2006年09月20日

共晶ハンダ

4dbb2ae8.jpg 共晶ハンダはスズ63%、鉛37%からなる。融点は183℃と習った。
 ハンダが一瞬で固体と液体の間を行ったり来たりする。初めてこのハンダを使ったとき、何かハンダ付けがうまくなったように感じた。

 当時は高校生で理屈が良くわからなかったが、その後多少は勉強したので知識が整理された。英語では"Eutectic Solder”という。訳語としては「融けやすいハンダ」という意味になる。

 普通のハンダは183℃よりは多少高い温度で融けるが、その融けた状態は2種ある。一つは完全に融けた液体の場合、もう一つは「こしあん」のような半流動状態である。後者は、場合によっては殆ど流れない状態もあるし、流れやすい状態もある。ただ、液体の中に何かの粒子があるように感じる状態である。

 「こしあん」状態の時、ハンダ付けしようと思っているものを動かすと、「こしあん」の粒子がささくれ立った状態になり、ハンダが多孔質になる。すなわち殆どくっついていない状態になり、力をかければぽろりと外れる場合が多い。英語では"cold joint"という。日本ではこれを「ハナクソ・ハンダ」というのだそうだ。

 普通のハンダを使う時は、この「こしあん状態」をすばやく通過させることが最も大切なテクニックである。大物の時は押さえているのも大変であるから、水を掛ける。Billの作業台には水を噴射するスプレイが在った。アメリカのハンダ付けの手引書にはたいていこの水を掛ける方法が紹介されている。
 場合によっては噴射ノズルを口にくわえて足で水タンクを踏む(蹴る)という離れ業まである。

 写真は私が使っている共晶ハンダで太さ0.032インチ(0.81mm)のものである。切って使うと、長さで量をコントロールする事が出来て便利である。包装単位は1ポンド(454g)である。下のほうの白帯にSN63PB37と書いてあるのが読める。

 融けているか、固体かのどちらかの状態しかないので、その特性を示す非常に興味深い実験がある。
 
 ある程度の大きさの真鍮板(厚さは0.8mm程度)にフラックスを塗り、多目の共晶ハンダをつける。ハンダが融けているのを確認してコテをゆっくり滑らせる。熱が伝わってハンダが融けるとコテは滑り始める。しかしとなりの領域はまだ温まっていないので、ハンダは固化する。コテは真鍮板に瞬時に固着し「コン」と音がするときがある。その次の瞬間、ハンダが融け始めて、また滑り始める。

 適当な大きさの力を掛け続けると、ハンダゴテがコンコンコンと音を立てながら滑っていく。共晶ハンダだけがこの音を立てる。すなわち共晶ハンダを自作する時は、これが成功か否かの試金石となるわけだ。

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コメント一覧

1. Posted by 佐野 衡太郎   2006年09月21日 20:29
4 初めて投稿します。博識に脱帽しながら読ませていただいています。ハンダ付けの話題が続きますが、模型のハンダ付けを長年経験し、また、かつて仕事でも電子回路関係の品質を扱ってきた経験から、このたびのパロマのガス湯沸かし器の事故の真の原因が報道関係に一切出ないようですが、不思議です。サービスマンによる不正改造のことばかり記事に出ていますが、もともとの原因は工場で作られた時に問題の基板のハンダ付け部が不具合(クラック?)を起こし易い(特に低温で?)ことにあるわけで、この点でパロマが何をやっていたのか(残留応力を掛けたままハンダ付け⇒クリープ破壊で断線、とか)、再発防止対策はどうしているのかなど、ちょっと技術的に関係をしていた人なら知りたくなるところです。それにつけても、世の中身の回りをみてもハンダ付けなんぞを趣味でやっている人の減ったこと。
2. Posted by dda40x   2006年09月24日 23:19
佐野さん、コメント戴きありがとうございます。
確かにハンダの低温での挙動はまだ未解明のところがありますね。
車は寒いところでも使うわけで、特に耐寒性が要求されます。車がハンダ割れを起こすというのは不思議といえば不思議です。私が見た範囲では、ハンダが割れると下の銅箔も割れています。
ガス器具は人命にかかわることにおいては車と同じですが、今回の事件は企業の体質がよく表れてしまいましたね。

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