2022年06月

2022年06月30日

高効率ギヤへの換装報告

 頒布した高効率ギヤを取り付けた方々から、次々と報告を戴いている。賛辞を戴くのは嬉しい。
 ここで何度も書いたので、最近は「逆駆動できるギヤ」という表現が減ってきたのはありがたい。

 動画を送って下さった方が多い。良く走るさまを皆さんにも見て戴きたいとのことであったが、動画の形式が異なり、ここではお見せすることができない。Youtube での公開を待とう。 

AT&SF3760 まずは櫻井成道様の作例である。古い United製 のAT&SF4-8-4に組み込んである。モータは以前紹介した12Vで2400 rpm(実測)のΦ22、32 mm長のコアレスモータである。
 単機でも惰力で30 cmほど動くそうである。動きの悪い客車13輌を牽いたので満足している、とある。 

 このモータは大型蒸機には最適であると貫名氏から、お墨付きを戴いている。

 小さなモータを付けて、牽けない、とか登り坂で遅くなる、などという意見もたまに来るが、その他の方は概ね肯定的である。
 高効率であるということは、モータの出力が直接動輪の回転に表れるということである。登り坂では過負荷である。小さなモータでたくさん牽けないのは当然で、実物でできないことを、模型にさせる必要はない。

 今までの模型は低効率の動力伝達装置でモータの出力を大半すりつぶしながら、モータをフル回転し、そのごく一部が連結器から出力されていたに過ぎない。だからDCCの補正効果が顕著であった。
 少し考えて、最適のモータ、最適の負荷(付随車の輪軸の改善)をすれば、素晴らしくよく走る模型になるのである。中学校の理科の時間に戻って考えてみてはいかがだろう。

2022年06月28日

貨車を仕上げる

 自宅地下室の整理をしている。もう無い筈の車輌が見つかる。しかも完成品である。入手したのは、かれこれ30年以上前だ。
 アメリカでの友人なのだが、あまり賢明とは思えない男がいた。その男 Frank が、固定資産税の納付の時期になるとやって来て、
「Hey Tad,  頼みがある。これらの貨車を買ってくれないか。」
と言う。理由を聞くと、
「税金を払えないと、家から追い出されてしまう。頼むよ。」
 当時の相場ではカツミ-安達製のホッパ車とかゴンドラは、1輌40ドル近辺だった。それを20ドルで良いと言う。数輌買ってしまう。小切手を渡すと、喜んで帰って行く。貨車は、元箱入りの新品同様のもあれば、多少擦り切れているのもある。そんなことは、どうでも良い。こちらとしては、安達氏から譲り受けたブラス板を組む見本として使うのだ。
 毎年、彼は売りに来る。一体どれくらい持っていたのかは知らないが、120ドルほどの税金を払えないのも不可思議な話だ。

 そういうわけで、やってきた貨車は、用が済むと片付けられてしまった。安く買ったものは、記憶に留まりにくいということもあり、その存在は忘れ去られてしまったようだ。

 30年ぶりに取り出して、台車と連結器とを取り替える。多少のディーテイルも付けて完成だ。洗って、天気の良い日に塗装する。

 すでに10輛以上が出来たが、すでに博物館のヤードには300輌載っていて、満杯である。ガラスのショウケースの中に線路を敷いて、並べた。
 これ以上見つかると、まずい。 

2022年06月26日

ガスの充填

gas torch ガスバーナは各種持っている。小型のはこれである。半分壊れているが、手直しして使っている。いずれ修理するが、このままでも使えないことはない。自動着火なので便利である。



gas refill (1) やや中型のはこれである。45年ほど前、時計部品屋で買ったロウ付け用のものでボンベはナイロン製である。空になると充填に行った。裏でなにかやっていた。覗くとLPGボンベをひっくり返してガスの液体を入れている。その充填ホースを買えばできるので、取り寄せてもらった。以来40年近く使っている。

