2022年05月

2022年05月31日

六角ジョイントの他の例

 六角ジョイントは軸のズレを吸収できる。この図の緑の六角ジョイントは、その機能を利用している。

 電鉄会社のOBは、「これはWN継手みたいなもんだな」と言った。WN継手は、角を丸めた歯車を内歯歯車の円筒の中に収めたもので、多少のズレを吸収できる。わずかなガタがあるので、惰力で走ると妙な音がする可能性があるそうだ。
 六角ジョイントは樹脂でできていて、摩擦も少なく、音が事実上しない。 

 この六角ジョイントの原型はKTMにいた高橋 淑氏がイギリスの模型雑誌を見て導入したそうである。1960年代のことだ。すでに半世紀を過ぎ、どこからも特許侵害とも言われていないので、問題はない。1960年代当時も、WNの特許取得から30年以上も経っている。

Microcast Mizuno (3)Microcast Mizuno (4)Microcast Mizuno (1)Microcast Mizuno (2)




 過去の日本製のHOにもこれが見られる。小栗彰夫氏の指摘によると、50年ほど前にマイクロキャスト水野が発売していたディーゼル機関車にも付いている。この下廻りは、輸出用のディーゼル電気機関車の下廻りを流用している。ということは同様のものが輸出されていたかもしれない。
 それがどうして受け継がれなかったのか、その理由が知りたい。B-B台車であれば、反トルクは、自然に解決する。

 しかし、蒸気機関車の場合は、反トルク承けが無いと不具合を生じる。どうして誰も、それに向かって解決を図らなかったのか、を考えねばならない。走りが悪いということにすら気付いていなかったのではないか、と最近の投稿を見て思う。

2022年05月29日

ロックタイトを外す

 友人から、SOSが入った。ロックタイトで付けたときに、部品を入れ忘れたらしい。どうやっても取れそうもない。困り果てて電話してきた。

「物理的に外すのは無理だよ。」と伝えると、泣きそうであった。大事な部品を壊さざるを得ないと、考えたようだ。

「ハンダゴテで熱くしてみて。」と伝えると、半信半疑だった。車軸の他の端にはPOMで出来た絶縁が入っている。それが融けるのではないか、と心配した。Low-Dの1軸を捨てることになるけど、大事な台車を壊すよりはマシだ、と温めたそうだ。

 すぐに電話が入って、「取れました!」と叫んだ。絶縁も生き残ったそうである。しかし、動力車に使うのは避けて、トレーラに使うと言う。
 その返事を聞いて、筆者も試してみた。POMの嵌っている絶縁の方を、水に浸けて固定した。そして、大きなコテを歯車に当てると、2分くらいで緩んだ。
 水に浸かっている限り、100 ℃を超えることは無い。すなわち安心である。Low-Dの車軸は、ステンレス製であって、熱伝導率が小さいということも、プラスに作用した。


LOCTITE ロックタイトは、250 ℃に保つと取れる、と説明書にはあったように覚えている。買ったのは20年ほど前で、説明書は紛失した。600番台の強力型を買ってしまった。模型用なら200番台で十分だ。大きな瓶だが、中身はちょっぴりだ。使った量は数 mLだろう。何年経っても何ら問題なく使えるというのは、素晴らしい。 

2022年05月27日

蒸気機関車の吊掛け駆動

 本来の吊掛け駆動(平行にモータ軸を搭載)を蒸気機関車に応用するのは、極めて困難だ。直角駆動にせざるを得ない。そうすると、モータはかなり後ろに付き、モータの質量はほとんど台枠の上に載る。こうなると、完全浮動のトルクアーム方式とほとんど変わらないが、分解時にギヤボックスはモータと共に外さねばならない。そういう点では分解の楽なトルクアーム方式が気楽だ。モータの差し替えが自由だからだ。ちなみに、トルクチューブであればもっと楽に外せる。

