2023年02月

2023年02月28日

Benderの破損

 この Bender を長年使ってきた。これは30年以上前にアメリカで買った。NorthWest Short Lineという会社が作っていたが、今は中国製になったようだ。
 数年前にネジを取り替えた。以前のネジは、廻す部分が小さく、しかも長期間使っているうちに、つまみが欠けてきたのだ。要するに厚いものや、幅の広いものを曲げるのは、過大な負荷だったということなのだろう。日本製のインチねじの頭にプラスティックの大きな握りを付け、調子良く使っていた。 

bendeer 今回はホッパの排出口のゲートを作るために t 0.5の板を曲げた。間口は 36 mmである。この程度の厚みなら行けると思ったが、これも過大な負荷であったようだ。
 この種の工具はブレーキと呼ばれている。工場では油圧で動く型で曲げている。

Bender 2本の押しネジがねじ曲がった。ネジが熱処理されていなかったからだろう。以前のネジは表面が黒かったのだ。
 ネジを糸鋸で切り落とし、外した。さてどうするか、である。また同様のネジを使っても同じことになる。また、インチサイズのネジは日本では買いにくい。

 こうなったら別の方式を考えるべきだろう。幸いにも、プレス機がある。上の刃をプレスのラム(垂直に動く押棒)で押せばよいのだ。 

2023年02月26日

0-4-2 のイコライジング

 今野氏のブログで木曽森林のBaldwinの機関車の話題が続いている。発売は50年以上も昔の話だ。その割には現物が走っているのを見たのは少ない。ろくに走らないのだ。
 その理由は当時のモータの大きさにある。キャブと炭庫を完全に埋め尽くすモータであって、重心が第ニ動輪より後ろにあるかもしれない。軸は固定だから、第一動輪はほとんど意味がない。脱線しやすく、牽引力は少ない。

0−4−2 40年ほど前、井上豊氏にお会いしたときに、
「木曽森林は調子が良くないようですね。」と言うと、井上氏はさらさらと絵を描き、
「機関車自身の重心はこの辺にある。遠くに従輪を持って行ったのは、なるべく動輪に機関車本体の重さが掛かるようにしているんだ。」
と説明してくれた。4-4-0を前後ひっくり返したような構成だ。
「でも後ろのほうが大きくて重そうですね。」と言うと、
「ボイラ・火室は厚い鋼板だ。後ろの水槽とか炭庫はペラペラの板だ。満載しても鉄の比重にはかなわないさ。この構成にすると、炭庫、水槽の中身が牽引力に影響を及ぼさない。これは、タンク機関車には重要なポイントなのだ。」と教えて下さった。
 確かに、国鉄のC11などは炭水庫に満載でも空でも、動輪上重量がほとんど変化しないように設計されている。

 しばらく前のコメントで、Tavata氏が全く同じことを書かれたので、その解説を書こうと思っていたが、1年以上経ってしまった。
 現在では、モータは小さく軽いので、後ろを薄い板で軽く作って、なるべく前に補重すべきだ。そうすると実物のようなイコライザでも良いはずだろう。しかし、補重が足りそうもないので、ボイラを中の詰まった挽物にした上で台枠の中も高密度の金属(鉛では足らないかも)で埋めるべきかも知れない。

追記:発売中の蒸気機関車という雑誌に、高木宏之氏がC10,C11の軸重について書かれているそうだ。タンク機関車の軸重は炭水庫積載量に影響を受けない構造となっているとの記述を裏付ける文章とのことである。        2023年3月30日

2023年02月24日

続 FEF4 のデモ運転

 動輪があまりにも軽やかに空転するので、この機関車はとても軽いに違いないと思った人も居た。機関車を持たせると仰天した。3.2 kgもあり、牽引力は 7 N もある。そう簡単には滑らないはずなのだ。

 テンダも 3 kg強あるが、軸重はやや小さいが伝導軸が多いので、多少滑りにくい。その結果、動輪のほうが先に滑ることになる。 

 短い線路では運転は難しいので、付き添って運転指導した。勝手に触ると事故を起こすので、それは釘を差しておいた。

 会場の奥の方で運転したのだが、観客席から見ていて、声を掛けて戴いた方も居た。
「この機関車の運転が見られるとは思わなかった。」と感謝された。「まさに実物のような動きですね。」とおっしゃる。特に、ブレーキを掛けて動輪が止まったまま滑っていくのには驚かれた。止まる前に逆電圧を少し高めると逆回転するのは、
「実に面白い。」とのことだった。
 この動画は1月に名古屋模型鉄道クラブで撮影したものだ。オリジナル画像はなめらかで良いのだが、Youtubeの動画は動きがぎこちない。どうしたものかと悩んでいる。