gas refill (4) 庭のデッキの上にあるバーベキュウ・セットの熱源はLPGである。35年前、アメリカで定価60ドル位だったものを夏の終わりに29ドルで買ったものだ。雨ざらしなので徐々に傷んできた。下半分を友人の鉄工所でステンレスで作り直してもらったものだ。豪勢である。ガスバーナ部分は消耗品なので何度も取り替えている。レギュレータも更新した。ボンベは 5 kg入のを買った。

gas refill (2) ボンベのネジは左ネジで、奥まったところにあるから、この工具Crow Footを使うと廻し易い。昔はネジが日米共通だったが、最近はアメリカが規格を変えたので、直輸入品は使えなくなったようだ。 



 5 kgのボンベをひっくり返して、液体部分を出す。コツとしては、充填元のボンベの温度は高い方が良く、小さいボンベは冷蔵庫で冷しておくことである。こうすれば、蒸気圧の差で、2〜3秒で充填される

gas refill (3) この写真では指一本で押さえているが、実際には両手で押し付けないとガスが漏れて撒き散らされる。この作業は風のある時に外でやるべきだ。 

2022年06月24日

続々 8軸ディーゼル電気機関車を作る

 4軸台車は、実物の保線屋からは嫌われていた。軸距離が長く、横圧でポイントを壊すのだそうだ。軸重は30トンもあるので、破壊力はあるだろう。

 台車は必要数以上に用意した。Bill Melis の型を持っている人が居るので、それから作ったものもあるし、KTM製をアメリカで買ったものもある。
 細かいパーツは自作の部品をロストワックスで作ったから、問題ない。但し、台車は2種あって、互換性がない。

4-axle trucksknock pins KTM製は台車ボルスタの鋳物が薄くて、弱そうだ。Billの方はかなり分厚い材料を使っているが、1本なので、台車枠がガタつくおそれがある。ガタをなくすには、このようにピンを植え込んでハンダ付けしておく。ネジ一本で完璧な組立てが可能である。ピンが長いと組立てに手間がかかるので、太さくらいの飛び出しで十分だ。先は角を落としておくと、組立てが容易だ。

2022年06月22日

続 8軸ディーゼル電気機関車を作る

 相手が大きく、厚い板の場合、加熱しても熱はどんどん逃げていく。すなわち、炎の当たっているところだけが熱くなる。
 これを利用するわけだから、付けるものの表面積はある程度大きく、比較的薄くて温度の上がるものが良い。 

unnamed この屋根上のエアコンユニットは薄いロストワックス部品で、中には金網がある。金網は先に銀ハンダで付けておけばそう簡単には外れない。


 屋根に載せて、塩化亜鉛飽和水溶液を塗って馴染ませる。押さえを効かせて、スズ63%のハンダの小片を置く。小さな炎を当てると、塩化亜鉛水溶液は泡立つこともなく、ハンダが融けて隙間に吸い込まれる。加熱をやめればその瞬間に固まる。反対側も同様にすれば良い。全接触面にハンダが付いているから、剥がれることはない。この写真ではキャブを仮に置いただけで、見える隙間が不均等なのはご容赦願いたい。

 この方法は、祖父江氏のテクニックである。1番ゲージのドイツ型蒸気機関車のキャブ前方についている長いひさしを付ける方法だ。狭く、板が厚いので裏からのコテによる伝熱は難しい。ひさしにハンダを塗って、キャブ前面に垂直に立てて保持し、細いガスバーナで加熱する。一瞬で完璧に付いた。接着面がヤスリ仕上げしてあるので、接合距離が一定になり、ハンダが最高の強度を発揮する。

 要するに、ハンダ付けする面はヤスリで平面を出し、密着させることだ。その時、油目のヤスリではなく、並目のヤスリで多少ざらつかせることが、隙間の管理上望ましいだろう。

