2006年10月20日

熔解炉

熔解炉 実際そのとおりで、ベリ銅であれば、どんな複雑な形状のものでも、下手な鋳造方案であっても、素晴らしい鋳物ができる。 結局のところ、労力を勘定に入れれば、安上がりな方法であると言える。

 また、鋳造後、仕上げを施して電気炉で熱処理をすると、素晴らしく硬い物が出来る。Ralphにカウキャッチャをベリ銅で作ったのを見せてもらったが、正面衝突すると相手の機関車のカウキャッチャに食い込むそうだ。

 熱処理をしなくても、ベリ銅の鋳物は硬い。叩くと、焼き入れした工具鋼のようなキンキンという音がする。ブラスのゴンゴンという音とは異なる。ベルを作ればいい音が出るだろう。 


 熔解炉は黒鉛のるつぼを用いる。鉄系合金では炭素が入ってしまうので避けるべきであるが、銅系合金ではそれは全く問題ない。
  
 熔解に必要な電力は意外と少ない。水に較べてはるかに比熱が小さいので、熱が逃げないようにうまく設計してあれば1KWもあれば十分すぎるほどである。

 融けた金属に少量のフラックスを入れ、表面の酸化物など(いわゆるスラグ)を黒鉛の棒で巻き取って除く。

 蓋を開けると、800℃以上に焼けた炭素に空気中の酸素が結合して、一酸化炭素が発生する。それに引火して青い炎が出ることがある。るつぼは消耗品である。全体をアルゴンガスで包めば、消耗は完全に抑えられるし、一酸化炭素中毒になることもない。

 温度を調べるには、熱電対温度計を用いる。非常に高精度で瞬時に計れる。これもO氏の手作り品である。

 地金を融かす時に注意しなければならないことは、大きな塊を入れないことである。これをやると熱膨張でるつぼを破壊する。必ず小さな粒を入れるようにする。長いものは縦に差し込む。当たり前のことであるがやってしまうミスである。
 
 融けた金属はとても重いので、取っ手を二つ付けた。鋳込みは照明を消して、暗がりで行う。人間の目は意外に正確に温度を測ることができる。温度計の数字を見て、眼で色温度の確認を行いながら鋳込む。左は、真空鋳造機、右は熔解炉。

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