2023年02月22日

FEF4 のデモ運転

FEF4 先日の神戸の行事に慣性増大装置付きのFEF4を持っていった。6 mの線路と電源も携行した。テンダが重いので、機関車全体では 7 kg弱である。

 線路を敷いてすぐ、運転を開始した。単機でも出発時に動輪がスリップするのを見るのはクラブ員も初めてで、集まって見て戴いた。

 運転は難しいので、最初は許可しなかった。思うところで止められないので、大事故が起こる可能性があるからだ。実際のところ、筆者の運転でも2回停め損なった。しかしそれは超低速運転だったので、大したことにはならなかった。動いているのが見えなかったのだ。
 停止から極めてゆっくり起動することができ、その速度を保てる。それを見て驚く人も多い。怪しい低速コンテストとは全く異なる動きだ。

 先輩からはこのような言葉を戴いた。
「実物で見られる動輪の空転や、停止直前の滑走は、質量の大きさから来るものです。Oゲージ程度の大きさでは、到底実現不可能と思っていたものなので、大変興味深く見せて戴きました。何十年もの間研究された結果とお聞きし、趣味の神髄を味わわせて戴きました。」

 こういう感想を戴くのは嬉しい。


2023年02月20日

続々々々々 Gandy Dancers

 この模型に関して、数多くのコメント、メイルを戴いている。機関車の改造記事よりも興味深いようだ。
 いくつかメイルを紹介しよう。投稿者が特定されないように部分的に改変してある。

・私の祖父は戦前、某駅の助役をしていたのですが、接触事故で片足を切断してしまい退職しました。駅前の大きな商店を任されて裕福な生活ができたのですが、空襲で焼けてしまい、生活に困ったそうです。国鉄の補償が手厚かったことを思い、祖母は「国は酷い。国鉄は良かった。」とこぼしていました。

 名古屋模型鉄道クラブの会員が知らせてくれた。
・会誌の1982年4月号に記述を見つけた。その時はまだ工夫が一人だった。それを増やして4人にせよと、そそのかした人がいて、結果としてイコライザを組込んだメカニズムになったようだ。最終的には8人になった。

 この模型の作動を見たことがある方からは、
・ツルハシを使う人形が、単純に腕を上下させるのではなく振り上げ、振り下ろしで、腰も動くのです。これには驚きました。さらに、振り上げは多少の遅れがあってばらばらですが、振り下ろしは一斉に動きます。今回の記事でその理屈がわかったので嬉しいです。


2023年02月18日

続々々々 Gandy Dancers

gandy dancers (1) これは制御基板の裏側である。さすがにこれでは作った本人以外分からない。基本的な回路図はあったが、それにいろいろなものを付け足しているし、定数を変化させているので、解析は無理だ。


 先日来、この一連の記事を読まれて、手伝いたいという方が何人か名乗り出てくれている。国内はもちろん、外国からも志願者が来ている。興味深いのは、どなたもコンピュータによるアナログ制御でやりたいとおっしゃるのだ。ということは、与えられた条件によって、動作のタイミングが変わることがあるということである。面白いように見えるが、それまでの必要はないように思う。

 根本的には、列車の検知回路で「退避・復帰」ができれば良く、それに附随して、「親方の動き・工夫たちの動き」があるだけである。退避するのはツルハシが降りたときだ。ということはクロックによる制御のほうが単純であろう。


 振り返ってみれば、アナログのシークェンス制御しかない時代が有ったが、確実に作動させることができていた。タービン機関車の起動停止は、まさにその実例である。
 原発も最近までこの方式の炉があったそうで、そういう意味でもアナログ式はあなどれないことは理解している。

2023年02月16日

続々々 Gandy Dancers

gandy dancers (3) 親方は、作業する場所の近くに居て線路を監視し、列車が近づくと笛を吹く。すると、4人一組の工夫は退去する。



gandy dancers (4) 文字で書くと簡単なのだが、この一連の動作はなかなかややこしい。親方はいつも首を左右に廻して見張っている。笛を吹くときは手が上がって、笛が口に咥えられる。ピーッという音は実際の笛ではなく電子音だった。首を廻す動きはこのメカニズムによる。親方の帽子が下のほうに見える。

 工夫は横にスライドするが、そのレールが面白い。文房具の綴じ具の断面が hat section 帽子型の断面になっているのを利用している。滑りはすこぶる良い。   

2023年02月14日

続々 Gandy Dancers

gandy dancers (2) 通称エンヤコーラである。剛氏の遺品群を預かった時、この作動を再現したいという気持ちが強かったのだが、開けてみるとバラバラになっていて、かなり難しい状態であった。この写真は、箱の上に描いてあった剛氏による判じ物である。