 また、ギヤボックスをモータと完全に一体にするのは、難しい点が多い。ギヤ軸、モータ軸の同心性が確保されるか、が問題である。長い軸を持つモータが手に入れば良いが、そうでなければ諦めるほうが良い。
 ある人が、
「ギヤにモータ軸の先を入れて固着し、ギヤの反対側に別の軸を挿してはどうか?」
と聞いてきたが、お答えしなかった。失敗する確率が高い。このギヤは極めて高精度である。微妙な心振れが大きな不具合を生じる可能性がある。ギヤボックスは浮動させるのがベストだ。すなわち、トルクアームを使うのが、本来の使い方である。
 どうしても吊掛け型にするときは、貫名氏のような方法で、モータに固着し、間を六角ジョイントで結ぶことだ。

 六角ジョイントの効果が想像できない人が多いらしい。すなわち、ゴムジョイントを用いる方法でも十分に良いと思っているのである。六角ジョイントを用いた駆動方式の動画をご覧になるべきだ。この例では軸がかなりの角度で向き合っており、ゴムジョイントでは伝達不可能な条件だが、それでもこんなに軽く動く。お勧めはしないが、可能な範囲が広いということはおわかりだろう。

 先日、新ギヤシステムの実践者が来訪されたので、感想を伺った。はじめはギヤボックスだけを取り替えて走らせて、かなり改善されたと思っていたが、六角ジョイントに付け替えたところ、劇的な変化があったそうである。多少曲がっていても、 引っ掛かることが全く無くなり、電流値が激減したとおっしゃる。


2022年05月25日

続 吊掛け駆動

 吊掛けの目的は、モータの重さの半減にある。すなわち、車軸の横にモータが来ることになっていて、半分を台枠に持たせている

 35年ほど昔、吊掛け式と称する模型電気機関車を、見せられた。それには、各モータが動軸の上にあった。すなわち、モータの全重量が車軸に掛かる。これでは吊掛け駆動ではない。軸距離が小さく、モータが入らないから、そうしたのだ。本物は歯車が無い機関車として有名であった。界磁が、線路に近いところにあって、犬釘、継目板などを吸着してしまい、事故を起こしがちであった。伊藤 剛氏の解説によると、保線の線路工夫が置いたままにしたスパナを巻き込んでしまったそうだ。
 12軸の動輪軸に12個のモータが付いていた。当時は模型用として、そんなに小さなモータが手に入らなかったので、上に積んで、スパーギヤ駆動にしたのだ。これはまずい。

 しばらく前の話題のGG1も同時に見たが、一つの軸の真上に2つのモータが直接載っていた(もちろんカルダンドライヴではない)。
 どちらも吊掛け式と謳っていたが、全くのおもちゃ的構造であって、吊掛け式の概念からは、遠く外れている。モータの質量が全て車軸の上に載っているというのは、情けない間違いだ。どちらも、本物の知識を十分に持っていると自慢する方の模型だったので、言うべき言葉がなかった。小さな模型だから壊れないが、大きな本物であれば、たちまち軸が折れてしまうだろう。

 要するに、見かけだけを表す模型でも良いのだが、本物の構造を良く知った上で、「模型的簡略法をやってみました」と言うのは、良いだろう。しかし「本物の通り」のわけがない。 

2022年05月23日

吊掛け駆動

 いわゆる吊掛け式とは、一体何だろう。
 元々は、電気機関車の台車内の構造を表す言葉である。重いモータが車軸に付いていると、線路の不整でモータが上下に揺さぶられて、壊れやすいし、線路も傷む。そこで、モータ軸を車軸と近い高さにし、モータの質量の半分を台枠に結び付ける。そうすると、線路からの衝撃はかなり減り、不都合なことが減る。車軸は片足持ち上がる可能性もあるので、固定は一点である。

nose suspension その台枠に結びつけるモータの突出部分を英語で "nose"と言う。飛び出しているからだ。英語で吊掛け式は、nose suspension drive という。趣味人でこの英語表現を知っている人には会ったことがなかったが、最近電鉄会社OBと話したところ、この表現が出てきて驚いた。会社によっては、ノーズという言葉を社内で使っていたようだ。

