2022年12月

2022年12月30日

続々 塩化亜鉛を作る

 容器を冷やしながら塩酸を少しずつ入れる。かなりの発熱があり、塩化水素ガスが飛び出すので、外でやるべきである。冬は熱が逃げやすく都合が良い。飛び出した塩化水素は空気中の水蒸気を凝縮させて霧にするので、白い湯気が出るように見える。

 量の比率であるが、亜鉛 30 gに対する濃塩酸の計算上の体積は 76 ml 程だが、揮発して逃げる分を見越すと 80 ml が良いだろう。筆者の場合は、塩酸の残量から反応させる亜鉛の量を計算した。

 反応容器を一晩放置し、完全に溶けたのを確認する。銅線を引き上げると、還元的雰囲気にあったので綺麗なピンク色をしている。この銅線を入れないと、1週間放置しても、全くと言ってよいほど、溶けない。トタン板の場合は亜鉛がなくなって鉄板になる。空気が入るので、酸化が進み、鉄は錆びるだろう。ここで亜鉛の量は意外と少ないので、ほとんど塩酸のフラックスができる。それは効果がとても良いので驚くはずである。祖父江氏は最後まで塩化亜鉛を使わず、希塩酸しか使わなかった。

 これで手持ちの塩酸は無くなってしまった。今後どうやって入手するかだが、かなり難しそうだ。 

2022年12月28日

続 塩化亜鉛を作る

 全ての金属固体が反応を助けるわけではない。積極的に阻害するもの(昔は逆触媒と言った)も、いくつかある。鉛、亜鉛、カドミウム、水銀などである。よく考えてみると、これらは全て電池の負極構成物質である。電池を休ませている時に、負極物質が電解液と勝手に反応(要するに電池を作動させていないときに亜鉛極が溶けてしまう)しては困るので、これらを用いていれば電極が反応せず、保存ができる。すなわち実用電池にはこれらを使わざるを得ないのだ。

 話は元に戻る。亜鉛はこれらの阻害剤の一つである。すなわち、亜鉛表面では水素ガスが発生しにくいので、結果として亜鉛は酸には溶けないのだ。そうでなければボルタ電池は成立しない。このあたりのことが、日本の高等学校の教科書ではかなりいい加減に扱われているので、混乱を引き起こしている。
 亜鉛を酸に溶かすには、触媒として何かが必要である。プラチナの指輪があれば、放り込めば良い。溶けることはない。(昔、それをネタにして笑いを誘う、傑作な入試問題があった。)

高純度亜鉛 と 銅線銅線を入れる あるいは製品でも良い。少し能力が落ちるが線でも構わない。筆者は、左の写真のように銅の撚り線の一端を捻り、他方を開いて放り込む。表面積が大きいので効果は大きい。右の写真は、塩酸はまだ入れていない状態で容器を覗き込んだ様子。亜鉛は微粉末で溶解速度が大きい。


2022年12月26日

塩化亜鉛を作る

 塩化亜鉛の在庫が枯渇してきた。友人が来ると所望されるので少しずつ渡しているうちに、無くなってしまったのだ。
 金属亜鉛の粉末はたくさんある。塩酸に溶かすことができれば出来上がりなのだが、その塩酸が手に入らない。10%を超える塩酸は劇物である。毒物劇物を扱っている老舗の薬局も減ってきた。さらに地下鉄サリン事件があってからは取り締まりが厳しくなり、買えない。こちらは専門家であると言っても、駄目なものは駄目で、売ってくれない。
 半分諦めていたのだが、40年前に買った濃塩酸の瓶が見つかった。少し残っていたので、これを使うことにした。