  このテクニックは大型模型には使えるが、小さな模型では板が薄すぎて、反りくり返る可能性があるからやめたほうが良い。

2022年06月20日

8軸ディーゼル電気機関車を作る

 このブログを始めた頃は、ブログ全体を表題の記事で埋め尽くす予定であった。ところが他にやることが増え過ぎて、チャンスが巡って来なかった。
 最近、自宅地下室の整理を始めたので、次から次へといろいろなものが発見される。本人は何の部品か、よくわかっているが、他の人は単なるゴミだと思って捨ててしまう可能性が高い。そういうものは、ある程度の道筋を付けておくべきだと考えた。

soldering DDA40X スクラッチから作っているものは、部品をきちんと付け始めた。ロストワックスの部品は1 mm厚のボディに全面的に密着させてハンダ付けするのだ。
 ボディの表面の薄い酸化皮膜を取り、ロストワックス鋳物の裏をよくヤスって平面性を確保する。中央の一点を押さえて完全に密着することを確認する。塩化亜鉛飽和溶液を塗って、例の押さえジグで押し付ける。

 細いガスバーナで鋳物を加熱し、スズ63%のハンダ粒を融かす。一瞬で流れて沁み込む。ガスの火を離せば瞬時に固まる。本当は酸素アセチレン炎を使いたい。炎がとても小さいからだ。ブタンでは炎が大きく、他のものを融かしそうになるから注意が必要だ。加熱の必要のない部分は断熱を施す必要がある。

 63%のハンダは50%のハンダに計算量のスズを足したもので、ダンボールの溝に流し込んで作った。

 63%のハンダを使ったことがない人は、流れて沁み込む様子を見ると、きっと興奮するだろう。一瞬でハンダ付けが終了する。しかも全面ハンダ付けである。板を貼り合わせるときも、気持ちが良い。もちろん、タガネで傷を付けておくことを忘れないようにする。

2022年06月18日

Double Diesels 3

DDA40X's 左から、カツミの完成品DDA40X、45年ほど前にスクラッチから作ったもの2輌、その後もう1輌作っているものである。 時系列で行くと、カツミの製品より、このスクラッチの方が10年ほど早い。
 50年前にBill Melisが作った時点では、この機種が製品化されるとは思っていなかった。筆者もそう思ったので、一生懸命作ったわけである。台車はあと1組あるから、増備はできる。いずれ作ってみたい。

 盛り上がったエンジンフッドは、フライスで高さ調整した平角棒を用いて嵩上げしている。フラックスが洗い落とせるように、水の出入りする隙間を残している。ブラスの板はアメリカで入手したものを用いているので、硬く、快削である。色は黄色い。時間が経つと緑がかってくる。

 スクラッチからではあるが、Bill Melis の工房で、型を借りて作っているから、かなりの省力化だ。例によって、ハンダはたっぷりと付けてある。フラックスを塗った平編み線を当てて、炭素棒で加熱すると、余分のハンダはきれいに取れる。 

 ここで紹介している機関車群は、長い台枠が折れないように、補強を入れてある。非常に重い。台車、モータなしでも、2 kg以上ある。ブラスの板が厚いからだ。

 DDA40Xは、総計6輌ある。

2022年06月16日

Double Diesels 2

doublee diesels (1) これらはDD35Aである。先回同様、左からカツミ製、スクラッチビルトの機関車、同新造車である。

 キャブ(運転室)がないDD35は、運用上面倒な点があった。そこでキャブ付きを作ると便利だと、作ったのがこれだ。DD35AにはAという文字がついているが、DD35にはBを付けない。DD35Bと書いてあるのを散見するが、あり得ない機種名である。これはよくある間違いだ。

 UPがDD35Aの発注時に「DD35と同じ長さに作れ」という指示を出したそうなので、EMDはキャブの長さ分だけ、ラジエータ部分を切り詰めることにした。とは言えども面積は確保せねばならないから、縦に伸ばし、さらに斜めにして面積を稼いだ。このラジエータを斜面にする発想は、のちのSD45に生きている。力強さを感じさせるデザインだ。 