 この部分はモータの質量を承けるだけではなく、反トルクをも承けている。”吊掛け式”と称する機関車や電車の模型を見せてもらうと、その部分が怪しいものをよく見る。ノーズ部分をきちんと作ったものを見ることは少ない。起動、停止によって、モータがガバガバと上下するものがあるが、それでは全くダメである。反トルク承けが付いていないものは、うまく走るはずがないのだ。

 蒸気機関車の模型では、直角伝動だから、モータはかなり後ろに来る。すなわち、モータの重さは、動軸にほとんど掛からない。しかし、そのノーズは先述の1点支持になるべきなのだが、このあたりの構造が怪しい模型がとても多いと感じている。 

2022年05月21日

改装された方々の感想

 貫名氏は、はじめ少数の機関車改装を考えていらしたようだ。試しにやってみたら、意外な結果だったようで、極めて調子が良かった。メイルで、その時の感想を知らせてくれた。
素晴らしい走りです。これまで動力装置を色々と試してきましたが、これ以上のものはありません。
 その後ギヤセットをたくさん購入して、次々に改装されている。
異次元の走行が手に入るというのが、モチベーションになります。
とあった。お気に召したようで嬉しい。

 他の方からも完成させて喜びのメイルを受け取っている。その方はFujiyama製の4-8-4に装着されたようだ。
あまりのギヤの滑らかさに感動いたしました。手持ちのコアレスモータとの組合せでは、アナログの電流計がほとんど振れないほどです。」 
とある。おそらく今までは消費される電流の大半が、ゴムジョイントの前後で浪費されていたのである。トルクアームの効果は、歴然たるものがある。

 このような感想も戴いている。
手押しで動く機関車は、50年近い鉄道模型歴でも初の経験で、空走させたり、発電によって前照灯を点灯させたり、といろいろ楽しんでいます。

 外観だけで満足することなく、走りの改善をすることがいかに大切であるのが、分かったという意見が多い。それこそが、筆者の言いたいことである。このブログの副タイトルそのままである。
  低摩擦、高効率の鉄道模型を追求する



2022年05月19日

続 貫名氏の換装手順

 貫名氏はたくさんの改装予定機関車をお持ちである。だから、改装を手際よく行えるよう、下準備に時間を掛けている。

 ギヤを車軸の中心に留めるのは、簡単そうに見えて、意外と難しい。ロックタイトの接着力は非常に強く、一度固着したら、まず外せない。エポキシより強い。剥がすのは難しい。250 ℃ほどに加熱すると緩むが、常温ではまず外せない。ボールベアリングの中に流れ込んだり、モータ軸に入ると、修復不能である。
 そういう点でも、位置決めジグは作っておく価値がある。筆者もいくつか持っている。また、ウォームを軸にネジ留めするものだと思っている人もいるが、それは、偏心して騒音の元であるし、効率はガタ落ちである。 

 余分の拭き取りは、極めて大切である。綿棒を斜めに削いだものを作っておき、それにわずかの溶剤を含ませて取ると良い。綿棒にはかなりの種類があり、削ぐと分解してばらばらになるものがあるから、注意が必要である。

 抜き工具は軟らかい材質でなければならない。硬い鋼製のポンチでは相手が参ってしまう。傷がつくと同時に膨らんでしまったり、斜めに凹んだりして、組んでもまっ直ぐに入らない。このあたりのことは機械屋さんならば常識なのだが、模型人にはほとんど浸透していない。以前コンコン改軌という話題を出したが、あまりピンと来ない人もいるようだ。