 中学、高校では「亜鉛は塩酸に溶ける」と教えている。実際にやってみると、それは正しくない事がわかる。反応しないのだ。
 読者諸氏の中には、「昔中学の時に実験をやった。ちゃんと溶けたぞ。」と言う人もいるだろう。それは、その亜鉛が99.5%程度で、あまり純粋でなかったからだ。あるいは塩酸に不純物が入っていたからである。いい加減な実験ではうまくいくが、純粋な亜鉛(電気亜鉛という)に不純物の無い塩酸を注ぐと反応しない
 この理屈は、やや高度な説明が必要である。化学の先生に聞いても、きちんと答えられる人は少数だろう。

水素の発生 結論を言うと、「亜鉛表面上の水素過電圧が大きいから」だ。亜鉛はイオン化傾向が大きいから水和イオンになりやすく、電子を残して飛び出そうとする。・・・(1)式

 残る電子は水素イオンとくっついて水素原子になる     ・・・(2)式

が、生じた水素原子が2個くっついて分子になる      ・・・(3)式 
には、触媒が要る

 簡単に言えば、電荷によって結合する反応は瞬時に起きるが、電荷の無い原子同士はそう簡単には結び付かない。何かの触媒表面が必要である。いくつかの説明のモデルがあるが、全て固体が必要である。
 ニッケルとか鉄、炭素、パラジウム、白金などがあると具合が良い。不純な亜鉛には鉄や炭素が含まれているので、偶然にもうまくいったのだ。トタン板を塩酸に浸すという古典的方法がうまくいくのも、母材の鉄の存在が大きく寄与しているわけだが、それには誰も気付かない。 

 電気分解で水素を発生させるときも、極板を選ばないと高電圧をかける必要があり、損失が大きい。食塩水の電解では陰極に鉄板を用いる理由はこれである。その時、鉄がその食塩水の中で全く錆びない理由もついでに考えて戴きたい。最近はもっと優秀な素材を、陰極板に用いるようになった。      

2022年12月24日

EMDの機関車用 traction motor を付ける

traction motor (1) 何台かの機関車を作るうちに、あることに気がついた。実物の台車の中にモータを収める場合は問題ないのだが、台車の外側にモータを吊る場合は、そのモータが丸見えなのだ。すなわち、ついていないと透けて見えて変なものだ。要するに、何かがそこにあるべきだ。

EMD traction motor (3) KS台車を作る時にダミィ・モータを作るので、ついでにこれを作った。電車用と異なるのは、冷却用のブロワ・ダクトである。それらしく上に伸ばした。あまり見えないので、細かく作る必要はない。 


EMD traction motor (1) 横から見るとこのような調子だ。十分である。 3軸台車、4軸台車にはこのようにモータが外に出ているものが多い。なぜかというと、モータが車軸の後ろ側に全て取付けられるので、一番後ろのモータは外にぶら下がるわけだ。2軸台車の場合は、台車の中の車軸の隙間に2台のモータが取付られているから、外からは見えない。

 3Dプリントでこのようなものを容易に作れるようになったので、いろいろな意味で助かっている。もしこれが金属製なら、あちこちに触ってショートするだろう。また重くなって大変である。 

2022年12月22日

続々々 covered hopperを作る

3-bay covered hopper (1)3-bay covered hopper (2) この3-bayは今までにないタイプである。市場にもあまり出ていない。ホッパのゲートの構造を変更した。その辺りはすべて壊れていたので、削り落としてそれらしく作り直す。

 car cyclopediaをよく見て、構造を頭に入れてから取り掛からないとむずかしい。
Jack Frost この種類のホッパ車の塗装は目立つものが多かった。このディカールはすでに入手が極めて難しい。"Jack Frost"は、日本語に置き換えにくい言葉で、批判を恐れずに言うと、”北風小僧”だ。寒さを持ってくる妖精である。最近公開された「アナと雪の女王」にも出てくるらしい。アメリカでは有名な砂糖のブランドであった。最近は見ない。
 

 とにかくこの5輌の貨車を完成させれば、安達氏から買い受けた貨車のジャンクはすべて完成で、残りの部品を捨てられる。思えば長い道のりであった。ざっと140輌ほど組んだことになる。

