2006年09月21日

続・共晶ハンダ

e7853051.jpg 手元の金属学の本からハンダの組成図を書き写そうと思っていたらこんな図がネット上にあった。解説まであるので、殆ど書くことも無くなった。

 これをご覧戴ければ一目瞭然で、ABD,BCFの二つの三角形の領域では細かい金属結晶が存在し、「こしあん」状態であることが分かる。その状態なら「ハンダを盛る」という芸当が可能である。
 しかし下手に動かすと「こしあん」が干からびた状態になりひびが入る。コテの熱を供給しながらこねなければならない。「こしあん」で言えば多少の水を加えてこねる訳である。

 DBF線より下では完全に固まっている。183℃以下では固体しかない。ABC線以上では完全な液体である。大きなコテで十分な熱を加えればこの状態を作り出せる。筆者の場合、ハンダ付けが下手な時代はこの完全液体状態を作り出す温度まで加熱することが出来なかったからだろう。強力な加熱装置を持っていなかったときは、ハンダ付けは難しいものだと感じた。その時偶然手に入れた共晶ハンダは融け始めた瞬間に液体化するので、つるりと隙間にしみ込んで、多少動かそうとも、完璧な美しいハンダ付けが完成した。それを「うまくなった」と感じたのだ。

 この説明によると、昔の配管用のハンダはスズ34%鉛66%で、強くて美しいハンダ付けが可能だそうだ。スズの多いハンダはあまり見ない。

 筆者はこの配管用のハンダを大物用に使っている。ガスで加熱すれば、とろとろと流れて極めて美しいハンダ付け(この説明の中ではWiped Jointという語を使っている)ができる。

 弱電業界ではいま世界的に無鉛ハンダの使用が義務付けられている。無鉛でしかも"eutectic"でなければいけないので、面白い配合比のハンダが何種類か出現しているようだ。

 どうして"eutectic"でなければならないかというと、いわゆる「ハンダ割れ」からの脱却の必要性である。筆者の保有している古いドイツ車の電装品がよく故障する。外して見てみると、リレイなどのハンダにクラックを生じている。ハンダが"Eutectic"ではないからだ。なるべくきれいにハンダを吸い取り、新しいハンダで修理する。新しい部品を買うと出費が大きいが、簡単な修理であるからやってしまう。目指す部品にすぐ手が届くところはいかにもドイツ的で好きではあるが、故障しない方がいいに決まっている。

 最近の自動車部品は多分改良されていることだろう。それにしてもガス器具の故障修理による死亡事故はいたましい。製造者のハンダに対する知識が乏しかったことが一番の原因であろう。

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