 ボールベアリングの下には油膜があるべきだということも、ほとんど誰も知らない。こういうことは模型雑誌で周知すべきことなのだが、記事で読んだ覚えがない。
 今回希望者に配布したΦ2の精密シャフトにミシン油を塗って、ボールベアリングを滑り込ませた感想を戴いている。
「本当にぬるぬると入りました。初めての感触で、病みつきになります!」
とあった。このようなシャフトを量産できる技術力のある国に生まれたことを、感謝したい。製造元から買うので、価格は信じられない位、お値打ちだ。ただ、最低ロットが大きい。

2022年05月17日

貫名氏の換装手順

 早くからの3条ウォームギヤ装着者である貫名氏は、やや簡易な換装法を紹介している。ご許可を得たので、紹介したい。戴いた原稿に少々加筆している。

NK1 動輪の非絶縁側の中心部に、軸と輪心をまたぐケガキ線を入れる。これは復元時に位相合わせをするガイドになるものである。



NK 2 非絶縁側を外す。これはプレスで押し抜く。決して叩いてはいけない。片方の軸箱を外し、ウォームホィールを露出させる。これも押し抜く。プレスがないときには、ボール盤に短い押し棒を付けて押す。支えは頑丈なものを用意する。押し棒は軟らかいブラスあるいは銅の棒を用いること(この頑丈な鋼製抜き台は、今野氏に頒布して戴いている)。

NK 3NK4 天賞堂、鉄道模型社の製品は、軸にローレット(ウォームホィールと動輪を固定するための凹凸が、軸の円周上にある)が3箇所切ってあるので、片側から、2箇所を旋盤に銜えて削り取る。太さを調べながら、細かいヤスリを当てて削り取り、ボールベアリングがぎりぎり通る太さにする。軸端が段付きの場合は中央の1箇所を削るだけで済む(この写真の韓国製模型の場合は、中央1箇所だけである)。

Jig 新ウォームホィールを所定の位置で留めるためのU字型ジグを用意する。これはボールベアリングを逃げた内径に作るべきである。ボールベアリングを嵌めてから、ロックタイトを塗り、ウォームホィールを滑り込ませる。

 はみ出したロックタイトを少量の溶剤を付けた綿棒で拭き取り、ミシン油を塗ってボールベアリングをもう一つ滑り込ませる。先に嵌めたボールベアリングの軸との接触面にも、ミシン油を沁み込ませる。ボールベアリングは油膜で浮いた状態が正しい

NK6NK5 非絶縁動輪を軽く嵌めて、付けた傷を基に、位相を合わせる。ロックタイトを塗って、プレスで締める。余分のロックタイトを拭き取る。動輪を締めるときに、バックゲージが一定になるようなジグ(上のジグの厚いものであり、ギヤを逃げるように大きな切り欠きが必要)を作っておくと、作業は楽になる。

NK7 少量のモリブデン・グリースを全周に薄く塗り、ウォーム軸の嵌まったギヤボックスをかぶせてから、底蓋を閉める。これで完成だ。この機関車は 2-10-4 であり、火室は長大である。この写真から判断すると吊掛け式ではあるが、モータの重さはほとんどギヤボックスには掛からないから、トルクアーム式に近い。このモータは、例の低速モータである。

 この方法は、位相を決める操作が省略できるから、非常に簡易である。ただし、プレス、あるいはそれに代わるボール盤などが必要だ。または口金が平行に締まる万力でも良いが、その万力の口金は研磨されていることが不可欠だ。


2022年05月15日

不可欠なこと

 要点は次の3点である。

反トルク承けを付けていない機関車は、まともには機能しない。モータ出力の一部あるいは大半が、モータ軸受部のスラストの摩擦で消費される。また、ゴムジョイントの内部の損失に費やされる。 

・反トルク承けが付けば、ギヤボックスは完全に浮動させることができる。モータ軸との動力伝達は、何らかの自在継手によらねばならない。スペイスがあれば、伸縮できるユニヴァーサル・ジョイントで良いが、狭いところに入れるには、六角ジョイントが良い。

