2006年11月03日

『ぬれ』の応用

applying decal on a tank car 問題の答えは、 ⓼の全てである。金属同士がよくぬれあうので、めっきもハンダ付けも出来るのだ。ハンダ付けの不得意な人は材料をよく洗い、塩化亜鉛の飽和溶液を使えば必ずうまくいく。もちろん大きなコテを使って十分な加熱が必要なことは言うまでもない。すき間に融けたハンダがつるりとしみ込むのを見れば、『ぬれ』を実感するであろう。銀ロウ付けもハンダ付けと全く同様、『ぬれ』による。⓼の熔接も母材を融かすと生じる液状の金属とぬれ合う。

 接着とは固体の2つの母材のどちらにもぬれあう物質が、液体から固体に変化することである。塗装は母材がひとつの場合である。もし接着剤や塗料よりも『ぬれ』の良い物質が母材に付着しているとそこで『はがれ』が起きる。溶剤や洗剤で、確実に母材を露出させる必要がある。

 潤滑は母材になじみの良い油を選び、種々の添加剤を加えたものである。25年ほど前、LPSなるスプレィ式潤滑剤の宣伝で、塗布した機関車が水槽の中を走っていたそうだが、これは、その潤滑剤の金属に対する『ぬれ』が、水のそれに勝っていたことを証明するものである。添加剤により、ぬれを改善した具体例である。

 さて、ディカルを貼るとき塗膜はよく水をはじくから、何らかの方法で『ぬれ』をよくすることが大切である。筆者は、滑面(つや出しにする)に#1200のサンド・ペーパーを軽く掛け、ドライウェルを混ぜたソルバ・セットを塗る。こうすると、ディカルを貼りたい面に薄く水膜を作ることが出来るから、そこにディカルを手早く載せて水がしみ出して来るのを待つ。『ぬれ』さえ良ければ水は急速にディカルの範囲外に出て、上記のように乾いていく。もちろん綿棒などで水を吸い取らせるのも助けになる。このときの温度は、ある程度高いとうまくいく。水の粘度がかなり小さくなるからである。
 気泡が出来ても気にせず乾くまで待つ。気泡のあたりによく切れるカッター・ナイフを当て、1ミリピッチで軽くディカルのみに切込みを入れる。ドライウェルと混ぜたソルバ・セットを少量置くと、『ぬれ』が良いので空気を押しのけて水が入り込む。切り込みは必ず平行にする。もし碁盤の目のように切り込むとみじん切りになってしまうから注意されたい。

『ぬれ』は界面化学の分野の用語のひとつである。

写真はディカル貼り

dda40x at 11:03コメント(2)ぬれ  この記事をクリップ!

コメント一覧

1. Posted by 寺久保 敦己   2006年11月03日 10:25
「ぬれ」は現職中に電子部品の半田付けの時に良く使いました。最初聞いた時はピンときませんでしたが、実際に作業してみて納得しました。
インドネシア人に教育したとき適切な訳語が見つからず、そのまま「ぬれ」を使いました。
他にも広範囲に一般的なテクニカルタームなんですね。
尚、ご存知と思いますが、「ドライウエル」は富士フイルムの乾燥促進剤の登録商標です。念のため。
2. Posted by dda40x   2006年11月04日 00:16
寺久保さん こんばんは。
「ぬれ」という言葉ががインドネシアに入ったとは面白いですね。訳語がありそうですけどね。
ところで、30年前に買ったドライウェルがまだ残っていて使えます。

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