 クラブ員の力でなんとか再現したいが、難しい点があった。それはmechanical sequential control 機械式シークェンス制御である。アナログ回路でタイマを作動させ、順次リレィが切り替わって、カムにより人形が動くと同時に、接点が切り離されたりつながったりする。
 すぐに調子が変わってしまう。剛氏が調整すると、15分ほどはなんとか動くが、その後は難しかった。

 コンピュータを使ったシークェンス制御でないと、とても無理ということは分かるのだが、専門家が居なかった。筆者が最初から勉強し直すのでは5年は掛かるだろう。オーストラリアの吉岡氏が、
「俺がやってみる。」
と手を挙げてくれたのだが、残念なことにその直後に急死されたので、そのままになっていた。 
 吉岡氏は剛氏と密に連絡を取り、方針を固めたところであった。急死の報を受け、剛氏は落胆して電話で、
「もう(再生は)だめかな。」
と漏らされたのは、亡くなる少し前だった。 

2023年02月12日

続 Gandy Dancers

equalized motion 筆者が初めてそれを見た瞬間、
「イコライザが使ってある!」
と叫んでしまった。剛氏は、にこっと笑って、
「そこに気付いたのは貴方が最初です。」
と言われた。

エンヤコーラ (3)エンヤコーラ (2) 上死点に到達すると一斉に振り下ろされるが、それまでは多少ばらつく。しかもそのばらつきが、毎回微妙に異なるところが面白いのである。工夫は腰と肩が動く。力を入れて振り下ろす、まさにその動作が再現される。工夫の体の中には細い鎖が入っていて、それを引っ張ることにより、腕と腰が動く。

 アメリカではGandy Dancersと呼ばれている。この語源は今ひとつはっきりしないが、この動画にもあるように、その工具がGandy社製のものであったというのが大きいだろう。
 録音がないのが残念だが、筆者が聞いた範囲では、アメリカでのその種の歌の文句は女性に関することが多かった。問いかけとその呼応により構成された歌だ。
 日本でもその手の歌は、かなり卑猥なものが多かった。そういう作業歌について調査している人は居る。歌に合わせて多人数で作業していたのだ。

2023年02月10日

Gandy Dancers

 伊藤 剛氏の傑作の一つに線路工夫がある。最近はこの「工夫」という文字が読めない人が多いようだ。メモ書きを置いておいたら、”せんろ・くふう” と言った人が居て、驚いた。

 鉄道は危険な職場である。現在のような安全基準が確立されていない時代には、大怪我、殉職はよくあった。その家族、遺族が路頭に迷うことがないように鉄道弘済会が発足したということは、井上 豊氏からお聞きした。大きな駅の売店を任されたりすると、鉄道員の収入より良かったらしい。

エンヤコーラ (4) さて、保線の工夫は、親方の指示で動く。親方は見通しの良い場所で線路を見張っている。列車が近づくと、笛を吹き、退避させる。そうすると列車が通過し、また工夫たちは作業を開始する。
 その一連の作業を再現する模型を作ったのである。工夫は4人で1組である。歌を歌いながらツルハシを振り上げる。その時、振り上げは多少のばらつきがある。上で一瞬止めて、歌に合わせて同時に振り下ろす。
 剛氏の絶妙なアイデアがそこにある。4本のツルハシはイコライザで結ばれていて、持ち上がる瞬間に微妙なズレが発生しても、それらが全て上死点に来ると、同じタイミングで振り下ろすのである。


2023年02月08日

牽引力コンテスト

a contest 古いTMSを整理している。たまたま開いた号に、表題の記事があって、とても驚いた。40年ほど前の記事だから仕方ないが、あまりにも滑稽なところがあって、少々呆れたというところが正直な感想である。

 例によって、「重くする + 駆動軸を増やす」のオンパレードである。そこには物理的な思考というものがあるようには見えない。小学生の発想から抜け出していないのだ。駆動軸を全て連動させるべきだという話もない。

 被牽引車の摩擦を小さくするのが、最も建設的な方向性であるが、この当時から誰もそちらを向かないようだ。この記事の最後には、台車にバネでキングピンを軸にして捻りを掛け、フランジの摩擦で牽引力を稼ぐという、トンデモ・アイデアの作品が紹介してある。それで「ポイントを脱線せずに渡った」とは一言も書いていない。それは編集部の責務であるはずだと思うが、いかがであろうか。

 
 実物の鉄道は「摩擦が少ない」ということを最大限に利用している。札幌の地下鉄は華々しくゴムタイヤ付きでデヴュウしたが、その電力消費の大きさには、開通当初から驚きの声が上がっている。しかし、マスコミがどういうわけか褒めそやしたので、効率が悪くてもあちこちで採用され始めた。ゴムタイヤの消費もかなりのものであると同時に粉塵がたくさん撒き散らされていると聞く。環境には決して良いとは言い難い。 