・普通のギヤボックスのウォームの前後に発生するスラストを確実に処理する事が必要である。これさえできれば効率はかなり上がるのだが、実際にはそのスペイスがない。今回頒布のギヤボックスはコンパクトにまとまり、組立ては容易である。
「押して動く」を喧伝するのは結構だが、その前にこのギヤセットの伝達効率の高さに気付くべきである。無音の動力伝達が可能である。ギヤ音のする蒸気機関車が存在するわけがない。 

 効率の良いギヤセットだから、押して動くのである。押して動かすのが主目的ではない。正しい歯型、適正な研磨、正しい潤滑、正確なギヤボックス内での組み合わせ、がないと、このような性能は得られない。  


 たくさんの問い合わせを戴いているが、動輪の嵌め外し、位相合わせの道具、またはテクニックをお持ちでない方には、直ちには薦められない。友人に可能な方がいれば、依頼すべきであるし、ご自分でやろうとすると、それなりの投資が必要である。プレスを使わないと失敗する
 換装マニュアルを配布している。ご希望の方はコメントの本文に連絡先を書いて投稿されたい。

 一番良いのは、腕に自信のある方が適価で換装を請け負うことである。決して難しいことではない。次回はその簡易な方法を紹介する。 

2022年05月13日

続々 作用・反作用

吊掛式 吊掛け式は、このようなものである。モータの反トルクは内部で解決し、外には現れて来ない。すなわち、この方式では、吊掛けアームはモータのトルクでねじれない程度の剛性を持たねばならない。モータのトルクは知れているから、適度な厚さがあれば十分だが、減速後のトルクは大きいので、その反トルクで長手方向が折れない程度の強度は必要だ

 さて、動輪の回転による反トルクはどこに来るだろう。それはこの吊掛けアームの最後端である。主台枠には1点で接するようにするのが理想的だが、実際には難しい。ゴムブッシュなどで緩やかに留めると、動輪が片足持ち上げたときに、不都合がない。

 このとき、モータ軸とウォームギヤ軸をゴムジョイントで結ぶ人が多い。このとき、全く問題が起こらないのは、極めて稀なことらしい。ゴムへの差し込み具合とか、わずかな軸ズレ、ゴムチューブ自身の曲がり等があるから、調整は極めて難しく、静かに走らせることはとても難しい。

 だからこそ、その全てを一挙に解決する六角ジョイントが有効なのだ。

 実例を見てみよう。I 田氏の作例を参考にさせて戴く許可を得た。
P1100544 この例は、理屈通り剛性を高めた構造である。途中は六角ジョイントで結んでいる。このジョイントに出会う前は、かなり調整に苦労されたようだ。このように述べられて、性能向上を実感されている。

 シャフトの伸直性確保・偏心の解消など、ゴムジョイントの調整に苦労したD52の換装とは違って、モーターを付けたままでの逆駆動も簡単に実現。

 
この図も1976年のNMRAの会報から切り出して編集している。

2022年05月11日

続 作用・反作用

 反作用は、何らかの方法で承けて、モータ軸にスラストが掛からないようにせねばならない。
torque arm そこで登場するのは、この古典的なトルクアームである。この機関車は1964年頃、カツミからアメリカに輸出された。実に正しい設計で恐れ入った。トルクによるギヤボックスの倒れを確実に防いでいる。これは力の強いOゲージの例なので、このような構造を持たせざるを得ないが、HOゲージ以下なら簡略構造で十分だ。それが先回の井上氏の工夫である。

 板バネは、座屈することが無い程度の厚みを持てば良い。短ければ t 0.25で良いだろう。これは裏側なので短くできるが、上に付けるときは長くなるので、もう少し厚くするべきだろう。

torque arm 板は t 0.5以上を使うべきだろう。台枠との結合部は動けるようにしておかないと、ギヤボックスが上下に動きにくい。井上氏の方法が賢いのは、トルクアームに弾力のある材料を用いることにより、その取り付け部を固く締めても問題が起こらないところだ。