 この高いラジエータ部分を、昔どうやって作ったのか、覚えがない。今回は材料がふんだんにあるから、5 mm角棒を数本寝かせて嵩上げし、斜めの板を張ることにした。もちろんフライスで、高さは調節した。斜面のラジエータ・グリルは用意できている。

 カツミ製は繊細な感じがするが、衝突時に生き残れるかは、少々怪しい。先頭部には置かないほうが良さそうだ。

 DD35Aは、4輌ある。1輌は、Ping Pong table(卓球台)と呼ばれる列車無線のアンテナを付けることにした。 

2022年06月14日

Double Diesels

 最近はHOギヤの話ばかりで、模型工作を、少しくらいはしているのか?という質問があった。
 
 答は、「している」である。自宅の地下室の整理で見つかった古い 8軸 diesel electric の機関車群を一気に完成に持ち込むつもりだ。すべてを動力化する必要もなさそうだが、できる限り装着するつもりだ。

doublee diesels (3) DD35のDDは、Double Dieselの略語だ。2500馬力のエンジンを、2台積んだブースタ機関車で、キャブ(運転台)はない。この原型のGP35をキャブ・ユニットとして前後に置き、DD35を2輌、間に挟んだ合計15000馬力の4重連機関車群であった。
 当時、筆者はUP沿線に住んでいたので、その必要性はよく分かった。出力が1750馬力のGP9を9輛もつないだ編成をよく見た。中には調子の悪いのも入っているから、蒸気機関車のような黒煙を出して、悲惨な状態であった。

 この写真の左はカツミ製の完成品(1987年)、中は45年前にスクラッチから作ったもの、右は最近作り始めたものである。厚い板から作っているので、とても重い。ハンダはたっぷり付けてあるから、多少のことでは壊れない。ウェイト無しで、3 kg弱もある。妻板のグラブアイアン(ハシゴを形成するつかみ棒)は無いものが多いことがわかった。ヘッドライトの位置も変化が多い(そもそもヘッドライトは必要性があるのだろうか)。

 上廻りも 1 mm以上の厚さの板から作っている。ロストワックスパーツは、Bill Melis氏 のところで作ったものである。一部は原型を作って、Dennisのところで作った。
 炭素棒がないとハンダ付けができなかったから、重い焼きゴテで付けた部分もある。また、ガスバーナで少し焙って、100 Wのコテで付けたところもある。少し温めて、100℃くらいにしておくだけで、ずいぶんと楽にハンダを沁み込ませることができた。
 DD35は、4輌ある。

2022年06月12日

ポイントマシン

 分岐の電動化で引っ掛かっていた。いわゆるslow-motion型ポイントマシンはたくさんあったが、どれも大きなものである。
 レイアウトの下側に付けると良いのだが、困ったことに裏に太い鉄骨の構造物がある。それを避けるためには面倒なリンクを付けねばならず、構造が複雑になる。長年の保守のことを考えると構造はできる限り、単純明快にしておきたい。

slow motion switch machine 自宅地下室の整理をしていると、様々なものが見つかる。ジャンク屋で買い込んだコアレスモータが数十台出てきた。そのうちの10台はこのEscapのギヤードモータである。意外に細いもので、ギヤ比は 1:30程度であろう。出力軸を廻すと、かろうじてモータが廻り始める。

  この写真で、下の緑の箱がトータスである。一つ20ドル弱であろう。上に載っているのが、エスキャップのギヤードモータである。長さは30 mm程度で、道床の中に収まる。

unnamed この出力軸にバネを付ければ、そのままポイントマシンになる。もちろん直列に1 KΩ程度の抵抗をつなぐ。行き着くところまで廻って、トングレイルを押し付けて止まる。弱い電流が流れているが、モータ部は単なる銅線で、発熱はしない。抵抗に殆どの電圧が掛かるから、安心だ。
 抵抗は微妙に発熱することになるが、触っても全く感じない。動作して、押し付けられて止まったあとの電流は 12 mAだ。もう少し抵抗を増やしても良いと感じる。2 kΩでもまだまだトルクを感じるからだ。

