひとつ。よく磨いた10円玉にデフ・オイルを一滴落とし、裏からハンダごてで温めるみられよ。たちまち変色して銅の色が黒く変化する。これが極圧剤の効果である。

 模型ではギヤが焼けることはまず無いだろうから、このような極圧剤はそれほどの効果を期待できない。また、これはエンジンオイルには配合されていない。

 二硫化モリブデンは極圧潤滑剤のひとつだが、固体潤滑といって固体そのものが滑りやすいものである。鉛筆の芯の黒鉛もそうだ。
 面状結晶が滑りあうのである。黒鉛は高圧には耐えないが二硫化モリブデンは極めて高圧に耐える。

 私は粉を塗りつけて軽くなじませ、全体に広がったところで極めて軟らかい極圧グリースを塗っている。それが混合されたものも使っているが、大差ない。

dda40x at 07:08コメント(2)潤滑  この記事をクリップ!

コメント一覧

1. Posted by 金型屋   2012年06月23日 19:07
 極圧作用は腐食の問題だから合金設計でしか解決できないと昔いた日立金属の技師長の方が言っておられたのを思い出しました。
2. Posted by dda40x   2012年06月25日 09:02
さすがにその技師長はよくわかっていらっしゃいます。
結局のところ仕事のできる人というのは、「専門分野から外れた周辺領域をくまなく知っている人」ということになりますね。

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