2022年05月09日

作用・反作用

 連休中に届いた3条ウォーム関連の部品をまとめて、注文者に発送した。数が多いので、なかなか大変であった。購入者の方は、部品の不足などがあればお知らせ願いたい。
 マニュアルが未完成であったので、友人に見てもらって書き直し、配信した。写真をたくさん入れたので分かりやすくできたと思う。写真は、I田氏 と brass-solder氏の快諾を得て、貼り付けることが出来た。

井上式トルクアーム その brass-solder氏の写真である。これは井上 豊氏の工夫だ。HOの大きさなら、これで十分である。板の厚さは吟味しなければならない。短いものなら、t 0.25で十分だろうが、長くなると t 0.4は必要だろう。実験によって決められたい。

 トルクアームの効果を再確認する良い機会であるから、解説したい。

reaction ギヤボックスを浮動させ、トルク(回転させる力)以外の出入りがないように作るとどうなるだろう。動輪が廻ると、タイヤはレイルを蹴って前に進もうとするが、反トルクによりギヤボックスは後ろに倒れようとする。昭和20年代から、その反トルクは極めて怪しいゴムチューブで承けられていた。ほとんど何の進歩もなく70年以上経った。最近はゴムの材質が変わったので、良くなったという人がいるが、客観的なデータを取ったという話は聞かない。

 先日も、「ゴムジョイントの調整が難しく、時間がかかって仕方がない」という話を聞いた。しかも逆転させると調子が悪いと言う。
 それはそうだろう。モータというものはスラスト(軸方向の推力)に耐える軸受など持っていないのが普通だ。トルクだけを出力するように設計されている。 
 しかも、ゴムチューブには剪断力まで掛かるようになっている。だから、正直な所、何をしても無駄なのだ。

 この図は1976年のNMRAの会報から切り出したものを、多少改良している。  

2022年05月07日

図書の整理

organizing magazines Tetsudomokeishumi久しぶりにクラブ員に来て戴いて、雑誌の整理をお願いした。TMSは創刊号からすべて揃っている。全部で3セット近くある。第2セットは書庫の中ではあるが、ある程度の整理はできた。第3セットはダンボールの箱の中にある。程度の一番良いものを開架している。バインダに綴じ込んだものを優先して並べた。一時期、合本になったものを並べていたが、それは評判が良くないので書庫に移した。

 60号より前のものは開くと壊れそうで、開架しない。いずれディジタル化して、ディスプレイの上で見ることになりそうだ。原本があるので、博物館内で見るだけなら、著作権法には触れないはずだ。

 鉄ピクは、1割程度の欠品がある。ファンはほとんどある。とれいん誌は、ほぼ揃っている。RM modelsもかなり揃った。Rail誌は90%ある。

 海外の雑誌は Model Railroader, Model Railroad Craftsman, Trainsがかなり揃っている。 Main Line Modelerは全てある。
 その他貴重な資料が揃っているから、早くリストを作って公表せねばならない。ユビキタスのシールを貼って、管理するつもりだ。1枚数円で手に入る、と聞いた。  

2022年05月05日

続 来訪者

 TN氏は3条ウォームの威力を目の当たりにし、かなり衝撃を受けたようだ。彼の素朴な疑問である。

どうして模型メーカはこれを採用しないのだろう。高いものではないし、やろうと思えば採用できるはずだ。押して動けば楽しい。特に蒸気機関車は、ロッドの動きが見えるのだから、やる価値は十分にある。」 