2022年12月20日

続々 covered hopperを作る

2-bay covered hopper (1)2-bay covered hopper (2) この2‐bay hopper は前回お見せしたものに近いが、屋根が別のタイプだ。要するに別の屋根を切り貼りして作った。縦割りにして、幅を詰めたのだ。丸型のハッチが必要で、その数が足りそうもないから、3Dプリントによる生産は必須であろう。

unnamed 下部のホッパは壊れているので、部品を作って直している。それほど難しいものではないが、既存のものと寸法を揃えねばならないから、注意せねばならない。板を大きめに切ってたっぷりとハンダを付け、ヤスリで調整する。このときのハンダは60%スズである。

 このジャンクは、細かい部品がほとんど付いていなかった。数十個の部品を手作りして付けることになる。楽しいが、時間が掛かる。同時に実物の構造調査に時間を掛けねばならない。

 この種のホッパ車は意外と重い。表面積が大きいのと、鋳物をたくさん使うからだろう。ハッチは鉛合金の鋳物であった。その鋳物が肉抜きが少なくて重いのは、ハンダ付けの時に融かしてしまわないためだろう。


2022年12月18日

続 covered hopperを作る

 アメリカ人が作ったブラス製車輌は、例外なくべとつく。フラックスに塩化亜鉛水溶液を使わず、ペーストを用いているからだ。この2輌もその例外ではない。溶剤である程度内外を洗ってから、強力な洗剤と磨き砂で擦ると、多少ブラスの輝きが出る。緑青が出ているところもあるから、念入りに擦る。内側は洗いにくいので、リモネンを用いて大型の綿棒で拭いた。非常によく落ちる。ペーストの基材はリモネンの構成分子とよく似ているからだ。

 筆者が最初にブラス工作の手ほどきを受けた先生はBill Melisである。彼もペーストを使った。最後に熱湯で洗うと言っていた。しかしこの長さの模型が入る鍋に入れて煮るのは大変である。
 上のリンクにあるペーストは、温湯のシャワーで比較的簡単に落ちる。ところが、油性の松脂系のものはそう簡単には落ちないから、溶剤が必要である。

4-bay covered hopper (2) 問題はハッチである。長いハッチは薄い銅板をプレスして作ってあるが、丸いのは無い。12個を旋盤で挽いても、形が揃うとは思えない。これも3Dプリントで作ることになるのだろう。とりあえず手持ちの部品を並べてみた。これらを全部付けるわけではない。

 排出口の造作も作らねばならない。合計16個もある。目立つところだから、何らかの工夫が必要である。

 台車は36インチの車輪を付けたBarber台車である。これはLow-D付きで用意してある。 

2022年12月16日

covered hopper を作る

 修理途上、組立中のcovered hopper があといくつあるか調べている。おそらくあと5輌で終わりだろう。

 その内の2輌は安達氏のところから来たジャンクである。かなり作りやすい。ある程度の部品もあるし、ノウハウも蓄積されている。今まで見たこともないタイプもあるが、なんとかなるだろう。それらはバラバラのものから組み始めたものだ。

4-bay covered hopper (3) これらの2輌は曲者である。これらはしばらく前、ニューヨークの集会で、製造元の息子から購入したものだ。外見はそこそこだが、中身はアウトである。全体を貫く背骨がないのだ。衝突するとアコーディオンのように長さが縮むだろう。仕方がないから、ホッパを少しずつ切り欠いて、3x10 mmの角材を差し込み、ハンダ付けした。当然ながら、素晴らしい剛性がある。もう1輌はちょうど良いチャネルがあったので切継いで嵌めた。

4-bay covered hopper (1) 車端は鉛合金の鋳物であったので外し、融かして重りにする。ブラスと洋白の角材で構成し、アングルを取り付けると出来上がりだ。ちょうど良い太さの洋白の角材が大量に手に入ったので、切り刻んで使っている。廃金属商から手に入れたのだ。