2023年02月06日

続々 太いボイラ

 筆者がアメリカに居た頃に、このK4のボイラが太いということは聞かされていた。シカゴのMike Hill氏は6輌のカツミ製K4sをカスタムビルダに作り直させ、かなりの価格で頒布したそうだ。

 それを聞いていたにもかかわらず、筆者は西部の機関車に興味が向いていたので、現物を見ることがあまりなかった。一方10年ほど前から、三線式のスケール車輌が出廻るようになった。ライオネルの線路を走らせるので、急カーヴを曲がれるように一部のフランジがなかったりするが、上廻りはよくできている。本物の図面を渡して中国で作らせているので、ボイラの外形はとても良い。三線式は販売数がとても多いので、大抵はダイキャストである。時間が経つと壊れる可能性もあるかもしれない。

 カツミの旧製品のK4s パシフィックは、一言で言うと立派過ぎる。火室の大きさだけでこんなに印象が変わるものなのだ。それはチャレンジャについても言える。ビッグボーイの長さを切り縮めただけで、火室が大き過ぎるのだ。後に作られた韓国製、中国製のボイラの形はすこぶる良い。ボイラの形は例外なくシロナガスクジラのように真ん中が太いのだ。キャブの前は絞られている。
 ビッグボーイも近くで見ると、ボイラ中央部が膨れて飛行船のような感じである。

 今回、K4s をじっくり眺めた。横から見ている限りはなかなか良いものである。汽笛の位置、向きは興味深い。Tom Harveyの気持ちもよく分かる。


2023年02月04日

続 太いボイラ

PRR K4 SofuePRR K4 old これらを修正するのはかなり難しいが、アメリカのカスタムビルダの中にはそれをやった人がいるらしい。今は高性能の細いモータが手に入るのだから、できないことはないだろうが大変だ。
 さて、左は祖父江氏が作った最後のカツミのOゲージ製品である。火室側面は、右の旧製品とは格段の差があり、細くなっている。

from topcomparison2 上から見るとこんな調子だ。火室後部のすぼまりがよく分かる。この製品がカツミから出たときは筆者は留守をしていてよく分からなかったが、今見るとその差には愕然とする。

comparison 斜めから見るとこんな具合だ。ベルペア火室の上の部分が大き過ぎるが、違和感を感じさせるのは、むしろその下のラニングボードと接するあたりの幅である。
 当時のモータではどうしても幅が小さくできなかったのだろう。祖父江氏の工夫でなんとか収めようとしたのだが、力及ばず広くなっている。
 
HO and O HOの模型を並べてみた。これはユナイテッドのK4sである。不思議なことにカツミの旧製品と似ている。棒型モータで、多少の隙間があるのだが、太いボイラである。これについては太いとかいう評判は聞いたことが無いのは不思議だ。HOの人はそれほどこだわらないのだろうか。それともOゲージの大きさが、その差を訴えるのだろうか。
 その昔、「とれいん」が発刊された頃、Y氏が輸出されていた機関車を褒めまくって、寸法が正しいとか言っていたが、その記事の写真もこれと全く同じである。 

 これらのジャンクで手に入れた機関車に手を入れてみようかとも思うが、火室、キャブは完全に作り直しとなる。しかし、それだけの手間を掛ける価値があるかどうかは疑問である。 

2023年02月02日

太いボイラ

 カツミが Max Gray やその後継者に輸出した蒸気機関車の一部には、火室が太いものがあることは、アメリカの模型ファンには常識である。カツミは1960年頃から2000年頃まで約2万輌のOゲージの機関車を輸出している。その内の7割以上は祖父江氏による。

PRR K4 当初、モータが大きいので、そのモータにかぶせることができる最小のボイラを作って載せた。すなわち、火室は少し太い。真横から見るとわかりにくいが、前から見るとすぐに分かる。これはK4パシフィックである。キャブ前の妻は、ラニングボードの方から見てほぼ長方形でなければならないが、台形である。

PRR M1PRR E6s ペンシルヴェイニア鉄道のアトランティック(4-4-2)、パシフィック(4-6-2)、マウンテン(4-8-2)などの機関車の火室は、どれも太い。太いと言っても火室の幅のことであり、真横から見たときはそれほど感じない。左はマウンテンM1,右はアトランティックE6sである。模型のE6sの火室は明らかに広がっている。とは言うものの、祖父江氏の工夫でモータの鉄心をキャブに押込んだので、多少は助かっている。

I remember Pennsy (2)I remember Pennsy (1) 本物の機関車を毎日見ていた人は、これらの角度でも見ていたのだから、違和感を持つ人はあっただろう。これらは、K4s パシフックである。模型のラニングボードが狭いのがよく分かる。ベルペア火室の幅が広過ぎるのだ。キャブの前に向けて、すぼまっていなければならない。2枚の写真は、写真集 ”I remember Pennsy" からお借りしている。


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