 その通りであるが、やろうとしているようには見えない。最初から諦めているのか、顧客が望んでいないと決めつけているのかはわからない。今回のものはOゲージのディーゼル機関車用を流用しているので、ギヤ比はやや小さい。すなわち、無負荷では6 V付近でその機関車の最高速度に到達するようだ。DCCなら何の問題にもならないが、アナログに固執する人もいる。列車を牽いて負荷の掛かった状態なら12 V近辺で最高速になるそうだ。全く問題ない。

unnamed 知人から興味深い強力モータを提供戴いたので、装着例を作って戴くべく、経験の深い友人にお願いしている。それは、12 Vで2200 rpmだそうだ。Φ22で、32 mm長の両軸である。前後で軸の太さが異なるのは、ロータリィ・エンコーダを取り付けるのであろう。
 HO用としてはかなりの大型で、4-8-4や2-10-4あたりでないと火室には収容できそうもない。マグネットはかなり大きく、ずしりと重い。これを収容できれば、極めて調子の良い強力機関車になるであろう。

 要は注文ロット数である。コアレスモータは300台の注文ができれば、新仕様のものが発注できるはずだ。強磁界で巻数を増やせば、低速モータは可能である。もう少し小さな物を注文すべく、メーカは考えるべきだ。

 また、換装を引受ける工房ができれば良い。筆者はHOを触ったことがないので不可能だが、その道の達人はいらっしゃるだろう。必要部品は供給できる。

 高性能のギヤを付けた機関車の走行は、見ているだけで楽しいのだ。このギヤは、極めて高精度のギヤである。過去の模型用ギヤの水準を遥かに超えていることは、見れば分かるはずだ。
 コアレスモータを逆駆動するのは容易だが、有鉄心モータは難しい。しかし、それをいとも簡単に廻すらしい。伝達効率が良いということは、ここにも現れる。

2022年05月03日

来訪者

 突然K氏から連絡があり、
「貴方の高校時代の後輩のTN氏が『博物館を見たい。』と言っている。今日は都合がつくだろうか。連れて行ってあげたいのだが。」
と問い合わせて来た。
 承諾し、来てもらった。55年ぶりの再会である。彼は筆者のブログを読んでいた。椙山氏の話などを読んで、筆者が誰であるか確信したそうだ。 

 歳はとっても、中身は昔のままである。懐かしく語り合った。彼の感想である。
1.路盤が高いのは良い。今までどのレイアウトを見ても、線路面が低く、かがんで見なければ面白くなかった。これは楽に見えて良い。
2.とても静かであるのには驚いた。機関車が無音で走る。貨車、客車、共に極めて静かである。
3. 押して動くのが、ここまで軽く動くとは思わなかった。もう少し力が要るのかと思っていた。最後端を押すと、100輌先の機関車が楽に動く場面には驚いた。
4.走っている列車が慣性で動き続けるのには驚いた。下りではどんどん加速するのは感動的である。
5. DCCによる音声再生は極めて実感的である。

2022年05月01日

六角ジョイントの装着マニュアルを書く

 六角穴の中には粉が入っているので、それを取り除く。洗剤を付けて歯ブラシでこすると取れる。

 六角ナットは角を落とす。ネジに取り付けて旋盤で落としても良いし、ドリルレースでも良いのだ。要するに角がなくなって中央部分だけが最大径を持てば良い。先の丸い六角レンチが良い見本であるが、そこまでやる必要もない。

 六角ナットはM1.4のネジを切ったシャフトに付けても良いが、中をえぐってシャフトに嵌めても良い。このとき、隙間が小さければ、ロックタイトで良いが、ハンダ付けでもかまわない。微妙な振れは吸収されてしまう。

 モータ軸とギヤ軸は、向かい合わせてほぼ一直線にする。大きなズレは吸収できない。その状態で、ギヤボックスがどこにも支障せずに浮動していることを確認する。バネのストローク内で引っ掛からないことが大切である。

 ギヤボックスが上下しても、動力伝達部がほとんど動かないように、トルクアームを付ける。トルクアームの一端はギヤボックスに、他端は台枠から生えた承けに、ネジ留めする。トルクアームは曲げ応力がかからないようにすると、薄い材料が使える。接線方向に伸ばすと良いのだ。

Recent Comments
Archives
Categories
  • ライブドアブログ