 この4-bay covered hopper がどのタイプなのかは、長年調べているがよくわからない。Pullman-Standardの系統であることは分かる。しかしカタログに出ていないのだ。屋根の上もよく分からない。


2022年12月14日

台車の向き

 先日のこの記事を読んだ友人から、訂正記事を出すべきだと連絡があった。確かに指摘の通りなので、読者の皆さんにもお知らせする。

 その台車にはドライヴ・シャフトが付けてあった。次の日に人に見せねばならないので、あわてて組んで、間違えたのだ。ドライヴシャフトの向きと、ブレーキの引き棒の向きが反対であった。

伊藤剛氏のブレーキ解説図簡略化図 これらの図は古いTMSの2桁号時代の伊藤 剛氏の記事から採っている。これを見れば一目瞭然であるから解説は要らないだろう。



日光モデル 台車 最近所属クラブの例会でその友人に会った時に、この日光モデルの台車を見せてもらった。なんと、左右別の型が彫ってある。要するにブレーキのテコが正しい方になるようにしてあるわけだ。これを買った人のうち、模型製作時にそこに気が付いて正しい方向に台車を向けた方は、どの程度居るのだろう。気になる。

2022年12月12日

ある読者の意見

 しばらく前の貨車を塗った記事を読まれてコメントを送ってきた方があった。それを本文で使うことを許可されたので、紹介する。

 素晴らしいです。これらは以前の記事の「真鍮製模型を目方で買う」のジャンクを組んだものですね。既製品より細密で頑丈であるわけで、理想的な模型です。
 車輪の内側が錆びていて、外側が油で濡れているのは感動的です。最近のTMSは「フォトジェニックなものを載せている」と、今野氏の文章にありましたが、こういうところに注意を払ったものをまず見ません。裏側のメッキが光っているものが多いのは残念です。

 今野氏の文章を引用している。鉄道は重いものが動くというところが魅力なのである。グワーンと動き出して、ゆっくり動き、なおかつなかなか止まらない。それを見たいのだ。筆者の仲間内では、物理的な慣性を追求しているが、正しく動けば電気的な模擬法でも構わない。そういうことを真面目に考えないと、「おもちゃだ。」と言われてしまう。現実にある場所で小学5年生の坊やがそれを言ったので驚き、少し話をした。彼らはCGによるリアルな動画を見ているので、そう感じたという。これは無視できない意見だった。
 最近複数の場所で走っている鉄道模型を見るチャンスが有ったが、どれもこれもチョコマカと走っていた。見る気が失せる。

 車輪の裏の件はそのように感じる方が多いなら、素晴らしいことだ。床の裏まで正確に作ったという模型の車輪がぴかぴかでは情けない。少々付け加えると、最近のローラーベアリングを使った台車の車輪は外側が油で汚れていない。日本なら塗料が塗ってある。アメリカの場合は、錆色である。クラックの発見の邪魔になる塗装をしないことになっているのだ。
 
 今野氏が今後何をなさるつもりかは存じていないが、期待したい。 


2022年12月10日

ABS の劣化

Pullman-Standard 60ft boxcar kit by US Hobbies 思わぬものが見つかった。1970年代に購入したプラスティック製のキットである。50 ftの Boxcar でPULLMAN-STANDARD の当時の新車だ。製造元は US Hobbiesであり、Kemtron の社長ケマルヤン氏がMax Grayの会社を引き継いで作った会社だ。彼は1976年に亡くなったので、その直後の在庫一掃セールで買ったような気がする。これも安価だったので、ほとんど記憶に残っていない。冷暗所にあったので、劣化していないと思った。しかし箱を開けて細かい部品を手ではずそうとしたところ、ランナの方が折れた。これは要注意のサインで、薄刃のカッタで切り離した。