 この種のモータは、防衛産業からはたくさんジャンクとして出てくる。これらは10年ほど前、テキサスのバッタ屋で買ったものだ。しかし今回のウクライナ戦争で、ジャンクの量は激減するだろう。 

2022年06月10日

ロックタイトの劣化の原因

 先日の記事に対するコメントで、劣化の話が出ていた。この件に関しては、いくつか連絡を戴いたが、どれも「◯✕番は固まりやすい」というものであった。その情報を重ねてみても、そこに意味があるとは思えない。実際に起きたことなのだろうが、条件がすべて異なるので、参考にはならない。客観的な情報が必要である。自分が見たものが、世の中の全てではない。

 メーカが公表しているのは、金属との接触を避けるということである。塗布の助けとなるものを使うときに、金属ではなく、プラスティックか木材を用いるべきである。
 筆者は、厚手のポリエチレンフィルムの上に一滴出し、それをつまようじで取って、目的物に塗る。出したものを使い切るようにし、余ったものは捨てる。こうすれば、金属粉の混入は無い。

 光に当てないようにするのも必要なことである。遮光瓶には入っているが、瓶の口の部分は光が通る。

 冷蔵することは良いことだろうが、筆者の場合、室温(エアコンが効いている状態)で20年以上全く問題ない。


2022年06月08日

ギヤボックスの変形?

 ギヤボックス購入者から意外な質問があった。

 ギヤボックスの外形を削る必要があって、水研ぎをした。組立てたら、噛み合わせが渋くなった。

 というものである。これは想定外の操作である。水研ぎをしたとあるが、水研ぎとは何が目的なのかを考えねばならない。耐熱性の低い塗装、素材を研磨するときは、摩擦熱の影響を減らすために水を付ける。もちろん削り粉の始末が楽になる、ということも否定できないが、第一の目的は冷却である。一方、ナイロンは耐熱性のある素材で、摩擦熱程度では何ら問題ない。

 この件の原因であるが、次のようなことであろう。
 ナイロンは水との親和力が大きい。水を含むと内部の結合状態(水素結合)に変化が起きて、塑性変形(クリープ等)が起こりやすい。力を入れて押し付けて削るので、微妙な寸法変化が起こるだろう。それをそのまま乾燥すると軸距離の変化が見られるということであろう。言うまでもないが、組み合わせ面を削ってはいけない。

 削るときは乾燥状態で、とお願いしたい。これはマニュアルに補筆せねばならないだろう。

 その購入者からは、削らなくてもよい、薄いギヤボックスの製作を迫られている。それは、色々な点で難しい。

2022年06月06日

モータの選定

 brass-solder氏のブログが興味深い。列車を牽かせると、「直線は速く、カーブでは減速する」とある。素晴らしい観察である。
 本物と同じように、走行抵抗が変化しているのだ。今までのゴリゴリ走る模型では気づかなかったことであろう。登り下りがあると、もっと楽しい結果が出るだろう。

 モータの出力が、もろに牽引力に表れる。伝達効率が良いからである。低回転では出力の小さなモータなのだろう。低回転でトルクの大きな特性を持つモータを手に入れれば、かなり楽な運転ができると思う。経験者に、どんなモータとの組合わせが良かったのか、お聞きしている。結果は発表したい。

 無負荷では速過ぎると感じるだろうが、実物でも単機でフルスロットルというのは全く意味がないことである。機関車は負荷を与えた状態での挙動が全てである。今までのHOの運転ではこのような状態を考慮することがなかったのだろう。

 重りを積むとどうなるのだろう。出力の小さなモータを搭載した場合は、軸受での摩擦で、出力がかなり減殺されてしまう。小さなモータなら、軽い機関車にせねばならない。本物と同じである。
 I田氏の動画では、軽い機関車で重い列車を牽き出している。こういう運転を楽しみたい。

