2006年09月14日

モース・テーパとR-8

c2c479fc.jpg 旋盤のスピンドル(主軸)、テイル・ストック(心押台)の内側にはテーパがついている。たいていはモース・テーパ(日本ではモールス・テーパと発音する人が多い)である。以下「MT」と略す。
 他にはBSテーパとかJテーパなどがある。いずれも角度が緩く、はまり込むと自分の摩擦力で抜けにくくなるように設計されている。これを自己保持力(Selflock)という。


 写真の左はMT3テーパのスリーブである。スリーブというのは細いMT2のシャンク(軸)をMT3に嵌めるために太くするためのものである。日本で紹介されている(素人向けの)参考書には殆どMTを利用した製品の利用しか載っていない。素人向けに販売されている縦フライスのスピンドルもMT仕様である。
 
 そのためか、工作好きを対象にしたウェブサイトを見ていると、「MTのスピンドルからシャンクが抜けなくなりました。どうしたらよいでしょう。」というSOSが発せられているのを時々見かける。

 これはMTの性質上当然の結果であり、そのような使い方を推奨、あるいは他の方法を取りえない設計をしてしまった方に責任があると考える。

 Billにはこのように習った。「MTは抜くためのくさびが打ち込めないところには嵌めてはならない。くさびは押し出すためにある。MTを引っ張って抜こうとは考えるな。」
 
 この写真をご覧になればお分かりのように、縦に長い穴が作ってある。これはくさびを打ち込むためのものである。もしこのスリーブに細いMTのシャンクを挿し込んだ時、長穴から先端(トング)が見えない時は使うなということである。

 写真の右はR-8テーパである。これは角度が急であり、引張りを開放すればするりと抜ける。 ボール盤や縦フライスのように軸方向の力が掛かる所には適する構造である。これはMT3を差し込めるようになっているスリーブであり、これを持っているといろいろな工具を差し込める。

 日本ではこのようなR-8テーパを持つ縦フライスなどが、アマチュア用に市販されていない。おそらく日本中で「MTが抜けなくなった」という悲鳴が上がっているはずである。「棒を突っ込んで上から叩く」などと指南する人までいて、あちこちで精度の失われた機械が出現することになる。こういうときはスピンドルをばらして、油圧プレスで押し出す以外ないのだ。

 写真を見ればお分かりのようにR-8はMT3をちょうど包み込む大きさである。Billは「スピンドルがR-8の機械を買え。アマチュア向けにもたくさん工具が出ている。」と勧めてくれた。


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コメント一覧

1. Posted by 田中   2009年10月06日 22:54
5 初めまして投稿します。
質問になってしまい申し訳ありません。
現在購入したばかりのフライス盤がモース・テーパーのスピンドルなのですが、写真のMT3系が嵌められるスリーブはどこで入手可能ですか?
よかったら教えて頂けませんか?
2. Posted by dda40x   2009年10月10日 23:04
お近くの工具屋さんで聞けば手に入ります。
あるいはここで通販で買えます。
http://www.monotaro.com/g/00016963/?displayId=23&dspTargetPage=1
3. Posted by popoakao   2012年02月25日 23:52
フライスの購入を検討していてこちらの説明にたどり着き、R8テーパーの機械を買うことに決心しました。いろいろ探したところ日本まで送ってくれるのがMicro Markだけでしたので、先日円高かつ2割引のセールをしていたときに発注しました。本体が$594.36、ほかにコレットなども購入し、送料は$389.14で、約千ドルの買い物になりました。
1月27日に発注、2月17日に送料見積もりのメールが届きました。同日に承諾の返信を送り、2月21日には商品が到着しました。ヘッドストック、カラム、テーブル、コントローラーがばらばらに送られてきたので、自分で組み立てることになりますが、搬入・設置は一人で可能です。
この機械は120V60Hzと書かれていますが、100V50Hzでも一見問題なく回ります、長期成績はもちろん未確認ですが。トロイドコイルが破損していたので苦情をメールしたところ、代わりを送るとの回答ですが、それはまだ届いていません。
R8のフライス購入を考えている方の参考までに、いきさつをご紹介申し上げた次第です。
4. Posted by dda40x   2012年02月26日 06:54
R8テ―パのフライスが増えたことを喜ばしく思います。
Micro-Markしかないわけではなく。Little Machine Shopでも3つに分けて買えるはずです。あるいはどこかでモーステ―パの物を安く手に入れて、スピンドルを入れ替えるという手もあります。スピンドルの中身はLMSで買えます。

ともかく入手おめでとうございます。工具類はアメリカから豊富な種類が買えますので、トータルでは安く上がるはずです。
コラムの補強は必ずやらなければなりません。現在の片持ちでは駄目です。

>トロイドコイルが破損していた

電源のトロイダルコアのことですか。これが壊れるということはかなりの衝撃が掛かっていますね。
5. Posted by popoakao   2012年02月26日 09:01
アドバイスをありがとうございます。
破損部分の写真を送ったところ、先方からそれはtoroidというリングで云々との返答があり、ノイズ防止のためのものと説明がありました。ヘッドストックはウレタンの詰め物に挟まっていましたが、電源ケーブルがそれに押しつぶされ、トロイドも破損したと思われる状況でした。
LMSも日本に送ってくれるのは気がつきませんでした。LMSにはコラムを固定した同機種があったので本当はそれがほしかったのです。メールで確認すればよかった。残念!
今後ともよろしくご指導くださいませ。

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