LDLD2 全体にもろくなっている。実はほぼ同型をもう一輌組んだのを持っている。それを参考にしようと紙袋に入れて持ち帰ったが、自室で紙袋が破れた。ほんの30 cm弱だが、木の床に連結器から落ちた。 

time-related deterioration この連結器はバネで実際に縮むように出来ており、十分な緩衝力があるから壊れるはずはないと思ったが、妙な音がして連結器の付け根付近から折れてしまった。素材が劣化しているのだ。これは接着剤では直らないから、その縮む部品をブラスで作り直すしかないと覚悟した。
 上記リンクの貨車は自作だからエア・ダンパがついているが、このキットにはそんなものは無い。押し込むと、手を放した瞬間にぴょこんと飛び出すが、適度な摩擦でそれほど速くは飛び出して来ない。

 このキットを組み始めたが、やはりもろい。大きな部材は安心だが、細いものは割れてくる。直ちに溶剤で溶かして付けるが、期待はできない。可塑剤が加水分解されている可能性が高い。細かい部品はブラスで作って差し替えるしかない。  

 当鉄道にはプラスティック製のものは少ない。経年劣化が予想されたからだ。いずれこのように割れてくると確信したのだ。ABS製と書いてあってもこの程度である。たった40年でこの調子だから、この先どうなるのだろう。
 非常に虚しい。これは読者諸氏のプラスティック製模型の未来を暗示しているのだ。結晶性でないプラスティックは、全て同じ運命をたどる 

2022年12月08日

covered hopper を仕上げる

 天気予報を見て、塗装の準備をした。とりあえず3輌を塗ることにした。磨き砂で洗って皮脂を取り、エアコンの吹き出し口に置けば、朝までに完全に乾いている。ミッチャクロンを吹いて、べとついているうちに塗るのが骨(こつ)らしい。

painted 3輌の貨車を裏返しに置き、回転させながらどの角度から見ても塗り残しがないようにする。横に向けて斜めに保持し、同じように回転する。最後に正置して屋根の部品の隙間によく入るようにし、全体に薄く塗って出来上がりだ。この種の貨車はとても塗りにくく、手間がかかる。

 天気が良いので、輻射熱で 40℃ 位になるから、夜まで放置すると固まる。

BORAXO covered hopper ディカールはF氏が譲ってくれた。このBORAXOのディカールは、今では貴重品である。長年探していた。古くなっているので、膜を厚くする薬品を塗ったら、少々厚くなり過ぎて、浮き上がった。細かく切れ目を入れて再度ソフナを塗ると落ち着く。適度なウェザリングを施すと出来上がりだ。この当時は連結器にも塗装をしていた。現在は法律で連結器、バネ、車輪、車軸、枕梁等への塗装は禁止されている。ヒビを見つけやすくするためだ。

2022年12月06日

covered hopper に手を加える

covered hopper (2) 先日の記事で紹介した貨車である。ホッパの裏には ”かすがい” があるがそれが何の脈絡もないところに付いている。このかすがいはホッパの滑り板を撓ませないように、骨を支えているのだ。骨としてアングルを斜めに切ってハンダ付けした。 
 本物は鋳鋼でできた丸みを帯びた部品で出来ているが、そこまでは凝らないことにした。

 HOとは異なり、相手の板が厚いので炭素棒で付けた。狭いところに手が4本要るような面倒なハンダ付けだ。ハンダを余分に塗っておいて炭素棒で融かして固定する。汚いのはそのせいである。さっとキサゲで仕上げれば、全く問題ない。下側だから、そのまま塗ったとしても誰も気が付かないだろう。当鉄道では横から見えるものしか付けない。 

brake arm 貨車はシルエットが大切である。横から見たときに透けて見える部分に何らかの造作が見えるだけで、俄然実感が増す。正確である必要はない。それらしく影になって見えるだけで良いのだ。
 ブレーキ・アームとその支え板も、それらしく作ったが、覗き込むと正確には作っていないのが分かるかもしれない。それで良いのだ。ここに何もないと、非常に不可思議な感じがする。筆者は実物を見た印象が残っているから、余計に感じるのかもしれない。この斜めの支え板は引張りしか受け持たないので、薄い板である。