 当ブログで最初から言っていることだが、牽かれる車輌の責任である。軽く動く車輌を用意し、高効率の機関車をつなぐとどうなるかということを実験せねばならない。「重く、効率の悪い機関車で、摩擦の大きな車輌をゴリゴリ牽く」という状態から脱すると、鉄道模型って、こんなに楽しかったのだろうかという気がするはずだ。


 当博物館では、いつもそれを考えて運転している。停止から、じわっと120輛編成を牽き出して、1.56%の坂を登らせるのだ。下手をするとスリップするから、スロットルは細心の注意で操作する。サウンドがついているから、スリップすると楽しいのではあるが。

 しばらく前、所属クラブで伊藤剛氏を偲んで、OゲージのOld Black Joe競作をした。その時、モータ、チェイン、スプロケット、ギヤボックス、車輪は全て筆者の提供である。その時の感想は、皆さん同じで、
「こんなによく走る機関車は初めてだ。吊掛け式の1段歯車駆動のような感じだ。モータの出力が、直接連結器に表れる。」
と言った。今回もそれと同じで、モータの出力が小さければ、それなりの出力である。牽かれるものを整備すると、実感的な運転ができるはずだ。しかし、個別駆動の吊掛け式より、牽引力がはるかに優ることまでは気付いた人は少ない。


2022年06月04日

六角ジョイントの効果

 I田氏が紹介している動画が興味深い。ゴム・ジョイントを調整しても、あまりうまくいかなかったが、六角ジョイントに交換したら、極めて調子が良くなった例を示している。

 今野氏も述べているように、低速から引っ掛かりなく、徐々に加速させたいという願望は誰でも持っている。しかし現実には、それは難しい。ゴム・ジョイントには、回転を妨げる様々な要因があるのだ。低速回転時には、出力の大半がそれに費やされ、動輪を回転させるのには向かわない。しかし、ある程度の速度になるとモータの出力は大きくなり、損失は相対的に小さくなるので、気が付かなくなる。
 じわっと走り出させるには、ゴム・ジョイント以外の継手が必要なのだ。

 ここにはユニヴァーサル・ジョイントを付けると良いのだが、場所がない。また、位相が正しいものは手に入りにくい。六角ジョイントなら、大抵の場合、問題なく付けられる。

 六角ジョイントを付けた人は、みな、その劇的な変化に驚嘆する。今まで何をやっていたのか!?と感じるそうだ。  

 
 しばらく品切れであった六角ジョイントが入荷した。全長10 mm と 7 mmがある。狭いところには短いほうが有利なのは当然である。
 希望者はコメントに<私信>として、本文中にメイルアドレスを書かれたい。
 ギヤボックスは、入荷までしばらくお待ち戴きたい。 

2022年06月02日

イコライザ付き台車

 最近、電車の台車の図面を熱心に見ている。戦前の台車は興味深い。イコライザがついているものに興味がある。

 イコライザの形は工夫されている。イコライザが軸箱に当たるところには、軸箱との相互の位置がズレないように、凸凹があって噛み合うようになっている。すなわちイコライザが折れてしまわない限り、軸は平行に保たれる。軸箱守との隙間が多少あっても、構わないということだ。ガタがあって操舵台車のようになるという珍説を聞いたことがあるが、そういうことは起こり得ない。

KS31 (1)KS31 (2) この台車のイコライザは2枚合わせである。よく見ると奥の方が低い。板バネを避けるようになっているのだ。真横から見ると確かに低くなっているが、よほど注意深く見ない限り、低いことには気付かないだろう。

 模型の場合は外の一枚だけという場合が多い。HO以下では、動くのはまず見ない。 

 本物の台車の保守は、イコライザだけを見ていれば良かったそうで、仕事は楽であったという。ヒビが入るところはイコライザだけだったからだ。 

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