2022年12月04日

ニュートン を使う

 測定された値は誰でも認知することができる単位系で発表されるべきである。
「何ニュートンですか?」との質問には、「ニュートンはわかりません。」という答であって、愕然とした。

 世の中がcgs単位系からMKS単位系に切り替わったのは一体何十年前だろうか。最近は車のタイヤの空気を補充に行っても、パスカルを理解しないと入れられない。

 1 Nの大きさを知るのは物理教育の大事な局面だ。小さなリンゴを探す。100 gほどの小粒を紐で吊り、その紐を滑車で90度曲げて横から引く。これが1 Nだ。滑車を使わないと縦方向の力で、「質量」の概念から逃げ切れない。横に引けば、「力」であることが誰でも分かる。
 100 gのリンゴはあまりないので、ミカンで良い。ニュートンがリンゴが落ちるのを見てニュートン力学を構築したという故事に絡めているだけのことで、リンゴを題材にしたのには大した意味はない。

 現在、ニュートンを理解しない人は、すでに現役の世代にはいないはずである。”グラム重” を使っているのは、定年退職者以上の世代であろう。これでは消え去っていく老人のお遊びで終わってしまう。我々は次の世代のために、基礎を作っておかねばならない。そのためには、測定に対して正しい理解を持つことが不可欠である。

 前々回紹介したような怪しいグラフを見ると、測定について理解していない人は何か意味があるかのように取ってしまうかもしれないが、そこには何もない。鉄道模型誌にも正しい物理的理解を助ける記事が必要である。1年ほど前に載った牽引力を調べたという表も意味不明であった。
 
 雑誌には、正しい情報を載せるべきである。能力ある方を査読者にするように強く働きかけるべきである。


2022年12月02日

続々 測定をするということ

 前回のグラフは、いくつか机を並べただけの凸凹のある線路上で採られたものだ。曲線の半径も不明だし、その材質も明らかでない。レイル面が研いであると信じたいが、そうではなかったという情報もある。機関車のタイヤはよく洗ってあるのだろうか。こうなると何をしているのか、本人もわからないだろう。多分、言いたいことは、「張力計を入手したので、テレメータ化しました。」だろう。すなわち、これは測定ではない。牽引力を調べたいなら、平面上で連結器と車止めを張力計で結べばそれで解決だ。効率なら、標準貨車を牽いて斜面を走らせる必要がある。曲線抵抗は別の話題である。

 筆者は小型機の伝達効率を調べる時、サンプルとなる標準列車を用意した。20輌の質量、台車、車輪、潤滑剤は全く同一である。質量はすべて355 gにした。それらを斜面を滑走させて平坦線を転がし、その到達距離がほぼ同じであることも確かめてある。

 均一な斜面で引き上げるときの張力を測定するのだ。目盛りは動かず、一定値を示した。速度も一定値である。このような状況でないと、何の意味もない。効率という概念がわからないまま、「調べた」という記事もどこかで見たような気がする。 

 均一な斜面を作るのは大変であるが、正しい測定値を望むなら、やらざるを得ない。先日OJゲージの方から相談を受けた。アルミアングルで補強して線路を作ったのだが、少し撓むという。見るとまずい設計だ。

反らせない工夫 この図の 水平部分は、ほとんど剛性の増大に寄与していない。どうせなら、平角板を路盤側面に貼るほうが良い。ここで合板を厚くしても、ほとんど意味はない。 
 さらに、ここでアルミ材を使うのは賢明でないことにも気づかねばならない。鋼板は安くて堅いから、それを用いるべきである。アルミはヤング率が鋼の 1/4 ほどしかない。薄い鋼板を横からエポキシ接着剤で直接貼ってしまえば良い。鋼板なら薄くても十分だ。縦の長さの3乗で効く

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